研究活動・親睦

総会

日本の詩祭 2018 開催

●西日本ゼミナールin滋賀
 苗村吉昭氏、山本竜門氏講演


写真左から苗村吉昭氏、山本竜門氏

 二月十八日、まばらに雪の残る近江八幡で「日本現代詩人会・西日本ゼミナール滋賀」が開催された。会員五十九名、一般五十一名、総勢百十名もの予想を上回る参加があった。寒さ厳しい折、遠方からの参加者もあり盛況であった。
 司会進行は近江詩人会の石内秀典。新藤凉子会長の開会の挨拶で始まり、共催の近江詩人会会長竹内正企からも挨拶があった。
 新藤会長は前日から近江八幡に来られ、歴史と淡海文化の香る街並みを見てまわられた。そして
「現代詩はまっすぐに心に響く書き方から離れて難解になってしまった。昭和二十五・六年頃には市井の人々が中原中也や島崎藤村の詩を口ずさんでいた。現代詩の一篇でも一節でも口にされているだろうか?」と危機感を述べられた
 プログラムは二部構成で第一部では「失われた現代詩への信頼を求めて  ―大正期の民衆詩派からの投射」の演題で苗村吉昭氏(詩人)の講演が
あり、次いで
「詩、木を彫るごとく―NHKこころの時代から」の演題で山本竜門氏(仏師・詩人)の講演があった。また竜門氏が彫られた仏像も展示され拝することができた。第一部の最後にライアー演奏が浅山泰美氏(詩人)らにより演奏された。第二部は懇親会となり地元近江八幡混声合唱団の歌を聞きながらの歓談となった。
 第一部の苗村吉昭氏の講演は新藤凉子会長の現代詩への危機感に呼応して大正期の民衆派詩人の詩などを取り上げられた。
「大正期に民主的な思想が伝えられ、日本でも民芸運動と連動して民衆派の詩人が台頭してきた。」と歴史的背景の説明の後、象徴詩の書き手である北原白秋と民衆派の白鳥省吾との論争を詳しく紹介された。
「民衆派詩人は平明な言葉・自由な韻律で現実を描いた。それは思想的にはヒューマニズムを目指していたと言える。民衆詩は口語・日常語が用いられ拡がったが、無技巧から生硬な言葉で表される事もあり、プロレタリア詩やモダニズム詩の人々から反論された。
 この論争を含めて考えられることは平易な表現であっても詩の技術を向上させることによって、深い内容となる。その働きかけに現代詩の専門誌や詩の教室が重要な役割を持ち、一般読者にすぐれた詩を推奨し続けることが現代詩の回復に資する」と述べられた。
 最後に『くちびるのかたち』という散文詩の朗読があった。交通事故で突然こどもを失くされた、いちのせまりえさんが何年も後にかくことのできた作品だ。そこには民衆派詩人の百田宗治が「詩はいつも心をあらわすべきだ」と言った心が確かにある。苗村吉昭氏はこの「心」という言葉は「感動」におきかえられるとされた。
 そして同じように幼子を失くされた苗村吉昭氏はその時、次の講演者の山本竜門氏にお願いして刻んでもらった地蔵菩薩に癒された心情を吐露された。
 次いで講演された仏師であり詩人の山本竜門氏は民芸運動の柳宗悦や河合寛次郎の弟子方との縁から木彫りをはじめられた経緯などを話された。
 「まず滋賀県の米原の上丹生という山深い地で焼杉彫刻の技術を身につけ
た後、亡き恩師へ仏像を手向けたことから仏像を彫る修行に邁進していった。詩との出会いは昭和四十七年に滋賀県文学祭に応募、入選したことで近江詩人会に参加するようになった。そこで大野新さんや中江俊夫さんと出会い視界がひらけた。
 郷里の鳥取に帰ることになり大野新さんの勧めで出した詩集『上丹生』が新聞に取り上げられた。
 郷里倉吉では彫った仏像をおさめる所として様々な人々のたすけがあって『集仏庵』が完成した。昨年三月「NHKこころの時代」のインタビューを集仏庵で受けた。今も鳥取倉吉の町おこしにも一役買っている。」そして、夏目漱石の「夢十夜」を引用し仏像を彫るには木の中から彫り出す思いで対峙するが、同様に詩も心の中から彫り出していくのだと締めくくられた。
 閉会の挨拶をされた一色真理氏は「琵琶湖の水面下の豊な世界があり土地の霊が詩人を育てる」と簡素ながら素晴らしい言葉で締めくくられた。(近江詩人会 吉中桃子)

東日本ゼミナール・新年会開催2018

吉野弘と黒田喜夫の山形「現代詩ゼミナール〈東日本〉in酒田」

 十月二十一日、台風21号襲来の前日、天候不良にもかかわらず、「現代詩ゼミナール〈東日本〉in酒田」は盛況であった。集客予想を若干上回り、会員参加者45名、一般参加者25名。総勢70名。首都圏のみならず、遠路、兵庫、大阪からの参加者もあり、地元運営側の感激はひとしおであった。
 司会進行は、酒田の詩誌「シテ」同人の相蘇清太郎。一色真理理事の開会の挨拶に続き、秋亜綺羅理事長が、新藤凉子会長からのメッセージを読み上げた。新藤会長のメッセージは、過去に故粒来哲蔵氏と共に講演に訪れた山形の思い出などを含む真情溢れる内容だった。続いて、山形県詩人会の高橋英司会長が地元代表の挨拶で、なぜ酒田市での開催なのかについて話した。
 プログラムは三部構成で、第一部では、吉野弘をめぐって、万里小路譲の講演と近江正人、いとう柚子両名の吉野作品についてのスピーチだったが、このコーナーでは、音楽とのコラボレーションによる吉野弘の世界を演出した。万里小路自身がサックスとフルートを演奏し、ギターの伴奏に合わせて、阿蘇孝子が朗読を行った。
 万里小路譲は、吉野弘のヒューマニズムはニヒリズムからの転位であるとした。詩人の誕生は、その境遇と無関係ではなく、「負から正を志向しながら裏から表を見通す転回視座を獲得したこと」を説いた。即ち、吉野弘には、生死に関わる体験が四度ある。幼児期に赤痢に罹り、生死の境をさまよう。12歳の時、母を亡くす。19歳の時の敗戦体験。さらに24歳の時の結核罹患と胸郭成形手術。そして、帝国石油に就職後、商品労働者としての危機を強く感じただろうこと、「労働組合の専従役員になるなど反抗的人間」としての歩み。吉野弘のやさしさ、あたたかな眼差しは、その人生体験に由来しているとする。阿蘇孝子の朗読によって採り上げた詩は、「刃」と「或る位置」。
 近江正人は、吉野弘が保持する「市井のつつましい生活者(労働者)の視線」に注目しながら、とりわけ詩「生命は」を採り上げ、「生命はもともと不完全であり、自分自身では完結できない、だから成熟のためには『他者』が必要であるという認識」、そして「相互に欠如を補い合って新たな世界を実らせるという弁証法的な思考が成立する」と論じた。
 いとう柚子は、吉野弘の詩集すべてに、樹木をテーマやモチーフにした作品が収められていることに注目し、「木々の姿や生態が生身の人間の在りようになぞらえられる」のが特長であるとし、とりわけ『北入曽』以降の作品に色濃く読み取れると捉えた。
 第二部は、黒田喜夫について、まず、木村迪夫が朴訥とした語りで、黒田喜夫に兄事し交流を持った経緯を述べた。サークル詩誌「詩炉」(安食昭典主宰)を通して交流を深めたが、実際には三度しか会っていない。都営住宅に訪ねていったこと、入院中の病院に見舞ったこと、そして最後は死去の場であったこと。思想的には、社会変革を目差す同志的関係で、共に幻の理想郷を夢見ていた。青年期の木村は、「村の変革を夢み」、黒田喜夫の影響を受け、詩を書き続けて来た。
 続いて、高啓は、黒田喜夫の表現方法について論じた。これまで、黒田喜夫は、飢え、スターリニズム批判、土俗的な思想性といった紋切り型の論じられ方をして来た。それでは不十分である。演劇的な手法、ドキュメンタリー映画のような表現が大きな特徴であるとし、「ハンガリアの笑い」「空想のゲリラ」「毒虫飼育」を採り上げ、なかでも「毒虫飼育」を最高傑作であるとした。朗読を担当した阿蘇孝子の、セリフ部分の声色を変えて発した詩行は鮮烈な印象を残し、朗読パフォーマンスとしては圧巻であった。
 この後、質疑の時間を取り、聴衆から、吉野・黒田について、それぞれ質問があった。
 第三部の自作詩朗読は、隣県から招聘した成田豊人(秋田)、清岳こう(宮城)、鈴木良一(新潟)に加え、地元山形から、戌丸ぜの、金井ハル、阿蘇豊が、それぞれ自身の個性を発揮した朗読を行った。
 閉会の挨拶を、山形県詩人会事務局長の松田達男が行ったのが午後五時十分。ほぼ予定時間通りとはいえ、内容を盛り過ぎた企画の感があり、時間超過を抑制しなければならない場面が多々あった。ゼミナールなのだから、もっと時間を取るか、テーマを絞ってじっくり議論すべきだったというのが反省である。(文中敬称略、文責・高橋英司)

「西日本ゼミナール・滋賀」のご案内(再告知)

現代詩ゼミナール(東日本)と新年会
日本現代詩人会主催

2018年1月13日(土)14:00~19:00
早稲田奉仕園

13:30 受付開始
14:00~16:40 スコットホール(講堂)
17:00~19:00 リバティホール(地下1階)

<ゼミナール>14:00~16:40
会費1000円(会員無料)

司会 塚本敏雄 中本道代
講演 高橋順子氏「夫・車谷長吉―詩と小説の間」
詩の朗読とスピーチ
岩切正一郎 草野理恵子 黒岩隆 清水博司 竹内美智代 中井ひさ子

<新年会>17:00~19:00
会費5000円

司会 光冨郁埜 山本聖子

イベント担当理事 一色真理
東日本ゼミ担当理事 麻生直子

問い合せ
〒980-0801 仙台市青葉区木町通2-6-53 あきはビル4F
秋亜綺羅方 日本現代詩人会
Fax・022-774-2054  携帯・080-4408-6485

