この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。
郷原宏会長
公益信託代表
山田隆昭
第75回H氏賞
草間小鳥子
第43回現代詩人賞
秋山基夫
投稿数676作、投稿者370人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿欄第35期(10-12月)の選評および入選作をご紹介いたします。
またトップページに入選作を何回かに分けて、縦書き表示にて順次公開していきます。
- 【わたしたちはロシア・プーチン大統領に起因する不条理に反対し、ウクライナの人々の安全と平和を 強く望んでいます。──日本現代詩人会HP運営委員会】
- 【会員へのお知らせ】8月23日㈯の日本現代詩人会総会にご参加くださりありがとうございました。
すべての議題が承認されました。 - 第75回H氏賞、第43回現代詩人賞の詩集が下記のように決定しました。(2025/03/01)
- 2025年第9回HP現代詩投稿欄「新人賞」「新人」が発表になりました。(2025/04/05)
- 【子どもへの詩の普及】「清流の国ぎふ文化祭2024 詩コンクール」(2024/12/15)
- 【お願い】連絡がとれない会員がいらっしゃいます。何かご存知の方はご連絡願います。 (2025/02/22)
- 【日本現代詩人会全会員名一覧】
2025年3月1日(土)午後1時から、東京都・早稲田奉仕園セミナーハウスにおいて、第2次選考委員会が開かれました。詩壇の芥川賞とも呼ばれるH氏賞と、中堅以上の詩人に贈られる現代詩人賞が決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。なお、授賞式は6月1日(日)私学会館アルカディア市ヶ谷にて開催される「日本の詩祭2025」にて挙行される予定となっております。何卒よろしくお願い申し上げます。
◆2025年度 第75回H氏賞(賞金50万円及び記念品)
●受賞詩集『ハルシネーション』(七月堂)
●受賞者 草間 小鳥子(くさま ことりこ)
●受賞者プロフィール
1987年神奈川県生まれ、神奈川県在住。日本女子大学文学部英文学科卒。第27回詩と思想新人賞を受賞し、2020年に詩集『あの日、水の森で』(土曜美術社出版販売)を刊行。映画主題歌の作詞、プロダンスリーグ「Dリーグ」への詩の提供、音楽家と俳優と結成したユニット「Poetic Mica Drops」としてポエトリーショートドラマの制作ほか、多様な媒体で詩作にかかわっている。小詩集『ビオオープ』(資生堂花椿文庫)、詩集『あの日、水の森で』(土曜美術社出版販売)、詩集『源流のある町』(七月堂)、詩集『ハルシネーション』(七月堂)。
<第75回H氏賞選考委員> ◎根本明(選考委員長)、相沢正一郎、小笠原眞、篠﨑勝己、
田中裕子、山中真知子、野村喜和夫(理事)
●受賞詩集 『花下一睡』(七月堂)
●受賞者 秋山 基夫(あきやま もとお)
●受賞者プロフィール
1932年神戸市生まれ、岡山県在住。岡山大学卒。1960年代から自覚的に詩作。1970年代、片桐ユズルらと<オーラル派>として自作詩朗読を積極的に行う。1990年代より集中的に詩集を刊行。
主な著書:『旅のオーオー』(1965年思潮社)、『十三人』(第1回中四国詩人賞)、『家庭生活』(第16回富田砕花賞)、『夢ふたたび』(長編詩)、及び二十余冊の詩集刊行。他に、評論集『詩行論』など数冊。
<第43回現代詩人賞選考委員> ◎瀬崎祐(選考委員長)、海埜今日子、加藤廣行、
浜江順子、北條裕子、北川朱実、浜田優(理事)
2025年2月1日午前11時より、開票
のための理事会が開かれた。投票管理委員
の柊月めぐみ氏、生駒正朗氏の立会いのも
と、会員からの投票が開封され、集計され
た。その結果、第75回H氏賞候補投票は次
