詩投稿欄

2022年第6回HP現代詩投稿欄「新人賞」「新人」発表

2022年第6回HP現代詩投稿欄「新人賞」「新人」発表
  「新人賞」浅浦 藻
  「新 人」岡 堯、佐名田纓、シーレ 布施

 日本現代詩人会ホームページ第6回現代詩投稿欄の年間「新人賞」「新人」が2022年3月19日にリモートで開催された選考会で決定しました。選考委員は、上手宰(選考委員長)、片岡直子、福田拓也の各氏。投稿作品は第20期(2021年1~3月)468篇、第21期(4~6月)490篇、第22期(7~9月)363篇、第23期(10~12月)364篇、計1685篇で、各期ごとに入選、佳作を選び、HPで発表してきました。その入選者を対象に年間の賞を選出しました。左記に各受賞者の略歴と言葉をご紹介します。

【新人賞・浅浦 藻】
浅浦 藻(あさうら・も)
2005年生まれ。茨城県在住。
 現代文の授業で詩に出会ってから、スマートフォンにことばを打ち込むようになりました。ひとと関わるにおいて、敏感であるべきか鈍感であるべきか分からなくなるような不安定な日々の中で詩を書き、ほかの方々の詩を読む機会に恵まれたことは、とても大きなことだったと思います。「置かれた環境に満ちる言葉が詩を生み出す」との評をいただいたとき、周りのものごとが突如鮮明に感じられたように思えてなりませんでした。
 確実に、周囲のことばが自分に堆積されている。ことばの堆積のしかたはひとによって異なっているはずであるのに、ことばを使って周囲と繋がろうとする。自己と他者を繋いできた手段としてのことばや、それを歴史のなかで使い続けてきたひとそのものに魅力を感じています。
 関係者の皆様、とりわけ選考委員の先生方、貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。

【新人・岡 堯】
東京都世田谷区
    67歳(逝去)

【新人・佐名田纓】
佐名田纓(さなだ・さくら)
1994年4月生まれ。埼玉県在住。
 詩を書いてきましたが、書いてきたというより、読んでもらうということを探してきたのだというような気がします。この頃は、読んでもらうということには、ついに出会えないのだという気がしています。それでも、探すことをやめられないという気がします。

【新人・シーレ 布施】
シーレ 布施(しーれ・ふせ)
2000年7月16日生まれ、和歌山県出身、兵庫県西宮市在住、第16回「文芸思潮」現代詩賞優秀賞受賞。
 今回、選者の先生方々から詩評をいただいたことで、他者から誤解されることを恐れず、詩人として作品を書き続ける覚悟を養うことが出来たように思います。このような契機をくださった投稿欄の選者の先生方および投稿欄を運営されている皆様にこころより感謝申し上げます。
シーレ 布施氏

シーレ 布施氏



●選考会の報告
      上手 宰(選考委員長)
上手宰氏

上手宰氏

片岡直子氏

片岡直子氏

福田拓也氏

福田拓也氏



 2022年日本現代詩人会投稿欄新人賞・新人選考会は、3月19日(土)午後三時から行われました。コロナ禍のため、リモートによる選考会となり、選考会参加者は選考委員の片岡直子、上手宰、福田拓也と事務局・秋亜綺羅担当理事、佐川亜紀理事長。
 対象は2021・1・1から12・31までの投稿総数1685(第20期~第23期)作品です。初めに互選により上手が委員長に選出され、選考会を開始しました。まず光冨幾耶HP運営委員の作成になる各期の入選作の一覧表を資料とし各選考委員が新人賞・新人候補者各5名前後を挙げました。新人賞の議論では短期間に浅浦藻さんに一致が得られました。16歳の高校生ながら様々な文体を自由に駆使する力量と、新鮮な発想が光っています。入選回数も最多(4回)でした。
 引き続き新人の選考に入りましたが、各委員の挙げた上位候補者を以下に記しておきます。片岡…浅浦藻、守野 麦、佐名田纓、涼夕璃、ケイトウ夏子、秋葉政之。上手…岡堯、浅浦藻、雪柳あうこ、吉岡幸一、竹井 紫乙。福田…シーレ布施、中マキノ、浅浦藻、木内ゆか。
 具体的に強く推薦された作品を検討しつつも、対象は個々の作品ではなく詩人という視点で討論を重ね、岡堯、佐名田纓、シーレ布施の三氏を選出しました。
 選出結果を作者本人に伝達する過程で、岡堯さんは病没されていることがわかりました。たいへん残念なことでお悔やみを申し上げます。こうした際のルールはないとのことで、選考委員、関係者の希望により選出結果から削除することなく決定として発表することとなりました。22期に二人の選者から入選とされた作品たちはともに生死と魂について語った詩であったことが私には印象に残りました。静かで透徹した世界観がありました。シーレ布施さんは大学生ですが、表現のキレのよさと同時に生きる切実感に打たれました。選考委員全員が早くから新人推薦で一致したのも、不思議な輝きを認めたためと思います。佐名田纓さんも二十代と若い方ですが、一見ペシミスティックな言辞を弄していたかと思うと、みごとな比喩を置いていく手腕が魅力的です。
 選には至らないながら魅力的な詩人も多く、中には実力を評価されつつも「新人」を対象とする場ゆえに強く推されなかった人もいると私は感じています。またとても光った一編がありながら一編のみなので今後の評価に待ちたい、という方もあり、今後の研鑽に期待しております。

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