◇「西日本ゼミナール・滋賀」のご案内

2017年度通常総会を開催

 日本現代詩人会の2017年度通常総会が8月26日(土)午後1時30分から、早稲田奉仕園スコットホールで開催された。
 議事に先立ち、細見和之氏が「60年後に読む、黒田喜夫「ハンガリヤの笑い」を講演(詳細は別ページ)した。講師の紹介は司会の岡島弘子理事が行った。
 講演が終わった2時から、議事が始まった。総合司会は北畑光男理事、岡島弘子理事。開会の辞は新延理事長で「会の財政も厳しいが、次の世代に引き継いでいくことを考えていきたい、その中で一部規約改正もあります」と述べた。以倉会長は挨拶のなかで、北朝鮮のミサイル問題について触れ、「そのような状況の中でも、詩人会として自分たちは一つひとつやることをやっていくしかない」と述べた。その後、議長団として塚本敏雄氏と小林登茂子氏が選出された。
 北畑理事から、会員の出席は73名、委任状663名で、合わせて736名となったことが報告された。規約改正があるので、3分の2を超えることが必要だがそれに達したので、総会は成立することとなった。
 新延理事長によって前年度総会以降、今年7月までに逝去された会員の名前が読み上げられ、以倉紘平会長の「黙祷」の発声により物故者に黙祷を捧げた。

以倉会長と新延理事長


名誉会員に安藤元雄氏

 ご挨拶
安藤元雄
 名誉会員に推されたのは、私にとっては名誉なことですが、逆に会にとって不名誉な結果になりはしないかと思うと、気の重いことでもあります。今後はずっと発言や態度に気をつけて生きて行かなければならないと思うからです。
 六〇年あまり詩を書いたり、詩について考えたりしてきましたが、自分でもこれでいいと思えるような仕事ができたのはほんのわずかしかありません。とりわけ最近は、年令のせいもあると見えて、詩をどう書くか、どう読めばいいかが、正直だんだんわからなくなって来たような気さえします。
 そういう折なので、手厚い敬意のこもった称号をいただいても何だか面映いばかりですが、かといっていまさら新しく何ができるのか、心もとない次第です。しかし、ご好意は身にしみます。ありがとうございました。

[略歴]
 一九三四年(昭和九年)三月十五日、東京生まれ。東京大学仏文科卒業。時事通信社勤務ののち、國學院大学助教授、次いで明治大学教授となり、現在明治大学名誉教授。日本フランス語フランス文学会、日本文芸家協会各会員。日本現代詩歌文学館振興会副会長。日本近代文学館監事。二〇〇五年から二〇〇七年まで日本現代詩人会の会長をつとめた。詩集に『水の中の歳月』(高見順賞)、『夜の音』(現代詩花椿賞)、『めぐりの歌』(萩原朔太郎賞)、『わがノルマンディー』(詩歌文学館賞・藤村記念歴程賞)、『樹下』など。評論に『フランス詩の散歩道』、『フーガの技法』など。翻訳にボードレール『悪の華』、グラック『シルトの岸辺』、『シュペルヴィエル詩集』、オペラ台本『カルメン』、『ホフマン物語』など。編著(共編)に『堀口大學全集』、『齋藤磯雄著作集』、『立原道造全集』、『フランス名詩選』などがあり、共同監修に『現代詩大事典』がある。紫綬褒章、瑞宝中綬章を受賞。


60年後に読む、
黒田喜夫「ハンガリヤの笑い」
細見和之氏講演

 ここにお集まりのみなさんは、もちろん黒田喜夫の名前をよくご存知だと思います。一九二六年に山形県に生まれた黒田は、若いころから肺結核という重い病気を抱えながら、優れた詩を書き続けました。とりわけ、「ハンガリヤの笑い」、「毒虫飼育」といった代表作は、詩によってこのような表現が可能なのだということを、私たちに鮮烈に指し示してくれています。
 「ハンガリヤの笑い」の初出は『現代詩』一九五七年二月です。ですので、今年は「ハンガリヤの笑い」が発表され、日本の読者の目にとどいて、ちょうど六〇年ということになります。残念なことに、黒田喜夫の早過ぎる晩年にあたる時期、日本の詩の世界のなかで、黒田は孤立していました。それで、その死に際しても、目立った追悼特集は組まれませんでした。そんなことも踏まえて、六〇年後のいま、「ハンガリヤの笑い」は私たちにどのような印象をあたえてくれるか、ということを、みなさんと一緒に考えてみたくなりました。
 この作品の末尾には「1956年12月」という日付が書き込まれています。雑誌の「編集後記」でも、二月号の原稿は年末、一二月の段階で入稿した旨、記されています。「ハンガリヤの笑い」が主として描いているのは「ハンガリー事件」ですが、それは一九五六年一〇月二三日から一一月三日にかけて、ハンガリーの首都ブダペストで生じた事件です。つまり、黒田喜夫はあの出来事にほぼリアルタイムで向き合う形でこの作品を書いたことになります。
 作中に登場する「ラコシ」は当時ハンガリーで独裁的な権力を振るっていたスターリン主義者、一方「ナジ」は民衆に人気のあった政治家ナジ・イムレです。また「ホルチ」はハンガリーの軍人政治家ホルティ・ミクローシュのことで、反革命派のシンボル的人物です。
 それでは「ハンガリヤの笑い」を読んでみます。〔「ハンガリヤの笑い」朗読〕。
 まずもって鮮烈なのは、黒田がここで「ぼく」をつうじてブダペストで民衆によって吊るされる側に身を置いている、ということです。実際にその出来事は一九五六年一〇月三〇日に生じました。その日、秘密警察員や党書記らが民衆によって殺され、街頭に吊るされるという事態が発生しました。
 黒田はその報道に接したとき、そこで吊るされているのは自分だ、という直感に貫かれ、その直感をこの一篇の詩にまで仕上げたのだと言えます。黒田は若いころから優れた映画評を書いていましたが、そういう映像的な感覚も生きています。さらに後半では、吊るしているのも自分だという感覚が被さっています。
 あの事件に接して、吊るされているのも、吊るしているのも自分だという形で受けとめた表現者が世界中でどれだけいたか。
 ハンガリー事件を描いた評論の代表に、サルトルの「スターリンの亡霊」があります。あの長編評論もハンガリー事件をほぼリアルタイムで受けとめたものです。つまり、黒田とサルトルは同時期に、一方は詩で、一方は散文で、あの事件について力一杯語っていたことになります。しかし、サルトルの評論に、吊るされているのも吊るしているのも自分だという感覚はまったくうかがえません。あくまで傍観者的な批評者の立場です。
 そのこともふくめて、「ハンガリヤの笑い」は、詩の抱えている容量がどれだけ大きなものでありうるか、そのことを如実に示した作品だと私はあらためて思います。


