研究活動・親睦

総会

2018年度通常総会を開催

日本の詩祭 2018 開催

一生忘れない、一行の詩を見つけよう。

H氏賞・現代詩人賞贈呈、先達詩人顕彰
5月27日、ホテルメトロポリタンエドモント

現代詩人賞を受ける 清水茂氏     H氏賞を受ける 十田撓子氏

 日本現代詩人会最大のイベント「日本の詩祭2018」が、「一生忘れない、一行の詩を見つけよう。」というサブテーマで、5月27日(日)、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで開催された。実行委員長を一色真理理事がつとめ、秋亜綺羅理事長が開会の挨拶。詩祭は二部構成で、13時からの第Ⅰ部では、H氏賞・現代詩人賞の贈呈式と、先達詩人の顕彰。それぞれの挨拶と詩の朗読があった。

一色真理実行委員長

 第Ⅱ部は日本現代音楽協会と日本現代詩人会の初めてのコラボによるトークと現代音楽コンサートがあり、会場を魅了した。
 18時から懇親会に移り、山本博道副理事長の閉会の挨拶で終了した。(詳細は1~7面。写真・動画撮影は光冨郁埜理事、鈴木茂夫(懇親会))

開会のあいさつの秋亜綺羅理事長

◇第Ⅰ部(司会・望月苑巳、藍川外内美)

初めに司会の望月苑巳氏と藍川外内美氏がそれぞれ詩祭の第Ⅰ部と第Ⅱ部の概要を説明した。
 続いて開会の辞の中で秋亜綺羅理事長は、日本現代詩人会は再来年で創立70周年を迎える1100人の詩人達が集まっている団体だが、今日ここに集まった皆様全員が楽しい一日だったと思われることを願っていると述べた。

司会の望月苑巳、藍川外内美両氏

◇H氏賞贈呈式
 第68回H氏賞の贈呈式が行われた。浜田優選考委員長は、各委員が既受賞詩集2冊を除く9冊の候補詩集の中から3冊ずつ選んだときに、全員が推し
たのが『銘度利加』であり、更に各自2冊ずつ選んだ際、自らの生まれ育った祖霊の声を聴くこととともに、テーマの大きさ、構成力の巧みさ、言葉遣いの鮮烈さで、本詩集が絶大な支持を得たと述べた。

浜田優選考委員長

 また他に、生と実存の痛みを掘り下げる真摯な詩集だが単調で内省的な『標本作り』、自己愛ないしナルシシズムを「これがわたしのふつうです」と言い放つ批評性は頼もしいが、もっと言葉を極め自らの体験を超える視点を持つ必要がある『これがわたしのふつうです』、世界に向かってひらかれていて風通しが良く、長いが読ませる『数と夕方』も候補として議論され、最後に『銘度利加』と『数と夕方』が残り、決選投票5対2で受賞詩集が決定したとの経過報告を行った。
 新藤凉子会長から『銘度利加』の著者十田撓子氏に賞状と賞金が授与された。

受賞の十田撓子氏と紹介の林浩平氏

 受賞詩集について詩人で文芸評論家の林浩平氏は、十田氏とはメール友達だったが、詩集収録の「晴雨計商人」という詩を送られ、秋田の印刷所で私家版で詩集を出したいと相談された際に、きちんとした出版社で出す値打ちのある詩集だと感じ、思潮社の藤井一乃編集長に紹介したエピソードを話した。そして、本詩集は、十田氏の親しい亡くなられた方々の喪の作業としてのエクリチュールであるという印象があるが、十田氏は現在、詩やエッセイで受賞詩集以後の世界に確実に踏み出しており、十田氏の受賞はH氏賞の名誉であると受賞を祝福した。
 十田撓子氏から受賞の言葉があった。十田氏は、詩集の舞台は自分が暮らしてきた秋田県鹿角市の大湯という町で、岩手県、青森県、秋田県にまたがり、南北朝時代から戦乱に負けた人々が住み着いて町が出来上がってきたという歴史があり、自分も含め中央なるものへの反抗心が根付いていると述べた。また、初めての詩集を出すにあたり、単なる愛着ではなく、やるせなく言い表せないような感情を持つこの土地について書かなければならない、死者と語り死者の言葉を写したいと思ってきたが、無垢な魂の状態に入るのに15年の時間を要した詩集であると明かした。
 更に、無垢とは、単に穢れがないものではなく、哲学的思考や高度な技術的志向、及び実験という名の道楽的な遊び、言葉による寓話の増殖に抵抗し捨ててしまってもよいという境界を越えたところを目指したもので、鹿角に生きた人々の精神性を新たに私のこととして継承してゆくために、引き続き時間と空間の中を歩みつつ言葉の源泉へと辿って行きたいと語った。そして、林浩平氏、友人、知人、藤井一乃氏及び選考委員と日本現代詩人会会員への謝辞を述べた。
 日本現代詩人会と思潮社からの花束
の贈呈があり、祝電の披露が行われた。
◇現代詩人賞贈呈式