の結果となった。投票率は、30・0%だっ
た。 (第43回現代詩⼈賞は下段)
①林美佐子『ピコピコハンマー』 11票
②草間小鳥子『ハルシネーション』 10票
③雪柳あうこ『骨を撒く海にて、草々』
8票
④宮田直哉『ある風景』(書肆子午線)
7票
④角 朋美『透明な遠くへ』 7票
④市川恵子『世界にあるもの』 7票
⑦佐野亜利亜『女子の掟、もしくは』6票
⑦橘しのぶ『水栽培の猫』 6票
⑦丸田麻保子『カフカを読みながら』6票
(敬称略)
以上の9詩集を理事会として決定。同日
午後4時より開かれた第75回H氏賞選考委
員会に申し送りされた。
H氏賞第1次選考委員会ではこれらに加
えて、次の3詩集を推薦詩集とした。
漆原正雄『風を訪うまで』
山内優花『きせつきせつ』
寺道亮信『乳既』
(敬称略)
結果、12冊の詩集が第75回H氏賞候補詩
集として決定した。3月1日の第2次選考
委員会で受賞詩集が選出される。
■第75回H詩賞選考委員(敬称略)
相沢正一郎、小笠原眞、篠崎勝己、
田中裕子、根本明(委員長)、
山中真知子、野村喜和夫(理事)
2025年2月1日午前11時より、開票
のための理事会が開かれた。投票管理委員
の柊月めぐみ氏、生駒正朗氏の立会いのも
と、会員からの投票が開封され、集計され
た。その結果、第43回現代詩人賞候補投票
は次の結果となった。投票率は、30・0%
だった。(第75回H氏賞は上段)
①佐川亜紀『その言葉はゴーヤのように』
23票
②田村雅之『魂匣』 11票
②春木節子『行方しらず』 11票
④たかとう匡子『ねじれた空を背負って』
10票
⑤河野俊一『ストーマの朝』 9票
⑥吉田義昭『海と重力』 8票
⑦岩木誠一郎『声の影』 7票
⑦冨岡悦子『斐伊川相聞』 7票
⑦瀬野とし『まわれまわれ』 7票
(敬称略)
以上の9詩集を理事会として決定。同日
午後4時より開かれた第43回現代詩人賞選
考委員会に申し送りされた。
現代詩人賞第1次選考委員会ではこれら
に加えて、次の3詩集を推薦詩集とした。
秋山基夫『花下一睡』
篠﨑勝己『死ねない魂のための音楽』
眞神 博『精神の配達』
(敬称略)
結果、12冊の詩集が第43回現代詩人賞候
補詩集として決定した。3月1日の第2次
選考委員会で受賞詩集が選出される。
■第43回現代詩人賞選考委員(敬称略)
海埜今日子、加藤廣行、北川朱実、
瀬崎祐(委員長)、浜江順子、
北條裕子、浜田優(理事)
日本の詩祭2024第Ⅰ部 贈呈式・先達詩人の顕彰・詩朗読
「詩投稿 第37期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
嶋田隆之「窓とケヤキと」
屋根もベランダも重機で崩され
便器も玄関の扉も廃棄物トラックに放り込まれ
小さなアパートはなんにもなくなった
最後に油圧シャベルは
窓の外に立っていたケヤキを抜いた
根っこから掘り起こされたケヤキは
なんにもない地面に転がされた
そこには窓があった
いつもケヤキが覗き込んでいた窓があった
窓の中では
初めての日に若い妻が危なっかしくハンバーグを焼いた
寝つかない娘の横で若い父親が白い天井にため息をついた
でももう なんにもない
誕生日のたびに増えるおもちゃをしまった押入れもない
いつか手渡そうと夫婦で整理したアルバムを並べた棚もない
娘が撮ってくれた夫婦二人の写真を置いた下駄箱もない
本当になんにもない
そこには窓ができるという
小さなマンションが建つという
窓からは
慣れぬ手つきで味噌を溶く男性が見えるかもしれない
真夜中の赤ん坊の泣き声に灯る明かりが見えるかもしれない
部屋を這い回る幼子を追いかけるスマホが見えるかも知れない
繰り返されるかもしれない
新しく始まるかもしれない
ケヤキがいなくても
そこには窓があった
窓を開ければすぐ前にケヤキの木があった
春には若緑の小さな葉っぱを揺らした
いっぱい揺らした