報告、提案、議論――総会の討議内案

Ⅰ総会承認事項(各担当理事報告)
 議事の承認報告、議案などは総会資料を元に各担当理事から報告で進められた。その概要は次の通り。

1 会務一般について(新延理事長)
 2016年度の理事会は早稲田奉仕園セミナーハウスにおいて開催した。理事会はインターネットも含め12回開催(インターネット理事会は2回)した。なお、理事会議事録は、中本道代理事が毎回作成した。理事会への各理事の出席率も高く、重要事項の決定、各行事もスムーズに進んだ。
 会員名簿は中本道代担当理事と新延拳理事長、田村雅之副理事長が担当し、12月1日現在の在籍者により発行した。広告は20社(前年度より1増)、広告収入は44万円の協力があった。
 詩集賞の詳しい選考経過は日本現代詩人会発行の冊子『現代詩2017』において発表した。
2 先達詩人の顕彰(新延理事長)
 菊田守氏、木村迪夫氏、財部鳥子氏。6月18日の「日本の詩祭2017」において顕彰。顕彰状と記念品およびお祝い金を贈呈した。
3 会報の発行(斎藤理事)
 144号から147号まで発行した。144号(2016年10月)2016年度通常総会、懇親会報告。総会での講演 暮尾淳氏の「戦時下の三人の詩人」。新名誉会員 尾花仙朔氏 堀場清子氏の紹介他。
145号(2017年1月)以倉会長年頭所感 第67回H氏賞 第35回現代詩人賞の選考委員決まる。両賞への投票呼びかけ。先達詩人紹介(菊田守氏 木村迪夫氏 財部鳥子氏)。三氏の略歴と挨拶。東日本ゼミナールin宮城報告他。
146号(2017年4月)第67回H氏賞 北原千代氏 第35回現代詩人賞 中村稔氏の選考経過報告と両氏の略歴と受賞のことば。「現代詩ゼミナール東日本と新春のつどい」報告。ゼミナールの講演――小池昌代氏「サネトモさん」。管啓次郎氏「動物のいのちからリワイルディングへ」。西日本ゼミナールin高知の報告。日本の詩祭2017プログラム他。
147号(2017年7月)日本の詩祭2017報告。日本の詩祭会員出席者。新理事開票結果。国際交流ベトナム2017報告他。
4 H氏賞・現代詩人賞の決定(秋理事)
 第67回H氏賞の選考委員は八木忠栄、岩佐なを、高柳誠、水野るり子、峯澤典子、杉本真維子、浜江順子各氏。第35回現代詩人賞の選考委員は倉橋健一、安藤元雄、川島完、新藤凉子、時里二郎、岡島弘子、鈴木豊志夫各氏にお願いした。投票管理委員は、鈴木昌子、花潜幸各氏にお願いした。
 第67回H氏賞には北原千代『真珠川 Barroco』(思潮社)、第35回現代詩人賞には中村稔『言葉について』(青土社)が選ばれた。会員投票及び選考委員推薦による候補詩集及び選考経過は、当会「会報」146号、ホームページ、『現代詩2017』をご参照ください。
5 『現代詩2017』の発行(北畑理事)
 担当は田村副理事長と北畑理事で行った。第67回H氏賞関連として受賞者略歴、受賞のことば、選考経過、選考評、受賞詩人について、 作品抄を掲載。第35回現代詩人賞関連として受賞者略歴、受賞のことば、選考経過、選考評、受賞詩人につい て、作品抄を掲載。先達詩人の顕彰関連として略歴、作品、詩人紹介を掲載した。またH氏賞、現代詩人賞関連資料を掲載した。
6 日本の詩祭2017・先達詩人の顕彰(田村副理事)
 2017年6月18日(日)にホテル メトロポリタン エドモントで開催された。総合司会は田村雅之実行委員長、司会は塚本敏雄、草野理恵子両氏。
 新延拳理事長の開会の挨拶に続き、第67回H賞贈呈式となった。八木忠栄選考委員長の選考経過報告を行った。以倉紘平会長から受賞者の北原千代氏にH氏賞が贈呈された。瀬崎祐氏が受賞詩集『真珠川Barroco』と本人について紹介した。その後、北原氏の受賞のことばを頂いた。
 第35回現代詩人賞は、倉橋健一選考委員長が選考経過を報告。以倉会長から受賞者の中村稔氏(体調不良のため、次女の中村朝子氏が代理出席)に現代詩人賞が贈呈された。高橋順子氏が受賞詩集『詩について』について紹介した。その後、中村氏の受賞のことば(代読)を頂いた。
 先達詩人の顕彰では、木村迪夫氏、菊田守氏、財部鳥子氏に、以倉会長より深い敬意のことばと顕彰状が授与された。最後に、北原氏及び中村氏(代理)が、各受賞詩集から作品を朗読した。
 沖縄県立大学教授の波照間永吉氏の講演「琉球歌謡のことばと表現」が行われた。
 アカペラの男性コーラス5人組「ベイビー ブー」の歌の演奏。閉会のことばは、田村雅之実行委員長が行った。
 午後6時から、懇親会が行われた。司会は曽我貢誠、長田典子両氏。
 田村副理事長の開会のことば、以倉会長の挨拶のあと、HPの第1回投稿欄新人賞の表彰があり、野村喜和夫選考委員長から、櫻井周太氏に賞状と副賞が贈られた。そののち名誉会員の新川和江さんから乾杯の音頭をいただき、会場は祝宴ムードに包まれた。盛会のなか、来賓の川中子義勝氏の祝辞や新入会員、遠方会員の紹介と、つつがなく続き、結びの挨拶は黒岩隆詩祭担当理事。ここで「日本の詩祭2017」は閉会となった。
 会員170名、報道20名、一般60名で計250名の参加。懇親会は120名であった。
7 現代詩ゼミナール
 ⑴東日本ゼミナール(杉本理事)
  2016年11月27日(日)に現代詩ゼミナール〈東日本〉in宮城」が開催された。会場はゼミナールが仙台文学館、懇親会はパレスへいあん。講演は第34回現代詩人賞受賞記念講演として尾花仙朔氏と特別講話は「漫画家、詩にさわる」いがらしみきお氏。詩朗読は布川鴇、橋浦洋志、二階堂晃子、千田基嗣、藤川みちる、日野修+かとれあprojectの各氏。参加者145名、懇親会72名。詳細は会報145号に掲載した。
 ⑵現代詩ゼミナール(東日本)と新年会(杉本理事)
  2017年1月14日(土)に「現代詩ゼミナール(東日本)と新年会」が開催された。会場は早稲田奉仕園 スコットホール(講堂)、リバティホール。講演は管啓次郎氏「動物のいのちとリワイルディング(再野生化)」と小池昌代氏「サネトモさん」。詩朗読は伊藤悠子、浜江順子、黒崎立体、川名子義勝、草野早苗、田村雅之、瀬崎祐、石田瑞穂各氏。参加者67名、懇親会49名。詳細は会報146号に掲載した。
  次回の東日本ゼミナールは10月21日、山形県・酒田市で開催予定。
 ⑶日本ゼミナール(瀬崎理事)
  2017年2月25日(土)に「西日本ゼミナール・高知」として、西日本ゼミナール高知実行委員会と共催。会場は高知市「高知会館」飛鳥の間、第一部・講演1「詩を生きる、ということ」林嗣夫氏。詩の朗読は、森原直子、水野ひかる、清水恵子、べつのしかたで、高瀬草ノ介各氏、飛び入り数名。講演2「詩作への動機をめぐって」武藤整司氏。第二部の懇親会は同ホテルにて。参加者はゼミナール101名、懇親会65名。詳細は会報146号に掲載した。
8 国際交流(鈴木理事)
 「国際交流・ベトナム2017」を2017年4月1日、早稲田奉仕園リバティホールで開催。以倉絋平会長の主催者挨拶、またベトナム社会主義共和国日本大使館よりパム・クエン・フン一等書記官、日本ベトナム友好協会の本吉良吉理事長、(社)日本詩人クラブ太田雅孝理事長、早稲田大学大学院白石昌也教授の来賓挨拶他があった。
 講演は東京外国語大学大学院の今井昭夫教授「ベトナム文化の魅力と近現代」と、ベトナム作家協会より招聘したアイン・ゴック氏による「ベトナムの詩・ベトナム人が心を留める場所」であった。詩の朗読はアイン・ゴック氏が自選作品11編を、スピーチを交えて行う。日本語訳詩を会員の原田道子、小林登茂子、山中真知子、原詩夏至の各氏が朗読。
9 入会審査(岡島理事)
 入会担当理事の岡島弘子の他に秋亜綺羅、北川朱実、中本道代、浜江順子各理事の計5名で審査に当たり、49名の入会を決定、理事会の承認を得ました。11年度から入会資格の内規を改めた。「詩集・詩論集・訳詩集・訳詩論集の2冊以上出版の実績を持つ者」から、会則どおり「詩集・詩論集・訳詩集・訳詩論集を出版した者」の運用により審査したため、昨年度に続き新入会員が増加した。
10 後援賛助(新延理事長)
 総会資料にあるように各地の16件の後援賛助を行った。それなりにお役に立てているのではないかと思われる。
11 ホームページの運営(光冨理事)
 細かいことは総会資料に書いてあるので、これを参考にしてほしい。(2015年12月25日リニューアルオープン。現在(オープンから18か月の間)までに4万人程度の訪問者(ユーザー数)他)
 追加と訂正がある。現在の主な作成のページは60ページ以上。月間にすると一万円程度の費用がかかる。内訳はHP制作会社への八千円程度の保守管理費とHPを置く場所のサーバー代が千数百円程度となる。
 第5期(2017年4月から6月)の投稿数は389作品、投稿者222人で、少しずつ増えている。内訳は10代が22名、20代が70名、30代が35名、40代が32名となっており、若い方々に関心をもたれていると思われる。海外からの投稿、閲覧もある。
 入力チームにより戦後詩史年表(1945-2008)の作業が完了した。(その後は、検討課題となる)
 投稿欄の年間選考を行い、投稿欄新人賞を決定した。選者は野村喜和夫(選考委員長)、高貝弘也、峯澤典子各氏により現代詩投稿新人賞は櫻井周太氏に決定された。現代詩投稿新人として横山黒鍵、上原梨花、樽井将太各氏。授賞式は6月18日(日)午後6時より、詩祭のパーティーにて。新人賞及び新人の表彰。新人賞の櫻井さんの3分間スピーチ。新人賞・新人3名の詩1編の朗読。
 今後は手付かずのページがあるので、それを補充していきたい。
12 その他(新延理事長・秋理事)
 秋理事から報告があった。詩集賞の選考について、「詩集賞のあり方検討委員会」が設置されている。委員は以倉紘平、新延拳、田村雅之、八木幹夫、中本道代、斎藤正敏、布川鴇、秋亜綺羅各理事。
 今回は会則、細則を改定せずに共通の認識として確認できることを、今後の詩集賞選考委員会と次期以降の理事会への「申し送り事項」としたい。主な内容は以下のとおり。
 ⑴H氏賞においてはほかの賞とのダブル受賞は認めない。H氏賞は全国的な詩集賞受賞歴がある者は受賞の対象としない。現代詩人賞においても、ダブル受賞はできるだけ避けたい。両賞ともに、複数名受賞を今後認めない。投票結果で両賞にノミネートされた詩集がある場合、第1次選考委員会において、両選考委員長、会長、理事長の協議により、どちらかに絞るなど。
 ⑵歴代現代詩人賞受賞詩集収集に関する報告として。歴代のH氏賞受賞詩集は、公益信託平澤貞二郎記念基金の運営委員・平澤照雄氏の故郷である福井県の三国図書館に全冊揃えられている。歴代の現代詩人賞受賞詩集も全冊揃え、三国図書館に寄贈したいという提案があり、平澤氏から全面的な協力をいただくことになった。絶版の本は古書店やネット書店で入手。それらは平澤氏のご好意で、スキャニングされデジタル編集される予定。その後未収蔵の16冊は三国図書館へ贈られる。
 ⑶新延理事長から報告があった。70周年事業自体は、次々回の理事会においてなされるが、2016年の総会において、現理事会の考え方が問われた。第2回理事会において、その他議題として当該問題を討議した。過去2回行ってきた豪華本(『資料・日本の詩』など)の10年ごとにおける作成・配布は必要ないのではないか。新しいHP「会員のアンソロジー」(略歴込み)や「会の歴史」等も詳しく紹介されている。本の作成および配布に多大な経費がかかることも、現在の当会においては負担である。ただし、要望が多い場合には別途会費を取り、安価版を作成することも考えられる。そのほかに日本全国をいくつかのブロックに分け、それぞれで創意と工夫を凝らしてもらい、地方大会などのイベントを行ってもらう。それらに対して援助金を出すことにしたらよいのではないかなどの案も出された。次期理事会が判断することだが、上記の事柄を引継ぐこととした。

Ⅱ会計関係
 宮崎理事より2016年度の収支決算報告があり、「赤字が多いのだが、燃費が悪い車に例えられ、このままでいくと走られなくなる。新延理事長の発言のように体制を変えていかないといけない。また、理事会をインターネットで開催するなどの方法もとってきた。天候不順や入学式や日程などが重なり、恵まれない状況もあった。」と述べた。
 秋山・鈴木(欠席)監事により会計監査報告が行われ「任意団体であるが、瑕疵がなく適正に執行された。また、出費に関して前年度と今年度の差額について伺ったが、納得のいく説明であり、普通にやっていくと赤字になる結果となる。今後は次の方々がやっていくのだが、抜本的なことを考えないといけない」と述べ、承認された。

Ⅲ議案
1 ⑴新延理事長より事業計画案(総会資料14頁参照)
   ・2017年10月21日(土)東日本ゼミナールin山形(酒田)
   ・2018年1月13日(土)東日本ゼミナール 新年会と講演(早稲田奉仕園)
   ・5月27日(日)日本の詩祭2018開催(ホテル メトロポリタン エドモント)
   入会審査は2か月に1回行われていたが、変更があるかもしれないと報告があった。
  ⑵宮崎理事により2017年度収支予算案が提案された。「予算は例年通りだが、もう少し繰越金を残す方向にしないといけないので、次年度繰越金を増やした」と報告があった。
2 新延理事長より会則の改正について提案があり、質疑応答があった。
  ⑴「会則16条 この会は理事18名をもって理事会を構成する(旧)」
   「会則16条 この会は理事15名をもって理事会を構成する(改)」
  ⑵「会費・入会金納入細則」
    第6条 当会ホームページ投稿新人賞受賞者が35歳以下の場合は、入会金を免除することができる。(新)
 質疑応答の結果、理事会開催には大きな経費もかかるためその節減のためもあり「会則16条 この会は理事15名をもって理事会を構成する(改)」の改正は承認された。
 一方、ホームページ投稿欄新人賞の入会金3万円免除については「「35歳以下」という年齢制限が格差・差別に当たるので線引きはいかがか」という見方(年齢が上の方の投稿意欲を削ぐようなことにならないか、会員は平等であるべき)と、非正規雇用や経済的な問題もあり若者の支援が必要という見方と、意見が分かれ、挙手により次期理事会による継続審議となった。
3 理事選挙報告 2017・2018年度 理事承認(野田新五、塩野とみ子両氏)
 5月18日第10回理事会で、理事選挙投票管理委員の野田新五、塩野とみ子両氏の立会いのもと開票を行った。(会員総数1071名、投票数255票、投票率23.8%)。「理事選挙の投票は厳正かつ間違いなく行われた」と報告があった。
 その後、投票上位の者および会則17条により理事候補を選定した。
 理事長が得票順に各候補に理事就任の諾否を問い合わせたところ、11名の承認が得られた。その他17条による補充理事候補に就任を要請し4名の承諾が得られ、合計・下記の15名が17・18年度 の理事候補に確定した。
 総会で承認を得た上、新理事は9月21日開催の2017年度第2回理事会で初会合し、互選により会長、理事長、副理事長及び各理事の役割分担を決めることとなる。
 秋亜綺羅、麻生直子、以倉紘平、一色真理、菊田守、新藤凉子、鈴木豊志夫、塚本敏雄、中本道代、浜江順子、春木節子、光冨郁埜、山田隆昭、山本博道、渡辺めぐみ各氏
 その後、新理事たちの短い紹介・挨拶を行った。
4 名誉会員推挙(以倉会長)
 名誉会員に安藤元雄氏を推挙。総会で承認された。
5 会費納入に伴う議案(布川理事)
 年会費納入状況の説明があった。また、3年以上の会費未納者がある場合、下記条項があるが、残念ながら該当者がいるので、その審議が行われ、承認された。退会の3方は不名誉に名前が残るので、何らかの事情があれば会計や理事長に話してほしい。
【参考】会費・入会金納入細則第5条「会員が3年以上にわたり督促にもかかわらず会費を納入しない場合は、総会の承認を経て、退会したものと見なす」