野沢啓選考委員長

 続いて第36回現代詩人賞の贈呈式が行われた。野沢啓選考委員長は、各委員が既受賞詩集1冊を除く10冊の候補詩集の中から3冊ずつ選んだときに、過半数に達する詩集がないまれに見る分散状態であり、更に各自2冊ずつ選んだ際も過半数の4票を取る詩集がなく、3票を取った詩集『一面の静寂』と『日毒』を中心に議論を重ねたと述べた。また、自分は『日毒』を推したが、優れたところがありながら言葉が生でレアな政治性が出ているとの批判があり、決選投票4対3で受賞詩集が決定したと報告した。
 そして、『一面の静寂』は、ご自分が生きてこられた思いや旅の記憶や人との出逢いを真摯に冷静な筆致で書き、静かな感銘を与えるとし、過去を振り向くだけでなく、新しいものへの希望を提出する詩のスタイル及び若い芽を育てようとするホットな姿勢があることを称えた。
 新藤会長から『一面の静寂』の著者清水茂氏に賞状と賞金が授与された。

受賞の清水茂氏と紹介の北岡淳子氏

 詩人の北岡淳子氏が受賞者の紹介を行い、清水氏は子供のときから俳句を作り芸術的環境で育ったと述べ、詩を語るサロンにお招きし講演をしていただいたときに、自我に閉塞せず自己と世界との接点を見出し、世界の望ましい環境を整え、万物との共生の道を探ることが詩人の仕事であることや、同意をすることの大切さについて繰り返し述べられたと話した。そして、同意とは、相互の信頼関係が前提であり、各地で起こる紛争についても内面から人を動かす真摯な誠実な姿勢を持つこと及び、私達は自然の一部だが時が満ちれば満ちるものを受け取ってゆくという意味があると思われるとして、表題作の雪が全てを覆い存在の全ての故郷に帰るという内容は、世界情勢や詩人達の書くものについても問いかけているものだと述べた。
 清水茂氏から受賞の言葉があり、受賞の知らせを寝耳に水のように感じたがありがたく思うと述べ、言葉について次のように語った。言葉は存在の前からあり、それが宇宙の言葉であり、粘土の塊の中に心が生まれたとき、その時間を言葉が待っていたのかもしれず、水や空気のように生きてゆく上で必要だった。ところが人間が誕生し時代が進むにつれ、人間は言葉を自分の欲望を実現するための道具に変えた。足尾銅山鉱毒事件や水俣病や原発の崩壊も人間のなせる技であり、言葉に様々な毒素が流し込まれ、差別用語が現れ、いじめが起こり、命のためのものである役割を失った。詩人は他者を蔑むためでなく、受け手が喜びや安らぎを感ずる言葉を差し出してゆきたい。
 更に、美しい色彩画家のピエール・ボナールの「歌っている者がいつも幸福とは限らない」(幸福でなくてもいつも歌って聞かせることは大切だの意)という言葉を謝意に代えて紹介した。
 日本現代詩人会他4名の方から花束の贈呈が行われた。

