日本現代詩人会とは

この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。


  • 郷原宏会長

  • 公益信託代表
    山田隆昭

  • 第75回H氏賞
    草間小鳥子

  • 第43回現代詩人賞
    秋山基夫

詩投稿結果発表

投稿数676作、投稿者370人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿欄第35期(10-12月)の選評および入選作をご紹介いたします。
またトップページに入選作を何回かに分けて、縦書き表示にて順次公開していきます。

詩投稿

H氏賞受賞者や日本現代詩人会の会員たちが入選作を選び選評いたします。

1期一人3篇までの投稿で、3ヶ月毎に選考し、入選作を選評とともに公開します。

第36期~39期選者(2025.1~2025.12)
・伊武トーマ

・橘 麻巳子
・根本 紫苑

詳しくは投稿規定をご参照ください。皆様のご投稿をお待ちします。

【速報】◆第75回H氏賞・第43回現代詩人賞決定のお知らせ

2025年3月1日(土)午後1時から、東京都・早稲田奉仕園セミナーハウスにおいて、第2次選考委員会が開かれました。詩壇の芥川賞とも呼ばれるH氏賞と、中堅以上の詩人に贈られる現代詩人賞が決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。なお、授賞式は6月1日(日)私学会館アルカディア市ヶ谷にて開催される「日本の詩祭2025」にて挙行される予定となっております。何卒よろしくお願い申し上げます。
◆2025年度 第75回H氏賞(賞金50万円及び記念品)
●受賞詩集『ハルシネーション』(七月堂)
●受賞者 草間 小鳥子(くさま ことりこ)
●受賞者プロフィール 
1987年神奈川県生まれ、神奈川県在住。日本女子大学文学部英文学科卒。第27回詩と思想新人賞を受賞し、2020年に詩集『あの日、水の森で』(土曜美術社出版販売)を刊行。映画主題歌の作詞、プロダンスリーグ「Dリーグ」への詩の提供、音楽家と俳優と結成したユニット「Poetic Mica Drops」としてポエトリーショートドラマの制作ほか、多様な媒体で詩作にかかわっている。小詩集『ビオオープ』(資生堂花椿文庫)、詩集『あの日、水の森で』(土曜美術社出版販売)、詩集『源流のある町』(七月堂)、詩集『ハルシネーション』(七月堂)。
<第75回H氏賞選考委員> ◎根本明(選考委員長)、相沢正一郎、小笠原眞、篠﨑勝己、
田中裕子、山中真知子、野村喜和夫(理事)
 ◆2025年度 第43回現代詩人賞(賞金50万円及び記念品)
●受賞詩集 『花下一睡』(七月堂)
●受賞者  秋山 基夫(あきやま もとお)
●受賞者プロフィール
1932年神戸市生まれ、岡山県在住。岡山大学卒。1960年代から自覚的に詩作。1970年代、片桐ユズルらと<オーラル派>として自作詩朗読を積極的に行う。1990年代より集中的に詩集を刊行。
主な著書:『旅のオーオー』(1965年思潮社)、『十三人』(第1回中四国詩人賞)、『家庭生活』(第16回富田砕花賞)、『夢ふたたび』(長編詩)、及び二十余冊の詩集刊行。他に、評論集『詩行論』など数冊。
<第43回現代詩人賞選考委員> ◎瀬崎祐(選考委員長)、海埜今日子、加藤廣行、
浜江順子、北條裕子、北川朱実、浜田優(理事)
【速報】第75回H氏賞候補詩集が決定

 2025年2月1日午前11時より、開票
のための理事会が開かれた。投票管理委員
の柊月めぐみ氏、生駒正朗氏の立会いのも
と、会員からの投票が開封され、集計され
た。その結果、第75回H氏賞候補投票は次
の結果となった。投票率は、30・0%だっ
た。 (第43回現代詩⼈賞は下段)

①林美佐子『ピコピコハンマー』  11票
②草間小鳥子『ハルシネーション』 10票
③雪柳あうこ『骨を撒く海にて、草々』
                 8票
④宮田直哉『ある風景』(書肆子午線) 
                 7票
④角 朋美『透明な遠くへ』    7票
④市川恵子『世界にあるもの』   7票
⑦佐野亜利亜『女子の掟、もしくは』6票
⑦橘しのぶ『水栽培の猫』     6票
⑦丸田麻保子『カフカを読みながら』6票
               (敬称略)

 以上の9詩集を理事会として決定。同日
午後4時より開かれた第75回H氏賞選考委
員会に申し送りされた。
 H氏賞第1次選考委員会ではこれらに加
えて、次の3詩集を推薦詩集とした。

 漆原正雄『風を訪うまで』
 山内優花『きせつきせつ』
 寺道亮信『乳既』
               (敬称略)

 結果、12冊の詩集が第75回H氏賞候補詩
集として決定した。3月1日の第2次選考
委員会で受賞詩集が選出される。


■第75回H詩賞選考委員(敬称略)
 相沢正一郎、小笠原眞、篠崎勝己、
 田中裕子、根本明(委員長)、
 山中真知子、野村喜和夫(理事)

【速報】第43回現代詩人賞候補詩集が決定

 2025年2月1日午前11時より、開票
のための理事会が開かれた。投票管理委員
の柊月めぐみ氏、生駒正朗氏の立会いのも
と、会員からの投票が開封され、集計され
た。その結果、第43回現代詩人賞候補投票
は次の結果となった。投票率は、30・0%
だった。(第75回H氏賞は上段)