Ⅳ報告事項(中本理事)
 会員の入退会は、入会49名、退会42名、逝去14名となったことが報告された。入会の歓迎の意味もこめて49名の名前が挙げられた。会員総数は1061名(12名の名誉会員含む)、引き続き会員を増やす努力をしていく。
 会員の意見・消息披露が八木理事から和やかな雰囲気で行われた。その後議長団解任があった。
 また名誉会員の安藤氏から挨拶があり、以倉会長から記念品贈呈があった。
 田村副理事長の閉会の辞により、本年度の総会は無事に終了した。

 この後、会場を移して懇親会が開かれた。司会は瀬崎祐、海埜今日子の両氏。以倉会長の挨拶のあと、新藤凉子氏の音頭で乾杯。アトラクションとして、吉田義昭氏が「懐かしの世界各国の歌を」を披露。ピアノは久富ひろむ氏。新人会員や、遠方からの参加者そのほかの方々の挨拶スピーチにより、懇親と交流が和やかに行われた。(記録・光冨郁埜)

総会出席者(50音順・敬称略)

秋亜綺羅、秋山公哉、麻生直子、天野英、安藤元雄、以倉紘平、池田康、一色真理、植木信子、海埜今日子、大掛史子、岡島弘子、北岡淳子、北川朱実、北畑光男、黒岩隆、桑田窓、こたきこなみ、小林登茂子、斎藤正敏、酒木裕次郎、塩野とみ子、清水茂、新藤凉子、杉本真維子、鈴木東海子、鈴木豊志夫、鈴木比佐雄、鈴木昌子、鈴切幸子、関中子、瀬崎祐、曽我貢誠、高橋次夫、田村雅之、鎮西貴信、塚本敏雄、対馬正子、廿楽順治、常木みや子、徳弘康代、戸台耕二、長嶋南子、中原道夫、中本道代、なべくらますみ、新延拳、西野りーあ、野田新五、根本明、萩原里美、浜江順子、原詩夏至、原田道子、春木節子、船田崇、細見和之、堀内みちこ、三ヶ島千枝、光冨郁埜、宮崎亨、宮地智子、宮本苑生、森三紗、森水陽一郎、八木幹夫、安森ソノ子、山田隆昭、山本博道、吉田ゆき子、吉田義昭、渡辺めぐみ

 

現代詩ゼミナール<東日本>in酒田のお知らせ

●東日本ゼミナール・新年会開催
 管 啓次郎氏、小池昌代氏講演

以倉会長

開会のことば 以倉会長

金井雄二・新井啓子両氏

司会 金井雄二、新井啓子両氏

 1月14日(土)、早稲田奉仕園スコットホール(講堂)にて、東日本ゼミナールおよび新年会が開催された。参加者は、67名。ゼミナールの進行役は金井雄二、新井啓子の両氏が担当。初めに以倉紘平会長から新年にふさわしい挨拶があった。今年の講演は管啓次郎氏と小池昌代氏の二本立てで、昨年同様八名の詩人たちによる朗読も行われた。まず浜江順子より管啓次郎氏の紹介がされた。詩人として内外で活躍する菅氏のテーマは「動物のいのちとリワイルディング」(再野生化)」。動物たちは絶滅の危機に「これでいいのか!」と、無言で訴えていると聞くと、思わず胸が詰まる。詩人としては、言葉を駆使することにより言語の方から動物保護に働きかけていくことが大切と締めくくった。第一部の詩の朗読は、伊藤悠子、浜江順子、黒崎立体、川中子義勝と、充実した朗読が続く。もう一つの講演、小池昌代氏は杉本真維子理事より紹介があった。小池氏のテーマは「サネトモさん」。源実朝の実像とその和歌をみずみずしい感性で講演された。実朝の歌には、「風景に心がのっている」とのその深い考察がいつまでも心に残った。「実朝は立ち姿が孤独である」との言及は、二十八歳で暗殺される彼の生涯、和歌とも重なるのだろう。続く草野早苗、田村雅之、瀬崎 祐、石田瑞穂の朗読も聞き応えがあった。閉会のことばはゼミ担当理事の杉本真維子。ゼミナールは多くの拍手の中、成功裏に終了した。
 新年会はリバティホール。新延理事長の開会の言葉、狩野敏也氏らの挨拶、財部鳥子氏による乾盃の音頭に続き、服部 剛、峯澤典子の司会で、坂本登美氏のハーモニカ演奏などを交えて、楽しい会となった。閉会のことばは副理事長の田村雅之。(報告・浜江順子)


 

「サネトモさん」
 小池昌代氏 講演

小池昌代
 源実朝の和歌に興味を持ったのは、『百人一首』がきっかけでした。現代語訳に取り組むなかで、私は恋歌より地味な叙景歌に惹かれていきました。例えば「朝ぼらけ宇治の川霧たえだえにあらはれわたる瀬々の網代木」(権中納言定頼)、「村雨の露のまだひぬ槇の葉に霧たちのぼる秋の夕暮」(寂蓮法師)など。同時に実朝の歌にも強く惹かれるものがありましたが、同じ自然を詠んでも、実朝の和歌には前掲の叙景歌とは違う独特の感触がありました。次は『百人一首』九十三番の実朝の歌です。
 世の中は常にもがもな渚漕ぐ
 あまの小舟の綱手かなしも
 前掲二首の叙景歌は、自然のなかに作者が溶け、ただ客観的風景が全面に広がっている印象を受けます。比べて実朝の歌からは、遠景の小舟を引く漁師を眺めている実朝自身の姿が見えてくる。実朝自身の意識のなかにも、風景を見つめている自分を見る、もう一人の自分という構造があったような気がします。詠われた風景に、実朝の心、そしてその生が薄く乗っているのです。作者の眼差しに重なるようにしてこの歌を読むとき、彼の背中ごしに鎌倉の海が見えてきます。
 そしてその眼には、どこかガラス玉のごとき感触があり、見えているものだけを率直に歌うだけだという、あまりに飾りのないむきだしの心が映っているようです。生きながらにして半ば死んでいる。実朝の歌には情感たっぷりの生のエロスはありません。無常観が芯にあり、運命を丸ごと引き受けるしかない人間独特のゆるぎのなさと哀しみが透けているようです。吉本隆明は『源実朝』のなかで、こうした実朝の歌の姿を「事実の思想」という観点から書きました。
 鎌倉幕府という制度のなかで、一族郎党の陰謀・対立・うち重なる死を目の当たりにしながら、実朝は遠くない未来に自分もまた、尋常ならざる形で死ぬであろうことを予感していたかもしれない。そういう人間が見つめた風景であり、創った歌であったということです。
 当日の資料には実朝の和歌十首とともに、小島信夫『抱擁家族』に現れた自然描写の一節を掲げました。小島信夫の一節には、内的危機や崩壊を抱えた人間の、一種がらんどうになった心に自然の風物が来襲するさまが描かれています。実朝の自然への眼差しに共通するものを感じたのです。


「動物のいのちからリワイルディングへ」
    管 啓次郎氏 講演

菅啓次郎
 動物は子供のころから好きだった。詩との出会いにも動物が大きく関係していた。中学一年のとき現代国語で、荻原朔太郎の有名な「猫」を読んだ。「おわあ、こんばんは」「おわああ、ここの主人は病気です」そのユーモアに新鮮な驚きを感じ詩に興味を覚えた。言語が語る動物は、もちろん現実の動物とは別の存在だ。けれども生きた動物と神話や物語や詩の中の動物は渾然一体と混じりあって分離することができない。われわれはそれを条件としてヒトになった。
 われわれには動物のことを真剣に考えなくてならない理由がある。現代は野生動物の大絶滅時代だ。過去千年の野生動物たちの激減の原因のすべては、いうまでもなく人間の所業にある。ヒトは他の動物たちに多くを負いつつ過酷な利用を繰り返してきた。動物の体を食材や素材とし、その力を労働に使って。動物たちとの関係において自分たちの存在の意味を考えてきた。だったら周囲の動物種が消えるとき、ヒトは危険なまでにバカになる。
 話は野生動物には限らない。家畜にとって、この世は地獄だ。端的な例が、原発事故後に放置され、また殺処分に遭った動物たち。経済価値を喪失すると同時に、かれらの命はあっさりと奪われた。この状況を考え直そうと、2014年の秋、シンポジウム「動物のいのち」を開催した。14名のアーティストや研究者とともに、個人的な記憶を掘り起こしつつ、動物の生命を考えた。ヒトは他の動物たちに対して優越感と心の負債を同時にもっている。徹底した人間中心主義で生きる自分たちの行動が他の動物たちの命を追いつめていることを、ぼんやり知りつつ、目をつぶり、耳をふさいでいるのだ。
 今なすべきことがあるとしたら、人間世界の自己収縮をめざし、野生の場所を拡大することだろう。オランダに、千頭を超える野生馬の群れが疾走する驚くべき土地がある。ここオーストファールテルスブラッセンで起きているのは、「再野生化」だ。この土地の四季を追った映画『あたらしい野生の地…リワイルディング』(2013年)はオランダ映画市場最大のヒット作となったドキュメンタリー。その作品に字幕をつけ、昨年秋に日本公開に漕ぎつけた。最後に、この映画の予告編をごらんいただきたい。ヒトの歴史の流れを変えようとするここに詩があり、われわれの詩的活動の意義もあると考えている。