◇先達詩人の顕彰
 新藤会長から八木忠栄氏に顕彰状と記念品の贈呈があった。

先達詩人 八木忠栄氏

 続いて新藤会長から八木氏について次のような紹介があった。八木氏は、1941年越後生まれで、日本大学芸術学部在学中に第1詩集『きんにくの唄』を思潮社から刊行し、日本語としての柔軟さが評価され将来を嘱望された。卒業後思潮社に就職し、足で原稿の受注や入手を行う時代に16年間編集に携わり編集長も務めた。1962年には諏訪優、白石かずこ、吉増剛造、岡田隆彦、佐藤文夫達と共に詩とジャズの結合を目指した運動に加わり、これはやがて「ポエトリー・アット・ニューズ」として開催されていった。また70年代にはこれが諏訪優によって詩誌「天文台」に結集され、吉原幸子、白石かずこ、新藤凉子、中上哲夫、秋亜綺羅、吉増剛造、八木忠栄などの詩人達の輪が大きく広がっていった。八木氏は、アレン・ギンズバーグの影響もあり路上派と呼ばれた様々な詩を書き、思潮社退社後はセゾングループの要職に就き、詩集『雲の縁側』で現代詩花椿賞を、『雪、おんおん』で詩歌文学館賞及び現代詩人賞をダブル受賞し、2011年から2年間日本現代詩人会会長も務めた。
 そして、これらの業績は全て、八木氏の温かく、ユーモアのある、才能のある人間性及び人格から来るものであり、学ばなければならないと述べた。
 八木忠栄氏は顕彰を受け、まず「先達詩人」ということは未だによくわからない、知らせを受けてからかわれたのかと思ったと述べ、自分より業績の多い年齢的にもふさわしい人が沢山いる中でなぜ自分のところに来たのかわからないが、ありがたく頂戴したいとユーモアを交えて謝意を表した。
 また、杖をついている事情を次のように語った。数年前に2万人に1人の国が定めた難病だという診断を受け現在治療を受けているが、原因不明で治療法がなく、いずれ動けなくなり、喋れなくなり、くたばってゆく。そういう自分と楽しみにつきあってゆきたい。歩くのが大好きで詩は手足で書くのが自分の持論だが、そろそろ休めということかもしれず、今日も妻と娘にサポートされて来た。しかし、まだ頭もしっかりし書くものもしっかりしているので、今日いただいた万年筆でまだまだ詩が書ける。
 そして、病気の人も負けずに頑張ってくださいと明るく来場者に励ましの言葉を述べた。
 その後、八木氏へ、日本現代詩人会、思潮社及び見附市図書館館長より花束の贈呈があり、祝電の披露が行われた。
 最後に、十田撓子氏がH氏賞受賞詩集『銘度利加』の中から「殯」を、清水茂氏が、現代詩人賞受賞詩集『一面の静寂』の中から「哀悼詩 Y・Bに」をそれぞれ朗読した。受賞者及び先達詩人の心に残る言葉と詩に触れることができ、有意義に第Ⅰ部が終了した。     (記録・渡辺めぐみ)

