2018年・第2回現代詩投稿欄新人賞・選考経過発表

2018年度現代詩人会新人投稿作品選考経過について

2018年度新人投稿作品選考会は新宿ルノアールにて6月24日(日)午後6時より光冨郁埜担当理事、塚本敏雄理事(会計)立ち会いのもとで選考委員、杉本真維子・石田瑞穂・八木幹夫(互選により選考委員長は八木)の三氏により検討された。 その結果 新人賞1名・新人3名が以下のように決定した。

新人賞 橘麻巳子(たちばな・まみこ)(女)二十代
新人  采目つるぎ(さいのめ・つるぎ)(男)二十代
新人  田中修子(たなか・しゅうこ)(女)三十代
新人  まほろば(まほろば)     (女)十代

選者からの発言要旨
新人賞の橘麻巳子氏の作品は当初から杉本、八木が共通に注目した。「墓標たち」「供花」等の作品には今後の成長が期待される表現力の豊かさと個人史の奥行きを感じさせられた。特に「墓標たち」には個人史的な文脈を匂わせながら「墓標」というイメージが喚起するパターンにはまることなく、独自の切れ味の良い「故郷」観が顕われる。さらに読者は「意味」の解読への意識が激しく起こるが、実は作者には言葉が象徴するものは重要ではないのかもしれない。作者は平然と次の空間と時間へと移動してしまうからだ。意味が対象と繋がり過ぎることを避けている。例えば「かたちで捉えられない目の奥から/目が綴る/ いる、/ 三羽、いる/息を均して並ばれる/そのあいだにも もう三羽/ばらける素振りを拾う腕、あまり新鮮じゃなかった」のフレーズは不思議な文体の呼気、吸気を感じさせる。従来の常識的な文脈から離れた宇宙が見えかかっている。興味深い作品だ。
新人の采目つるぎ氏は現代的なディスコミュニケーションの痛みに挑戦する新しい感性が感じられた。「 」書きで表現された対話詩にはチャットで交わされる不毛の言語空間が無音の世界として表現されている。(石田・八木氏)
田中修子氏の「火ぶくれのハクチョウ」には自虐とエロス、自らの経験を虚構化して乗り越えようとする言語の身体性に魅力がある。(八木氏)
まほろば氏は「びい玉」という作品は非常に新鮮で魅力的であった。平明に複雑な感性の綾を表現する力は月並みではない。今後の成長を期待したい。(杉本・八木氏)

選外作品
その他選外では鎌田伸弘(かまた・のぶひろ)、渡辺はるお(わたなべ・はるお)、松浦里帆(まつうら・りほ)、梯子高(はしごだか)、水町文美(みずまち・ふみ)、珠望(たまも)氏の作品に心惹かれたと各委員から意見があった。
(文責 選考委員長 八木幹夫)

*なお表彰式は8月25日(土)夕方から 早稲田奉仕園にて
日本現代詩人会総会後の懇親会で実施します。

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