リビングの窓を額に、それは一枚の絵になった
カーテンを全開にして眺めた
そんなに開けたら外から丸見えやんか
そう言う妻も笑って隣に座り
窓の外を ケヤキを見た
今も見える気がする
そんな気がする
壁に、釘が、一本。
錆びている。
これは、
誰かの、意志の、化石だ。
何かを、ここに、留めようとした、
遠い、昔の、熱の、残骸だ。
打ち込まれた時の、
壁の、痛みは、
もう、乾いている。
釘は、
壁と、一つになることで、
痛みから、解放されたのか。
それとも、
痛み、そのものに、なったのか。
時は、
この、釘を、避けて、流れる。
この、一点だけが、
永遠の、午後に、取り残されている。
もし、
この、釘を、抜いたなら。
壁は、
傷口から、
何を、流すのだろう。
血か。
砂か。
それとも、
ただ、溜め込んでいた、
膨大な、沈黙か。
俺は、
その、釘を、
ただ、見ている。
俺も、
誰かの、意志によって、
この、世界の、壁に、
打ち付けられた、
一本の、
錆びた、釘なのかもしれない。
緒方 水花里「廃品」
ホルモンはうちの臍の緒
放るもんっちいう意味やって
夕焼け血の中泳いで来る
ほおるもん、ほおるもんありませんか
マルチョウが一番やね。牛の小腸を裏返して
膜ん中アブラがギシギシ詰まっとる
餓鬼に似とるね
マーガリンばそんまま食いよる
母親がおった時はよーマルチョウ食えたんやけど
うちでは鍋が煮え もつは栄養満点やけん
食べり
母親はうちを捨てて別の男んとこ行った
うちはコロコロコミックを何度も何度も拾って帰った
そのたんびに父親に殴られた
デブ、ブタち竹刀ば振られた うちはマーガリンば食うた
愛とは与えるものならば
食卓には何もなかった 鍋も
少年漫画の中にも
父親から離れた街でゴミ捨ては夜やなくて朝やった
うちはマルチョウ1kg抱え夕焼け血の色走り抜けた 火ば点け
鍋ん中具ツラ愚面地獄ん中可愛く開く赤ん坊
父親ん指
詰まったアブラが白い花ごつ
人間マルチョウが一斉に煮えたぎる
食らう
父親をバラバラにして啜る
食らう
歯の間でプツプツと死ぬ 食らう
たらふくたらふく食うてから
うちはうちを裏返す
うちはうちを裏返す
口ん中から小腸と食道がそんまま出る アブラんギシギシ詰まって
うちはただん管
うちはただん内臓
内臓の中逆流して出て来る
マルチョウショウチョウレバーハツセンマイデブブタコロコロコミックうちんはらわたうちんはらわたうちんはらわた
うちん臍の緒まで到達する 小腸と食道と繋がってピンと張る
うちは一本の内臓
から反吐を吐く血反吐を吐く血も食べたもんと一緒なって出て来るトイレん中何もかんも吐く廃品回収の車が通る
たらふく持ち帰った給食の余りのパンもほおる
母親の産まれんかった腹違いの子もほおる
でもまだ足らん食らう食らう吐くうちは時間をほおる金をほおる
命ばほおる
マルチョウのマーガリンの父親の母親のうちんはらわた
うちはうちを食べるそれすらも吐き出しどんどん痩せてく涙を吐く体が動かん
うちはもうデブやない
うちはもつ、かれたわ
天神コアの屋上からほおったら
フッと
風になって
うちいっちゃん軽くなった
真下に見える血の車
ほおるもん、ほおるもん

- 2025/9/1
- 「詩投稿 第37期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
- 2025/8/20
- 「日本の詩祭2025・第Ⅰ部 贈呈式・先達詩人の顕彰」を公開しました。
- 2025/8/15
- 「詩投稿 第37期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
- 2025/8/15
- 各地のイベントから-2025 埼玉詩祭/関西詩人協会・イベント2025-
- 2025/8/15
- 新会員の顔(2025・3・20理事会承認)
日本現代詩人会/七〇周年記念アンソロジー
国際交流ゼミナール
現代詩2023