◇第Ⅱ部 現代詩と現代音楽の出会い 
 共同企画=日本現代音楽協会

 第Ⅱ部は、「現代詩と現代音楽の出会い」と題して日本現代音楽協会と日本現代詩人会の共同企画によるトークとコンサートが行われた。

近藤譲、松尾祐孝、司会の一色真理各氏

◇トーク
 初めに、一色真理実行委員長の司会で、現代音楽の作曲家、評論家で日本現代音楽協会会長の近藤譲氏と現代音楽の作曲家、指揮者、音楽プランナーで日本現代音楽協会理事の松尾祐孝氏によるトークが、「言葉と音楽のあいだで」というテーマで行われた。近藤氏から、1930年に新興作曲家連盟という名で発足した団体が1946年に現在の日本現代音楽協会となったとの説明があり、1949年の日本現代詩人会の設立より19年も前に現代音楽という概念が確立していたことに、一色氏も驚きをあらわした。
 しかし、近藤氏は、1920年代ぐらいからわからないものを現代音楽と呼ぶようになった傾向があり、音楽に現代をつけなくていいのではないかと思っていると話した。一色氏も、戦後、現代詩という言葉が使われるようになったが、難解で独善的であるとの批判があり、詩に現代をなぜつけなければいけないのかと多くの詩人が感じていると思うと応じた。
 また、現代音楽も難解だと思うがどう思うかとの一色氏の質問に対し、松尾氏は、現代音楽にもいろいろなタイプの作曲家がおり、1人の作曲家がいろいろなタイプの曲を書くが、現代音楽の作曲家は聴いたことがあるような安心感を目指していないと述べた。更に、近藤氏は、ポピュラーミュージック(19世紀末、工場労働者の慰めとして、飽きないよう新しいテイストを少しずつ加えて作る再生産の原理で広がった音楽)を聴き慣れている人には耳慣れないことや、19世紀末より新しいものを芸術において追求する意識が強まり(芸術のための芸術)、聴き手が賛同するかどうかはどうでもよくなったことの2つが、わかりにくく、独善的だとの現代音楽のイメージが確立された原因であると述べた。
 これに対し一色氏は、現代詩にもほぼ同じことが言えるとした上で、現代音楽には調和音がなく、メロディーもなく、不協和音ばかりで、作曲されても歌うことができないことが詩人としては不満だが、それはなぜかと尋ねた。松尾氏は、私達がメロディー、リズム、ハーモニーというある時代様式の音楽の三要素に飼い慣らされているのだと指摘した。近藤氏は、詩人は詩の音やリズムに繊細なエネルギーを払うので、詩に音楽をつけるのは詩に対する暴力であり、申し訳ないと思いつつ、音楽でもない詩でもない別のものが化学反応のようにできるという期待を持って詩に音楽をつけていると語った。
 また、一色氏が、近藤氏の「線の音楽」という考え方は音を言葉や詩の1行と考えた場合現代詩の書き手には比較的理解しやすいのではないかと述べた際、近藤氏は、詩と音楽の最大の差は、詩は言葉を発した瞬間に常に意味がついてくるが、音楽は音に意味がなく、自由につなげやすく受け取りやすいことにあると述べた。そして、詩に音楽をつけるとき言葉に意味を獲得させてしまう難しさがあるとも述べた。最後に松尾氏が「現代音楽コンサート」について解説し、現代詩と現代音楽のそれぞれの特質についての奥深いトークが終了した。
 近藤譲氏及び松尾祐孝氏に日本現代詩人会から花束の贈呈が行われた。

◇現代音楽コンサート

ピアノ・中川俊郎、ヴァイオリン・甲斐史子、バリトン・松平敬、ソプラノ・工藤あかね各氏

 松尾祐孝氏をナビゲーターとしてコンサートが開始された。
 オープニングパフォーマンスとして、現代音楽協会前会長の福士則夫氏の身体で表現する作品「手のための<てい
ろ>」(演奏=古川玄一郎、戸崎可梨、小川理仁、細野幸一)が上演された。
 続いて現代音楽協会会員4名による歌曲作品が上演された。最初に橋本信氏が室生犀星の詩「犀川」に曲をつけた作品(ソプラノ=工藤あかね、ピアノ=中川俊郎)、次に同じく橋本信氏が一色真理氏の詩「町」に曲をつけた作品(ソプラノ=工藤あかね、ヴァイオリン=甲斐史子)が上演された。3番目に、蒲池愛氏が新藤凉子会長の「風の城」に曲をつけた作品(バリトン=松平敬、ピアノ=中川俊郎)、4番目に、小川類氏が北夙川不可止氏の詩「<<NUBATAMA>>」に曲をつけた作品(ソプラノ=工藤あかね、バリトン=松平敬、ヴァイオリン=甲斐史子、ピアノ=中川俊郎)、最後に松尾祐孝氏が松尾氏の父上の俳句「季寄せ」に曲をつけた作品(バリトン=松平敬、ヴァイオリン=甲斐史子)が上演された。また、アンコールとしてこのあと松尾氏が若い頃に谷川俊太郎氏の「じゃあね」という詩に曲をつけた作品(ソプラノ=甲斐史子、バリトン=松平敬)が上演された。
 4人の作曲家の作品は、どれも印象深いメロディーがあり、様々な現代音楽の作法があることを感じさせ、会場を圧する力があった。
 松平敬氏と工藤あかね氏に日本現代詩人会から花束の贈呈が行われた。
 一色真理実行委員長の閉会の辞で第Ⅱ部が終了した。一色氏はその中で、これまで閉ざされた中で詩祭が行われてきたが、現代音楽協会と本格的にコラボをすることで、外部の世界を垣間見、現代詩とは何なのか、これから現代詩にどんな課題があり、どんな今後の展望を描けるのか、改めて見直す機会になったのではないかと述べた。