 

◆東日本ゼミナール会員出席者
   (2017年1月14日・敬称略)
秋亜綺羅、秋元炯、天野英、以倉絋平、石川厚志、石川瑞穂、大掛史子、小野ちとせ、小山田弘子、柏木勇一、狩野敏也、川中子義勝、北川朱実、草野早苗、草野理恵子、熊沢加代子、黒岩隆、小林登茂子、坂本登美、杉本真維子、鈴木東海子、鈴木豊志夫、鈴木比佐雄、鈴木昌子、鈴木良一、瀬崎祐、曽我貢誠、財部鳥子、田中眞由美、谷口典子、田村雅之、常木みや子、中本道代、新延拳、西野りーあ、布川鴇、秦ひろ子、剛部剛、浜江順子、原詩夏至、春木節子、日原正彦、藤井優子、藤本敦子、細田傅造、水嶋きょうこ、光冨郁埜、峯澤典子、峯尾博子、宮尾壽里子、宮崎亨、宮地智子、望月苑巳、森水陽一郎、山田隆昭、結城文、渡辺めぐみ

懇親会風景

懇親会風景

◇東日本ゼミナール出席者
 会員 57人
 一般 10人
 懇親会出席者
 会員 43人
 一般 6人

西日本ゼミナールin沖縄のレジュメについての訂正

現代詩ゼミナール(東日本)と新年会
    主催:日本現代詩人会

日時:2017年1月14日(土) 午後2時~7時30分
会場:早稲田奉仕園
   PM2:00~5:00 スコットホール(講堂)
   PM5:30~7:30 リバティホール

<ゼミナール>PM2:00~5:00
       会費 1,000円(会員・無料)
       進行 金井雄二、新井啓子
開会のことば  以倉紘平(会長)
講演者紹介  (浜江順子)
講   演   管 啓次郎「動物のいのちとリワイルディング(再野生化)」
詩 朗 読   伊藤悠子、浜江順子、黒崎立体、川中子義勝        
― 休憩(10分)
講演者紹介  (杉本真維子)
講   演   小池昌代「サネトモさん」
詩 朗 読   草野早苗、田村雅之、瀬崎 祐、石田瑞穂
閉会のことば  杉本真維子(ゼミ担当理事)
         - 会場移動 ―

<新年会>   PM5:30~PM7:30
        会費  5,000円 
        進行  服部 剛、峯澤典子 
開会のことば  新延 拳(理事長)
祝辞・乾杯・遠隔地・新入会員紹介等

アトラクション 坂本登美(ハーモニカ演奏)

閉会のことば  田村雅之(副理事長)

<アクセス>
●JR山手線/西武新宿線高田馬場駅より
 都バス「学02早大正面行」→バス停「西早稲田」下車
 徒歩5分 
●東京メトロ東西線早稲田駅より 徒歩5分
《財団法人 早稲田奉仕園》
〒169-8616東京都新宿区西早稲田2-3-1
03-3205-5411(セミナーハウス)

●協力会員 鈴木昌子、常木みや子、西野りーあ、石川厚志
●担当理事 杉本真維子、浜江順子

連絡・問い合わせ先
 日本現代詩人会 携帯090-9141-6166

日本現代詩人会 西日本ゼミナール・高知のお知らせ

2016年度通常総会を開催

 日本現代詩人会の2016年度通常総会が8月20日(土)午後1時30分から、早稲田奉仕園スコットホールで開催された。会員の出席は57名。新延理事長が、委任状を含め370人で、会員数(6月30日現在)1060人の3分の1を超え、会則28条により総会は成立したことを報告。総会司会は八木幹夫理事、中本道代理事。議長団は柏木勇一氏と白井知子さんが選出された。冒頭、新延理事長によって前年度総会以降、今年7月までに逝去された12名の会員の名前が読み上げられ、以倉紘平会長の「黙祷」の発声により物故者に黙祷を捧げた。

名誉会員に尾花仙朔(左)、堀場清子氏(右)

尾花氏堀場氏
 総会は新延理事長の開会の言葉のあと、以倉会長が挨拶。年間行事が滞りなく実施され、会の発展と運営を支えてくれた会員に感謝の言葉を述べた。
 議事に先立って 暮尾淳氏が「戦時下の三人の詩人」を講演(詳細は6頁)した。講師の紹介は司会の八木幹夫理事が行った。

6_fmt 講師の暮尾淳氏
 さらに、2015年度第4回理事会で名誉会員に推挙された(15年11月19日)尾花仙朔、堀場清子の両氏についても満場一致で承認された。
 議事は、会員に送られた総会次第にのっとり、それぞれの担当理事が報告して進められた。ホームページの刷新についてはいくつかの質疑が成され、道半ばとはいえ前進もみられ今後力を傾注していくこととした。詩集賞のあり方検討委員会はスタートしたばかりだが問題点を整理しより良いものにするよう努力するとなった。懇親会は和やかな交流の場となった。最後には歌や踊りまで出て盛況のうちに総会日程を終えた。

 報告、提案、議論――総会の討議内容

以倉会長新延理事長八木理事、中本理事

左から以倉会長、新延理事長、八木理事、中本理事

◇総会承認事項(各担当理事報告)
 各担当理事が、会員に送付していた総会資料を基に要旨を報告した。概要は次の通り。
・会務一般について(新延理事長)
 2015年度の理事会は第1回から第11回まで計11回を早稲田奉仕園セミナーハウスにおいて開催した。議題と議事内容は会報に掲載しているので省略する。理事会への各理事の出席率も高く、重要事項の決定、各行事もスムーズに進んだ。会員名簿の発行は中本担当理事と新延理事長が担当し、12月1日現在の在籍者により発行した。広告は19社、広告収入は42万円であった。
・先達詩人の顕彰(新延理事長)
 田中清光氏、田村のり子氏。6月12日の「日本の詩祭2016」において顕彰し、顕彰状と記念品およびお祝い金を贈呈した。
・会報発行(斎藤理事)
 140号から143号までを発行した。各号の主な記事は以下の通り。140号(2015年10月)2015年度通常総会報告。新理事会の構成メンバーと役割分担。新名誉会員の紹介。141号(2016年1月)以倉会長年頭所感。先達詩人紹介。142号(2016年4月)第66回H氏賞、第34回現代詩人賞受賞決定、および選考経過報告、両氏の受賞のことば。143号(2016年7月)日本の詩祭2016報告。
・H氏賞、現代詩人賞の決定
            (秋理事)
 各賞の選考委員は第4回理事会で決定し、16年2月6日に第1回選考委員会、3月5日に第2回選考委員会をおこなった。第66回H氏賞には森本孝徳氏の「零余子回報」、第34回現代詩人賞には尾花仙朔氏「晩鐘」に決まった。
・「現代詩2016」の発行
    (田村副理事長、北畑理事)
 以下の記事を掲載した。第66回H氏賞関連、第34回現代詩人賞関連。先達詩人の顕彰関連。H氏賞、現代詩人賞
関連資料。
・日本の詩祭2016
         (田村副理事長)
 2016年6月12日に東京・飯田橋のホテル・メトロポリタン・エドモントで開催。今回のサブタイトルは「起ちあがれ、わがミューズたちよ」。第一部ではH氏賞、現代詩人賞の授賞式、先達詩人の顕彰、受賞詩人の自作詩朗読がおこなわれた。第二部では新倉俊一氏の講演「詩人 西脇順三郎とエズラ・パウンド」があり、八木理事が質問者となった。つづいて友部正人さんのフォーク演奏がおこなわれた。記名入場者は262名に上った。つづけておこなわれた懇親会には106名が参加した。
・東日本ゼミナール(杉本理事)
 2015年10月12日に秋田キャッスルホテルで開催。佐々木久春氏の講演「秋田の文学と風土―佐竹本歌仙絵を見ながら」、井坂洋子氏の特別講話「現代詩の今」、会員の詩朗読がおこなわれた。参加者は大会に82名、懇親会に35名であった。
・現代詩ゼミナール(東日本)と新年会         (杉本理事)
 2016年1月16日に早稲田奉仕園で開催。講演として神山睦美「詩人吉本隆明について」、平林敏彦「ぼくのセンチメンタル・ジャーニー」および会員の詩朗読がおこなわれた。参加者はゼミナール95名、新年会66名であった。
・西日本ゼミナール(北川理事)
 2016年2月20日に沖縄・那覇市のロワジールホテル那覇で開催。講演として平敷武蕉「時代に向き合う文学」、八重洋一郎「詩の方法・詩の未来」、および会員の詩朗読がおこなわれた。参加者は大会に164名、懇親会に110名であった。
・国際交流(鈴木理事)
 2017年4月2日にベトナムの詩人ヒュー・ティン氏を招聘する方向で打診中。なお、第36回世界詩人会議開催の要請があったが、予算化もされておらず総会にも間に合わないこと等から辞退した。
・入会審議(岡島理事)
 30名の入会と1名の再入会を決定した。なお2011年度からは入会資格の内規の2冊以上の詩集・詩論集・訳詩集・訳詩論集出版の実績を持つ者を改め、会則通りの運用としている。
・後援賛助(新延理事長)
 16件の後援賛助をおこなった。
・ホームページ運営(光冨理事)
 HPの内容としては、現代詩人会の広報、新人の発掘、会員の情報、現代詩の資料提供などとなっている。会員のアンソロジーを順次アップしている。夏から秋にかけて公開完了予定で、それ以後は会員情報などをアップしていく。詩の投稿欄には第1期に171編の投稿があった。選者は野村喜和夫、高貝弘也、峯澤典子の3氏。告知については雑誌の無料インフォメーション欄などのほかに、フェイスブック、ツイッタ―に公式ページを制作した。動画としては、詩祭の様子をビデオカメラで撮影し、Youtubeで視聴可能となっている。HPでも視聴可能とする予定。閲覧状況は月に1800人の閲覧者数である。現在、第1回から第65回目までのH氏賞受賞詩集の表紙画像をアップしている。
・その他(新延理事長)
 特別委員会として、新HP委員会、詩集賞のあり方委員会を発足させ、集中的に議論をおこなっている。H氏賞に関しては新人の定義について、詩人賞についてはダブル受賞をどうするか、など。
 平成28年度熊本地震について理事会で議論をおこない、被災者の方に申請をしていただいて一年間の会費免除を決定した。3人の方が対象となった。
・質疑応答
 新ホームページについて以下の質疑応答がおこなわれた。
 1.(質疑)ホームページのリニューアルについては理事会で検討するとなっており、事業は総会で承認されることが必要ではなかったか。(応答)前回の総会でリニューアルすることについては承認された。内容について理事会で検討し、投稿欄の新設、アンソロジーの収載をおこなった。資料、広報、動画は将来に向けての拡張性を持たせ、若い人を巻き込むHPにしたい。投稿欄のリスクなどについては今回のこれを試行として報告した。
 2.(質疑)コンテンツの魅力が伝わりにくい。デザイン・フォーマットが固く、写真がない。会員のエッセイなどがなく面白みがなくなった。(応答)デザイン、写真などはまだ充分には手が回っていないので、今後おこなっていく。若い人向けの頁を検討していく。たとえば朗読の動画など。
 3.(質疑)100万円以上のリニューアル・コストがかかっているが、見積もりなどはおこなったのか。新しいコンテンツを増やすときにさらに費用がかかるのではないか。(応答)妥当と思われる3社から見積もりを取り、決定した。今後は機能の実装の場合のみ費用がかかるが、通常のコンテンツ改訂は自分たちでやれる仕組みなので費用がかからない。
◇会計関係
 宮崎担当理事が、2015年度(2015年7月~2016年6月)の会計決算を読み上げて報告。会計監査を担当した秋山公哉、鈴木有美子氏が、会計が正当に執行されたことを確認した旨を報告した。
◇議案
・事業計画
 2016年度の事業計画案を新延理事長が報告。これに伴う2016年度収支予算案が宮崎理事より説明され、承認された。
・名誉会員の件
 以倉会長が尾花仙朔氏と堀場清子氏の推挙を提案。承認された。
・会費納入とそれに伴う議案
 布川理事が会費納入状況を説明。前年には2年以上の滞納者が200名あまりいたが督促をおこない現在は17名となっている。3年以上滞納者は1名がおり、会費・入会金納入細則第5条を適用することが提案され、了承された。
・質疑応答
 1.(質疑)70年記念事業の積立金の見通しはどうか。(応答)4年後なのでまだ議論を始めていない。
 2.(質疑)詩集賞の選考委員会は独立しているので規制してはいけないと考える。詩集賞のあり方検討委員会の議論の経過を会員に明示して欲しい。(応答)まだ1回開いたのみで、選考の問題点を確認したところである。逐次報告していく。
◇報告事項
・会員の入退会(中本理事)
 入会31名、退会29名、物故会員12名。2016年6月30日現在の会員総数は1060名で、このうち名誉会員は12名。昨年同期比6名減。
・会員からの便り
 欠席会員の消息を中心に、会員から送られた葉書の内容を北畑理事が披露した。
 田村副理事長の閉会の辞により総会は終了した。
 この後、会場を移して懇親会が開かれた。司会は朝倉宏哉、伊藤浩子の両氏で45名が参加した。北畑光男氏の発声で乾杯。アトラクションとして、渡辺文子さんが立原道造や寺山修司などの詩に付けられた歌曲を歌った。ピアノ伴奏は伊藤麻里さん。新人会員の佐々夕爾氏、遠方からの参加者の原利代子氏、塚本敏雄氏が挨拶スピーチをした。約2時間の懇親と交流が和やかにおこなわれた。 (文責・瀬崎祐)