①佐川亜紀『その言葉はゴーヤのように』
                 23票
②田村雅之『魂匣』        11票
②春木節子『行方しらず』     11票
④たかとう匡子『ねじれた空を背負って』
                 10票
⑤河野俊一『ストーマの朝』    9票
⑥吉田義昭『海と重力』      8票
⑦岩木誠一郎『声の影』      7票
⑦冨岡悦子『斐伊川相聞』     7票
⑦瀬野とし『まわれまわれ』    7票
               (敬称略)

 以上の9詩集を理事会として決定。同日
午後4時より開かれた第43回現代詩人賞選
考委員会に申し送りされた。
 現代詩人賞第1次選考委員会ではこれら
に加えて、次の3詩集を推薦詩集とした。

 秋山基夫『花下一睡』
 篠﨑勝己『死ねない魂のための音楽』
 眞神 博『精神の配達』
               (敬称略)

 結果、12冊の詩集が第43回現代詩人賞候
補詩集として決定した。3月1日の第2次
選考委員会で受賞詩集が選出される。


■第43回現代詩人賞選考委員(敬称略)
 海埜今日子、加藤廣行、北川朱実、
 瀬崎祐(委員長)、浜江順子、
 北條裕子、浜田優(理事)


日本の詩祭2024第Ⅰ部 贈呈式・先達詩人の顕彰・詩朗読

「詩投稿 第37期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。

ユノこずえ「隣人とピラカンサ」

はじめがあると
おわりがくる
おわりがくると
はじめがはじまる
たった93年間を生きた隣人の男性が
おわりを迎えそうだ
先月までは日曜日ごとに
おしゃれなハンチング帽をかぶり
競馬場におもむいていたのに

長身の彼は若いとき
映画俳優をしていたこともあったらしい
風がおしえてくれた

何かがはじまりそうだが
今はなんの兆候もない
救急隊員二名に抱かれてアパートの
階段をおりていった
わたしは
動揺しながら
頭のなかで
彼を永遠に見送るべき手順を準備していた
そのあとしばらく茫然とする

彼に嫌な感情を持ったことは一度もない
関わりのない見事な隣人だった
なぜ
ここまできたのに
歳をとり弱り存在が消されるのかわからない
このまま
しずかに穏やかに永遠に
隣人として生きてくれればよいのに
何もはじまらなくてよいのに
何もおわりにならなくてよいのに

ニ月の寒さの底に
アパートの庭のピラカンサの紅い実を
食べ尽くすヒヨドリたちの群れが
終日にぎやかだ
ただ
そのなかの一羽が
ピラカンサの木のこずえに留まりつづけ
しげしげとわたしを見下ろしていた
わずかに寂しさをいやされたのだった

赤石 治「Crying substance

染色体の数だけ細胞は泣いて心臓を作ったのかもしれない
心臓という物質の中できみの泣き声はやがて鼓動となった

でもきみには欠落した染色体があったから足りない分だけ
他の人より多く泣かなければならなくてその小さな心臓は
きみが自分自身になるために幻の染色体に向けて脈搏った

物質はいつも泣くことによってはじめて物質になっていく
それは泣き崩れるように自分自身を思い出して物質になる

あの空は青くなるためにどれだけ悲しみを集めたのだろう
空が切り抜かれそこに鳥の線が描かれるとき欠けた中空に
時間の断片が補われて空は青い傷の中で鳥たちを思い出す

たとえばあの鳥は以前から羽ばたき鳴いていたはずなのに
その時はまだ鳥ではなくて空と区別できない悲しみだった
回想の中でわたしたちは鳥になり鳥はわたしたちになった

悲しみは物質から過ぎ去った時間を吸い上げて泣いている
あの海はどれだけ涙を流して自らに深さを刻んだのだろう
波の間で砕けた光がきみの欠けた染色体をただ映していた

この大地は誰もが眠るためどれだけ苦しみに耐えただろう
土がくり抜かれそこに石の形が彫られると時間が鋳造され
生きた時間と死んだ時間が交わってあなたの色彩になった

たとえば年老いた石も以前から大地の底で眠っていたのに
その時はまだ石ではなく大地と区別できない悲しみだった
石は泣きながら自らを静かに思い出して物質になったのだ

石の夢の中で大地から空を見上げるとそこでは見覚えある
わたしたちのような鳥が飛んでわたしたちを回想していた

どれだけ泣いたら愛はこの胸で物質になるのでしょうかと
きみは生まれる前に失くした染色体に語りかけて涙を流す
その言葉は物質と時間の間できみの名前を思い出している

きみはいつも人にうまく言葉を伝えることができないから
為す術もなく泣き崩れ言葉から言葉の形を逃がしてしまう
きみは自分自身になるために泣き止まない時間の中にいた

もしも愛もまた泣くことによってはじめて愛になるのなら
きみの涙は欠落した染色体を補うように時間を編み上げる
その糸で織られた心臓はきみの名前を深淵から呼び続ける

時間もまた泣くことによってはじめて時間になるとしたら
わたしも泣いて時の彼方へ消えた最初の言葉を連れて戻り
どんなに愛しているかを細胞の数だけ言葉にしていきたい

その言葉は鳥となり石となりわたしたちとなり鼓動を搏ち
物質から聞こえる生と時間から聞こえる死の同じ夢をみて
幻の染色体に抱かれて今も生まれた日のように泣いている

泣くことはきみがきみ自身になるための最初の航法だった
鳥はあの空に石はこの大地にきみは遠い時間の中に刻まれ
欠けた染色体の代わりに愛に泣き続けてその心臓を満たす

そしてきみの涙は物質と時間を繋いでこの世の色彩になり
すべての愛が泣きながら互いを回想する鮮やかな世界の中
きみはその小さな暖かい鼓動と共に永遠に自分自身になる

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