詩投稿欄

2020年・第4回現代詩投稿欄新人賞、新人発表!!

新人賞 小林真代
新人  澁澤赤
新人  中川達矢
新人  渡部栄太

選考委員長:廿楽順治
選考委員:伊藤浩子、光冨郁埜
(表彰式は、2020年8月22日の実施はコロナ感染状況で中止・延期となり、2021年に行なわれる予定です。)


2020年日本現代詩人会第4回HP投稿欄新人賞、新人選考会の報告

廿楽順治(選考委員長)

 2020年日本現代詩人会HP投稿欄新人賞、新人の選考会は、3月22日(日)午後二時より六時五〇分過ぎまで開催されました。今回は新型コロナウィルス感染への配慮から、異例ですが電子メール上での選考会となりました。選考会参加者は、伊藤浩子、廿楽順治、光冨郁埜の各委員と事務局・佐川亜紀理事。
 まず初めに、三委員の互選により廿楽が委員長として選出され、選考が開始されました。今回対象となったのは、第13期~15期(2019.4~2019.12)の投稿作品953篇です。光冨委員が事前に作成した各期の入選作の一覧表をもとに、各委員がそれぞれ4~6名の候補者をリストアップし、気になる候補について簡単なコメントを付しました。
 これらのリストを委員長がまとめ、複数の委員が重複して選んだ投稿者を整理しました。
 その結果、以下の6人の投稿者が第一次候補者となりました。新井光(「η骨」)、石井梢(「黄色い声」「惨敗」)、小林真代(「稔り田のなかで」「大霜」「枇杷の木」)、澁澤赤(「乱視」「名前」)、中川達矢(「かくれんぼ」「しらたま」)、渡部栄太(「硯海」「みずいろの獣」)。※アイウエオ順・括弧内は作品名。
 そこで今度はこの6名について討議を重ねました。今回の賞は作品に与えられるものではないので、詩人として一定の水準を満たした作品を持続的に書いていかれる、または今後書いていく可能性がある、という点から考えました。この段階で1期しか投稿のなかった石井梢さん、新井光さんが対象から外れました。ただ、独特な感性をもつ石井さん、「日常と非日常の間隙を描く力量」(伊藤委員)のある新井さんへの期待感はわたしも含め委員はかなり抱いています。
 次に残った4人の候補者であらためて、決選投票が行われましたが、ここでは結果が見事に割れました。伊藤委員は小林真代さんを推し、光冨委員は筆力があり、なおかつ20代の若い人ということで渡部さん、わたしは中川さんを推す、という結果になりました。その後さらに各委員が再考しましたが、その中でわたしは小林さんに票を入れ直しました。伊藤委員が推薦理由として挙げた「全期通して筆力が安定していた」という点は、わたしも同感です。
 わずか3期間でしたが、それでも全期を通して一定水準の詩を書くということはかなり難しいと思われます。何かの拍子に偶然目立つ詩を書けることはあるかもしれませんが、何作か読んでいるとその人の基準の地平のようなものが見えてきます。小林真代さんは、この地平が特に高かったということだと思います。
 以上の過程を経て、今回の新人賞は小林真代さんとし、新人は澁澤赤さん、中川達矢さん、渡部栄太さんとしました。
 小林さん、新人賞おめでとうございます。



【新人賞・小林真代】
小林真代(こばやし・まさよ)
1972年1月生まれ。福島県いわき市在住。
 学生時代に詩を書いていたが、その後は長いあいだ詩を書かなかった。書きたい気持ちはずっとあったが、自分は詩に向いていないとなんとなく思っていた。ふたたび詩を書き始めたとき、私は詩に向いていないというより、詩を書くことが怖いのだなと思った。とくに詩を書き出すときが怖い。何か書きたいと思うのに、書き始めるまで何が出てくるかわからないのがとても怖い。それで私は長いあいだ詩を書き出すことができなかったのだと思う。
 投稿欄でお世話になっている間は、詩を読んでいただくこと、評をいただけることがとにかくうれしくて、新人賞ということは全く考えていなかった。怖がりで詩を書き出すまでにずいぶん時間のかかった私を、こうして詩の世界に迎えて下さったことを心から感謝します。あいかわらず怖がりではありますが、この受賞に励まされながら、これからも詩を書いていきます。
【新人・澁澤赤】
澁澤赤(しぶさわ・あか)
1980年生まれ。埼玉県さいたま市在住。
 十代後半から詩を書いてきました。
これまで誰に読ませることもなく、ひとりで詩作を続けてきましたので、このような公の場で自分の作品をひとに読んでいただく機会を得たことが大変嬉しく、また驚きでもあります。選出してくださった選考委員の方々、関係者の方々に深く感謝申し上げます。
【新人・中川達矢】
中川達矢(なかがわ・たつや)
1989年生まれ。埼玉県さいたま市在住。
 この度は新人を賜り、選者及び会の運営に携わっている方々に感謝申し上げます。これまでお世話になった先人の方々へ一つ恩返しができたような気がします。ただ、かつての自分がそうであったように、詩を読まない・書かない人へ、私が詩を書くことで何ができるのか、を問いながら邁進します。
【新人・渡部栄太】(写真なし)
渡部栄太(わたなべ・えいた)
20世紀生まれ。日本国在住。
 生きているとつらいことが多くて、ちょっと精神的に耐えられなくて、しかし忙しくて時間が取れないので短い日本語をパソコンやスマホで書いていて、こちらの投稿欄に送ったら新人に選んでいただきました。びっくりしました。選考委員の方々、会の皆様、ありがとうございました。

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