左から伊藤氏、朝倉氏北畑氏鈴木氏

左から懇親会司会の伊藤浩子氏と朝倉宏哉氏、乾杯の北畑理事、スピーチをする鈴木東海子氏

ささき氏中原氏原氏高橋氏

スピーチをするささきひろし氏、中原道夫氏、原利代子氏、高橋次夫氏

渡辺氏(歌)と伊藤氏(ピアノ) 渡辺文子氏(歌)と伊藤麻里氏(ピアノ)

現代詩ゼミナール〈東日本〉in宮城のお知らせ(2016.11.27)

神山睦美氏「詩人 吉本隆明について」
平林敏彦氏「ぼくのセンチメンタル・ジャーニー」講演

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左・神山睦美氏 右・平林敏彦氏  

 

 1月16日(土)、早稲田奉仕園スコットホール(講堂)にて、東日本ゼミナール、および新年会が開催された。参加者は95名。天候にも恵まれ盛会となった。ゼミナールの進行役は山田隆昭、颯木あやこ、両氏が担当された。まず以倉絋平会長から会の運営には会員相互の親睦が大切なことがあげられ、与謝野晶子の絶筆となった九十首ばかりの歌や、芭蕉の詠んだ九百余句にみられる土地をことほぐ精神についての言及があった。今年は、神山睦美氏と平林敏彦氏の二本の講演と八名の詩人の朗読が組まれた。まず杉本真維子理事より神山睦美氏の紹介があった。神山氏の講演は「吉本隆明の詩と思想」。会場にはプリントが配られ吉本隆明の思想と死生観が丁寧に語られた。戦争体験を踏まえた戦後詩から復興と共に成熟してゆく「修辞的現在」。時代の変遷を吉本は否定したわけではなく修辞の先の可能性をみていたのだ。吉本が時代のメッセンジャーとして多くのファンを抱えるのはよく考えると同時によく読むことであろう。そこで得た結論。〈若い詩人たちの詩をまとめて読んでみて、ちょっと驚かされました。いってみれば、「過去もない、「未来」もない。では現在があるかというと、その現在も何といっていいか見当もつかない「無」なのです」。〉(吉本隆明『日本語のゆくえ』(光文社二〇〇八年)とほとんど全否定に近い。当然若い詩人から反論もあるが吉本の思索は小林秀雄、高村光太郎、本居宣長、カフカ ハンナ・アーレントといった先人達の思想と生き方に分け入っていくのだ。先人の思想と自身の思想の違い、先人の死生観と自身のそれの違いを発見していくのだ。吉本流の輪廻思想についてもう少し聞きたかったが、スリリングで丁寧な講演を堪能できた。第一部の詩の朗読は、カニエ・ナハ、水嶋きょうこ、福田拓也、田原、と若い詩人たちが登壇した。吉本論の後ということもあり未来に対する様々な思いがよぎった。
 途中休憩を挟み、後半は平林敏彦氏の講演「ぼくのセンチメンタル・ジャーニー」。浜江順子理事より平林氏の紹介があった。氏は登壇すると早稲田奉仕園のホールの教会様式から若き日の友人、キリストのような人物書肆ユリイカを起こした伊達得夫氏との思い出を語る。生きていくのも大変な戦後。出来ては潰れ、潰れては出来る出版業界にあって前田出版という零細出版社から身を起こし書肆ユリイカを立ちあげていく伊達得夫とその周辺を報告した。原口統三の「二十歳のエチュード」から始まり、稲垣端穂、那珂太郎、中村真一郎、谷川俊太郎、鮎川信夫、平林敏彦などなど。一九五〇年頃に平林は伊達と会っていた。二人の出会いには当時文学座の座員であった義弟が一役買っている。伊達の侠気をみるのは紙が余っているということで廉価で出してくれた平林敏彦詩集『廃墟』。家が近いことで親しくしていた金子光晴の計らいか出版記念会では金子の他壺井繁治、山之口漠、岩佐東一郎、近藤東、長江道太郎、山本太郎、滝口雅子といった面々が並ぶ。余程懐しい存在なのだろう。伊達の話で時間をとられさてこれから自身の話という処で講演時間が尽きた。貴重な来歴の報告であった。浦歌無子、宮崎亨、八木幹夫、財部鳥子と充実した朗読が続いた。閉会のことばはゼミ担当理事の浜江順子。ゼミナールは無事修了した。
 新年会は会場を敷地内のリバティホールに移し開催された。新延理事長による開会の言葉、清水茂氏らの挨拶、新藤凉子氏が乾盃の音頭をとり、花潜幸、春木節子の司会で、和やかな宴となった。閉会のことばは副理事長の田村雅之。(報告・斎藤正敏)

◆東日本ゼミナール会員出席者
(新年会含む・敬称略)
秋亜綺羅、麻生直子、天野英、安楽正子、以倉絋平、石川厚志、市川つた、一色真理、伊藤浩子、植村秋江、上村弘子、岡島弘子、岡野絵里子、小野ちとせ、小山田弘子、柏木勇一、神山睦美、川崎芳枝、菊田守、北川朱実、北畑光男、草野理恵子、熊沢加代子、黒岩隆、小島きみ子、こたきこなみ、斎藤正敏、桜井さざえ、塩野とみ子、重永雅子、清水茂、下川明、新藤凉子、杉本真維子、鈴木豊志夫、鈴木東海子・鈴木正樹、鈴木昌子、鈴木比佐雄、鈴切幸子、関中子、瀬崎祐、曽我貢誠、高田太郎、財部鳥子、竹内美智代、谷口ちかえ、谷口典子、田村雅之、常木みや子、寺田美由記、中島登、中地中、中原道夫、中本道代、なべくらますみ、新延拳、西野りーあ、布川鴇、萩原里美、花潜幸、浜江順子、林田悠史、原利代子、春木節子、平林敏彦、颯木あや子、福田拓也、藤井優子、藤本敦子、堀内みち子、水島きょうこ、光冨郁埜、南川隆雄、宮崎亨、宮地智子、八木幹夫、山田隆昭、吉田隶平、渡辺めぐみ

西日本ゼミナールin沖縄2016

「東日本ゼミナール・in秋田」開く秋田の風土感が充溢して(2015)

 10月12日(月)、秋田市「秋田キャッスルホテル」を会場に開催された。全体テーマは「秋田の文学と風土」。参加者は日本現代詩人会・秋田現代詩人協会会員49名、一般33名合計82名であった。一般の参加者が予想を上回った事と、市内2高校の文芸部員6名が顧問と共に参加してくれたのも嬉しい事だった。
 第一部のゼミナールは保坂英世県現代詩人協会事務局長の司会で行われ、担当理事杉本真維子氏の開会挨拶の後、新延理事長の挨拶及び石川吾朗県現代詩人協会長の挨拶があった。
 講演は佐々木久春氏の「秋田の文学と風土考―佐竹本歌仙絵を見ながら」。佐々木氏は奥羽の佐竹藩が莫大な金額を要する歌仙絵を所有するに到った過程を説明する中で、北廻船が秋田の文化に与えた影響の大きさ、人間の個性に風土や社会・歴史が相互に可逆的に影響を与えることも指摘した。
 特別講演は「現代詩の今」と題して井坂洋子氏が行った。井坂氏は資料として須藤洋平、中島悦子、渡辺めぐみ、佐々木安美、杉本真維子の若手詩人の作品を取り上げ、会場にいた渡辺、杉本両氏に突然朗読をお願いするシーンも。「自分の秘密の扉をノックしてからでないと詩は書けない。ここから始まり多くの人の心に入っていけるかどうか」という言葉が特に印象的だった。
 自作詩朗読は東野正(岩手)、亀谷健樹、吉田慶子、福司満(秋田)、佐々木英明(青森)、の五氏が行った。秋田の三詩人は全員秋田弁での朗読であった。
 アトラクションは明治二十年代に完成されたという、木内勇吉一座による郷土芸能「猿倉人形芝居」の上演。コミカルで軽快な人形の動きに皆瞠目。
 駒木田鶴子県現代詩人協会副会長の閉会の挨拶で第一部は無事終了した。
 第二部は懇親交流会。県現代詩協会の吉田慶子、平塚鈴子両氏の司会で進行。アトラクションの浅野千鶴子氏の秋田民謡で会場は盛り上がった。最後の「ドンパン節」に合わせ理事長が踊る一幕もあり、楽しいひと時だった。

(秋田県現代詩人協会 成田豊人)


 

「日本現代詩人会東日本ゼミナールin札幌」開かれる(2014)

 

日本の詩のゆくえを見つめて

    講演、北海道3詩人の提言、そして朗読

 

映像と縄文太鼓背に講演

 2014年10月25日午後1時から札幌アスペンホテルで日本現代詩ゼミナール東日本(札幌)が開催された。日本現代詩人会員27名を含め参加者は78名。杉本真維子理事が開会の言葉、挨拶は財部鳥子日本現代詩人会会長と渡会やよひ北海道詩人協会会長が行った。

 引き続き、ゼミナールの全体テーマである~日本の詩のゆくえを見つめて~と題して、原子修氏が講演した。大自然の理を軽んずるユーラシア系文明の拡大により、詩が衰退した。自然と共生した縄文人の文化文明複合の知恵を詩の創造の原点とし、退行化傾向にある日本の現代詩を「詩の機能と美と詩型の多様化、重層化」へ深化させるべきと論じた。講演のなかに、縄文詩劇の映像と縄文太鼓演奏を入れ、詩領域の拡張を示唆した。

(講演要旨)

 「物・技術」に関わる〝文明〟と、「心・言霊」に関わる〝文化〟は、不可分の関係にある。我欲と暴力の是認によって自然の理に背いた〝ユーラシア系文明文化複合〟は、結果として詩の衰退を招いた。二十一世紀の現実である。しかし、ヘシオドスを祖とする〈言葉の精密な意味での現代詩は、一貫してそれを批判し、人として歩むべき真の姿を追求してきた。

 幸いにも私達の遠祖の縄文人は、大自然の摂理に従って一万年もの間、戦いのない世を創造した。私達詩作者は、その知恵を鑑(かがみ)とし、決して過去へと退行することなく、〝縄文系文化文明複合〟の哲理をふまえて、すぐれて感動的な〈現代詩(、、、)〉の創造に励むべきではないのか。ともすれば、〝文明文化複合〟としての都市生活に溺れて己のポエジーを〝日常的な感性と思惟〟に限定しがちな潮流をこえ、詩精神や詩形の多様化、重層化を実現し、日本語詩圏の成熟をみるべきではないのか。

 

三詩人が独自の視点で提言

 続いて、提言~日本の詩のゆくえを見つめて~が行われ、橋本征子氏は「詩の書き手は自己の想像力の内に文明批評的要素を持つことが必須である」と述べた。渡辺宗子氏は「死者の山が築かれているこの時代にー<シモーヌ・ヴェイユ>」という題目で権力に対する抵抗をやめない言葉について論じた。若宮明彦氏は漂流壜あるいは投壜通信を例にあげ、パウル・ツェランの視点から、詩の言葉を発することの意味を考える必要があると論じ、最後に全体質疑を行った。

 次いで、自作詩朗読に移り、森れい氏、荒木元氏、村田譲氏、熊谷ユリヤ氏、渡会やよひ氏(以上北海道)、田中眞由美氏(埼玉)、清岳こう氏(宮城)、藤田晴央氏(青森)の8氏が個の世界を多彩に展開した。

 

花を添えたムックリの演奏

 アトラクションは、石井ポンペ氏のアイヌ民族に伝わるムックリ等の演奏。各地から集まった参加者に感銘を与えた。

 第一部閉会の挨拶は当ゼミナールの実行委員長でもある原子修氏が謝意を含めて行った。

 第二部の交流会には38名が参加した。三村美代子会員の司会のもと、岡島弘子理事の開会の辞と金井雄二副理事長の挨拶に続いて綾部清隆会員の乾杯の音頭で交歓の幕が開かれた。各地から参加された方のスピーチも交えて宴は盛り上がり、鷲谷峰雄会員の乾杯で閉会した。(文責・坂本孝一)

 


 

「東日本ゼミナールin長野」開く(2013)

信濃路そして松代文化を体感 

 10月12日(土)、長野ホテル犀北館にて開催された「現代詩ゼミナール〈東日本〉in長野」は、「信濃路そして松代文化の体感を!」キャッチフレーズに、日本現代詩人会・長野県詩人協会会員67名、一般11名の参加で成功裡に幕を閉じた。

 第1部ゼミナールの司会は酒井力、小島きみ子が受け持ち、講演の清水茂先生「存在と詩のことば」は、フランスの詩人イヴ・ボヌフォワの黄昏の情景から問題提起をされ、高森忠義長野県詩人協会長は「北信濃の前衛文化」で、松代が生んだ信州人についての語りで盛り上がりを見せた。

 自作詩の朗読は、秋山泰則(長野)、清岳こう(宮城)、後藤基宗子(福島)、竹内清志(長野)、鈴木良一(新潟)、佐相憲一(東京)、狩野敏也(埼玉)、柳沢さつき(長野)の各氏が個性豊かな作品を会場に響かせた。

 第2部懇親交流会は畠山隆幸、小林由美子の司会で、先ずはアトラクションとして善光寺木遣りが披露された。平成3年に、長野市無形文化財に登録され、善光寺の諸行事、いろいろなお慶びに唄われ、カーネギーホール、国立劇場、長野冬季五輪前夜祭等活躍の場を広げている面々の声は、いやが上にも会場を熱気に包みこんだ。

 久しぶりの再会にグラスを合わせる人、名前は存じても初対面の人、各地から集う詩人たちで長野の夜が賑わいに酔いしれていく頃、遠方よりの客人をもてなす松代藩特有のお肴行事が始まる。

 講師の清水先生、朗読者のみなさん、日本現代詩人会の役員に、長野県詩人協会から、ご苦労様の盃を申し上げ、並々と注がれたお酒の肴には謡曲の小謡が添えられる。

 お返しの盃があり、信州の儀式は格調が高い。やがて万歳三唱で締めくくられるが、これも3つ繰り返される。

 翌日は松代方面の観光で、負の遺産大本営地下壕、大島博光記念館と松代を満喫して頂いた。

(長野県詩人協会事務局長・和田 攻)

東日本ゼミナール・新年会開催2015

西日本ゼミナールin福岡

 短歌と詩の間にあるもの 穂村弘、東直子、谷内修三、北川朱実4氏が登壇
  2015年3月21日(祝)、福岡県詩人会との共催で、西日本ゼミナールin福岡「短歌と詩、その相似と相違について」が開催された。会場となった西鉄イン福岡大ホールには、会員だけでなく一般の詩歌愛好者ら、およそ130人が詰めかけた。同大会実行委員長の脇川郁也の開会宣言の後、財部鳥子会長と福岡県詩人会の田島安江代表幹事が、主催者を代表してあいさつ。第一部の座談がスタートした。
 

■詩と短歌、越境の可能性

  短歌界から歌人の穂村弘氏、東直子氏と、当会会員の谷内修三氏、北川朱実氏の4人が登壇。自己紹介とともにそれぞれの「好きな詩・短歌」を挙げた。
  寺山修司、岡井隆、塚本邦雄などに影響を受けたという穂村氏は、好きな詩人として西脇順三郎、谷川俊太郎、吉岡実、谷川雁などを挙げたが、その理由に「厳密に書かれているに違いないと考えた」と発言、続いて「現代詩は読み手を拒んでいる。まどみちお、金子みすゞ、相田みつをといった書き手の作品が持つ特徴である大衆性・通俗性、ポエム性を拒んでいるのではないか」と持論を展開した。
  対して谷内氏は「個人として作品のジャンルを区別しない」と語り、北川氏は「平易な詩、詩情のある作品も拒んではいない」と答えた。東氏が「俵万智が登場したとき、短歌界にもすぐに彼女を認めない動きがあったが、結果、現在の口語短歌の浸透が進んだ」と変化が現れるきっかけを述べた。一般的に「分かりづらい」といわれることもある現代詩の抱える一面に近接した瞬間であった。
  その後、短歌界が持つ「結社」の存在が話題に上ったが、東氏は個人として「結社の価値観を受け入れつつアレンジして詠んでいる」と述べ、穂村氏は、近年、若い歌人たちは結社に依存していないことを紹介した。詩も短歌も、若い人たちの多くが、同人誌グループに所属することなく、ウェブサイト上を発表の場としていることなどが思い起こされた。
  東氏が「五七五七七という言葉の流れが韻文となってはじめて短歌になる」と述べると、谷内氏は「詩や短歌を読む際、吐く、出す、かみ砕くなど肉体の動きを伴う動詞をキーワードに読んでいく」とその方法論を披露した。
  北川氏が「この一首を読んで詩を書きたいと思った」と、笹井宏之の短歌一首に触発されて書き上げた詩作品「漂流するもの」を披露した。それについて、穂村氏は「短歌でいえば、反歌のようなもの。歌の世界に愛情を持っている作者が見える」と言い、東氏は「短歌の持つ儚さを受けつつ、31文字という1行で書かれた世界をよく理解されている。それから触発された詩の魅力を堪能できた」と語った。
  座談の最後には、文学の越境を今後も続けていけば、一つの言葉をきっかけに詩と短歌が接近でき、触発される中で何かしら「希望」が生まれるとまとめられたが、座談を通じて詩と短歌のふたつの世界のボーダーはそれほど高くないはず、むしろ、お互いがみえないボーダーを感じてしまっているのかもしれないとの印象を参加者に与えた。
  座談を通して、詩人は短歌を、歌人は詩を知らない部分が随分あるということが露わになった半面、詩と短歌が、詩人と歌人が、共に「越境する」ことの大いなる可能性を見いだせる会となった。
 

■「四人四様」個性ある朗読披露

  休憩を挟んで、朗読「四人四様」が実施され、登壇者全員がそれぞれ個性ある朗読を15分ずつ披露した。
  3時間を超す催しであったが、閉会の挨拶を瀬崎祐西日本ゼミナール担当理事が述べた。
  閉会後、懇親会までの間、参加者の多くは会場そばの福岡市赤瓦文化館(福岡市文学館)を訪問。同館の「福岡県詩人賞」受賞詩集の展示状況などを見学した。

 

■博多湾一望の会場で懇親交流会

  会場を移して、山崎純治、山田由紀乃(共に福岡県詩人会会員)の司会進行により、懇親交流会が開かれた。会場となった同ホテル最上階のレストラン「ブロッソ」からは福岡・博多の街並みや博多湾が一望でき、参加者も眺望を満喫した。
  開会の挨拶を北畑光男理事長が述べ、金井雄二副理事長の乾杯の音頭で懇親交流会はスタート。登壇した歌人の穂村氏、東氏も参加してあちらこちらで話が盛り上がった。和気あいあいのうちに進んだ約2時間の懇親交流会であった。北川朱実西日本ゼミナール担当理事が最後の挨拶を述べ、閉会となった。(文責・脇川郁也)
 

2015年度 通常総会を開催

2015年度 通常総会を開催

 日本現代詩人会の2015年度通常総会が8月22日(土)午後1時30分から、早稲田奉仕園スコットホールで開催された。会員の出席は68名。北畑光男理事長が、委任状を含め485人で、会員数1066人(6月30日現在)の3分の1を超え、会則28条により総会は成立したことを報告。総合司会は岡島弘子、葵生川玲理事。議長団は望月苑己氏と岡野絵里子さんが選出された。冒頭、北畑理事長によって前年度総会以降、今年7月までに逝去された20名の会員の名前が読み上げられ、財部鳥子会長の「黙祷」の発声により物故者に黙祷を捧げた。
 
 総会は北畑理事長の開会の言葉のあと、財部鳥子会長が挨拶。詩集賞、詩祭、東西のゼミナールなど、日本現代詩人会の様々なイベントが滞りなく実施され、会の発展と運営を支えてくれた会員に感謝の言葉を述べた。
 
 議事に先立って、菊田守氏が「詩を書くということ」と題して、自作詩の資料を会場に配って講演(詳細は後述)。理事長、会長を歴任した菊田氏については山田隆昭理事が紹介した。
 
 さらに、2014年度第4回理事会(14年11月20日)で名誉会員に推挙された平林敏彦、藤富保男、平澤照雄3氏についても満場一致で承認された。また、2015年度から任期2年間の新理事も登壇し自己紹介した。
 
 議事は、会員に送られた総会次第にのっとり、それぞれの担当理事が報告して進められた。この中では、ホームページ刷新について、とくに投稿欄を設けるという企画案に対して複数の会員から賛否の意見が出て、活発な議論が展開された。このため議題のすべてが終了するまで予定の時間をオーバー。懇親会も遅れて開催されたが、ここでは和やかに交流の場が広がり、最後は威勢の良い歌も出て盛況のうちに総会日程を終えた。
 
(報告・柏木勇一)
 

 

2014年度総会開く

会員数1067人(前期比21人増)

新名誉会員に高良留美子氏・辻井喬氏

 日本現代詩人会の2014年度通常総会が8月23日(土)午後1時30分から、東京・西早稲田の早稲田奉仕園で開催された。会員の出席は64名、有効委任状439名、計503名で、会員数(6月30日現在)1067名の3分の1を超え、会則第28条により総会は成立した。

 会場受付は会員の沢村俊輔氏と小野ちとせさん。総会の司会は、山田隆昭、杉本真維子理事。北畑光男理事長が開会の言葉を述べ、財部鳥子会長が「詩人会は何のためにあるのか。詩人会が発展するだけでは意味がない」と問いかけ「宇宙的視野に立って良い詩を書いていきたい」と挨拶。2014年度事業計画などが承認された。議事に先立ち、以倉紘平氏による「平家物語―鎮魂の構造」の講演があった。

 議長団に森野満之氏と山本聖子氏が選出された後、昨年度総会以降今年6月末までに逝去された21名の物故会員の名前が北畑理事長によって読み上げられ、黙祷を捧げた。

 なお、2013年度第4回理事会(13年10月17日)で名誉会員に推挙された高良留美子氏、辻井喬氏(推挙後の11月25日逝去)についても、満場一致で承認された。財部会長から、高良留美子氏に推挙状と記念品が、故辻井喬氏の二男堤たか雄氏(セゾン現代美術館代表理事)に花束が贈呈された。

 高良留美子氏は、すでに2011年度先達詩人として顕彰を受けているが、この日の挨拶で、日本現代詩人会に入会した頃のエピソードと、この会をとても大事にしていることを語った。

 

◇総会承認事項(各理事報告)

 各担当理事が、会員に送付していた総会資料を基に要旨を報告した。

・会務一般について(北畑理事長)

・会報発行(柏木理事)

・H氏賞、現代詩人賞(斎藤理事)

・2014冊子(金井副理事長)

・詩祭2014(山本理事)

・東日本ゼミナール(岡島理事)

・西日本ゼミナール(北川理事)

・国際交流(鈴木理事)

・入会審議(麻生理事)

・後援賛助(新延理事)

・ホームページ運営(瀬崎・鈴木理事)

 

◇会計関係

 根本担当理事が、2013年度(2013年7月~2014年6月)の会計決算を読み上げて報告。会計監査を担当した鈴木正樹、中本道代氏が、会計が正当に執行されたことを確認した旨を報告した。

 

◇議案

・事業計画

 2014年度の事業計画案を北畑理事長が報告。これに伴う2014年度収支予算案が根本理事より説明され、承認された。

・名誉会員の件

 財部会長が高良留美子氏と辻井喬氏の推挙を提案。承認された。なお、辻井氏は理事会で推挙決定後に逝去されたが、ご自身の受諾を確認しているため総会推挙となった。

 この日出席した辻井氏の二男堤たか雄氏は、「名誉会員推挙の知らせを受けた時、父はとても喜んでいた」ことを語った。

・会費納入とそれに伴う議案

 宮崎理事が会費納入状況を説明。今回は残念ながら3年以上未納者一名がいるため、「3年以上の督促にもかかわらず会費納入しない場合は総会の承認を経て退会とみなす」という会費・入会金納入細則第5条を適用することを提案、了承された。

 

◇報告事項

・会員の入退会

 名簿担当の渡辺理事が入会63名、休会2名、希望退会23名、物故会員21名、会員総数1067名で昨年同期比21名増と報告。

・会員からの便り

 欠席会員の消息を中心に、会員から送られた葉書の内容を葵生川理事が披露した。自らの病気や家族の介護などで外出が難しいという声が多かったこと、従って、会報を隅々まで読んで、各地の詩人団体の動きや会員の詩集発行の情報を得ていることなどが伝えられた。会報への関心が高いことが改めて裏付けられた。

 金井副理事長の閉会の辞により総会は終了した。

 この後、会場を移して会員の花潜幸氏と鈴木有美子さんの司会で懇親会が、開かれた。菊田守氏の発声で乾杯。新入会員の戸台耕二氏、高崎市から出席した田口三舩氏らが挨拶。約2時間、和やかな懇親と交流、議論と談笑の輪がいくつも生まれた。

(文責・柏木勇一)

 

以倉絋平氏講演「平家物語―鎮魂の構造」沙羅の木陰の奇蹟

 以倉紘平氏の講演「平家物語―鎮魂の構造」は、平家物語を単なる軍記物としてではなく、その重層的多面的側面を、仏教との関わりについて、資料を示して熱く語られた。要旨は次の通り。

 平家物語は文学史のジャンルとしては軍記物に属し、表層は男性原理で動いているが、物語の深層には、女性原理が働いている。一例として

平清盛の娘で安徳天皇の母であった建礼門院をあげたい。壇の浦の戦いで安徳天皇は入水、平家一門は滅亡したが、建礼門院は京に送られて出家。生涯を祈りに捧げた。いくさで亡くなった男たちの後世を祈ることは、当時の女性の役割であった。ここにも女性原理が働いている。

 平家物語は、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き有り。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を現す」で始まっている。この冒頭は単なる観念的な世界観の提示としてではなく、仏教説話の具体的なイメージを想起しつつ読まなければいけない。(ここで以倉氏はかすかで甘美な鐘の音が響くという無常堂の図を示す)諸行無常は、この世を貫く厳しい父性原理の提示であるが、無常偈(無常の教えを4行詩にしたもの)の4句目、甘美な〈寂滅為楽〉の世界と響きあっていて、深層に女性原理が働いている。同じく冒頭の〈盛者必衰の理〉も、厳しい父性原理であるが、沙羅双樹の物語は女性原理である。

 沙羅の物語を掘り下げたい。

 ブッダは、紀元前463年、ネパール・ルンビニ園の沙羅樹の下で、誕生した。(最近の調査でこのことは明らかになっている)。しかし母親のマーヤは、ブッダを産んで7日後に亡くなられた。ブッダは心にそういう欠損を抱えたひとであった。物心ついた頃から、ブッダにとって沙羅の木陰は、特別の空間であった。母なるものを感じる空間であったと思われる。80歳になって、故郷に帰る最後の旅をされたブッダは、旅の途中、様々な木陰で休息をとられた。お気に入りは、マンゴー樹であったけれども終焉を迎える木陰は、クシナーラという土地の沙羅の木陰であった。仏典『ブッダ最後の旅』によると、沙羅の白い花は、涅槃を迎えるブッダの上に〈降りかかり、降り注ぎ、散り注いだ〉とある。ブッダの涅槃は、母なるものに包まれたのである。平家物語は、平家も源氏も、沙羅に包まれて亡くなったことを物語るレクイエムであると思う。

 

「特定秘密保護法案」声明をめぐり議論

 日本現代詩人会は2013年11月24日の臨時理事会で「特定秘密保護法案」成立に反対する声明を「日本現代詩人会声明」として出し、1月24日発行の会報133号で声明文を掲載した。

 これに対して今回の総会で「声明には違和感があった。会員アンケートを取って会員の声を聞いてほしかった」という意見があり、重要な問題提起として、議題審議が一段落した後改めて質疑応答の形で議論した。

 最初の質問に対して北畑理事長は「法案上程が直前に迫り、会員のアンケートを取る時間的余裕がなかったので理事会声明を出した」と答弁した。これについて、「理事会が現代詩人会の名において声明を出したのではないか」という確認を求める指摘があり、理事長も是認した。

 声明に批判的な意見は「日本現代詩人会という組織に、政治と宗教の問題を持ち込まない方がいい。声明は出さない方が良かった」「そもそもこの法案に反対する姿勢に驚いた」「この法律で、表現の自由が侵されるとは思わない」「時間がなかったというが、理事会の合意が即会員の合意ではない」「理事会が会員の総意として出したことは遺憾」などが主な内容。

 声明を支持する立場から、「危機的状態にあるのに、声明に反対する会員に危機感がない」「詩を書く社会が脅かされている。この曲がり角に直面し、詩人がどういう動きをするかを示すことは重要。他の文学団体も声明を出している」などの意見が出た。

 「このように意見が対立しているのに、安直に声明を出したことに問題があったのではないか」という指摘もあり、最後は財部会長が拙速だったことを認めた上で「表現者に対して厳しくなる時代が予想されたので、法案上程前に反対しておくべきだと判断し声明を出した」と答えた。

 議長からも、「総会でこのような議論が交わされたことに意義があった」と、まとめ、この問題の応答を終えた。

 

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