オープニング曲 手のための〈ていろ〉

◇懇親会

懇親会 司会・佐相憲一、山中真知子各氏

 午後6時から会場を移して懇親会が行われた。司会は佐相憲一氏と山中真知子氏。新藤凉子会長が、詩祭の内容及び音楽が素晴らしかったと申し上げてお礼に代えたいとの開会の言葉を述べた。続いて来賓の挨拶があった。川中子義勝日本詩人クラブ会長は、ステージに立つ1人1人に一行の詩があったとして、清水茂氏、十田撓子氏及び八木忠栄氏への感謝の言葉を述べ、平澤貞二郎記念基金を代表して平澤照雄名誉会員は、日本現代詩人会にもっともっと若い人材を集めてほしいという要望などを述べた。新川和江氏の乾杯の音頭で宴となった。
 歓談の合間に、遠方から来た会員の橘田活子氏、小笠原茂介氏、高橋玖未子氏、名古きよえ氏、左子真由美氏、瀬崎祐氏、長津功三良氏、池田瑛子氏、近岡礼氏、大林美智子氏、井崎外枝子氏、清水マサ氏及び非会員で十田撓子氏の所属同人誌の寺田和子氏がスピーチをした。また、新入会員の為平澪氏及び斎藤菜穂子氏も新入会員挨拶を行った。山本博道副理事長が閉会の言葉を述べ、名残を惜しみながら午後8時に懇親会が終了した。(記録・渡辺めぐみ)

会場風景

◇「詩祭2018」会員出席者

新藤会長、清水茂、浜田優、十田撓子、新川和江、山本博道(一人おいて)、八木忠栄、菊田守各氏

来賓の平澤照雄氏、新藤会長、来賓の新川和江、来賓の川中子義勝各氏

閉会のことば・山本博道副理事長、長津功三良、小笠原茂介各氏

十田撓子、清水茂、八木忠栄
菊田守、安藤元雄、新川和江、浜田優、野沢啓、平澤照雄
新藤凉子、秋亜綺羅、鈴木豊志夫、佐相憲一、浜江順子、渡辺めぐみ、山本博道、海埜今日子、平井達也、渡ひろこ、藍川外内美、池田康、朝倉宏哉、鈴木茂夫、岡田ユアン、秋山公哉、山本聖子、光冨郁埜、滝川ユリア、尾世川正明、望月苑巳、小林登茂子、以倉紘平、塚本敏雄、広瀬弓、柴田千晶、坂多瑩子、岡野絵里子、中井ひさ子、竹内美智代、山田隆昭、長津功三良、酒井力、清水マサ、沢村俊輔、森水陽一郎、植村秋江、原田道子、一色真理、春木節子、麻生直子、中本道代、安藤一宏、こまつかん、井上尚美、菅沼美代子、為平澪、山中真知子、大掛史子、昼間初美、颯木あやこ、伊藤悠子、北岡淳子、村尾イミ子、松沢桃、三ヶ島千枝、山川宗司、方喰あい子、田中裕子、高橋次夫、塩野とみ子、房内はるみ、鈴木粥、名古きよえ、牧田久未、香月ゆかし、原利代子、佐藤文夫、大木潤子、ささきひろし、原島里枝、天野英、瀬崎祐、岡島弘子、下川明、竹内英典、長田典子、林田悠来、高島清子、渡辺恵美子、若山紀子、松井ひろか、橘田活子、小網恵子、新井啓子、藤本敦子、左子真由美、草野理恵子、富永たか子、真崎節、熊沢加代子、葵生川玲、戸台耕二、鈴木東海子、福島純子、こたきこなみ、長谷川忍、金井雄二、中村不二夫、安楽正子、鈴木比佐雄、加藤千香子、関口隆雄、井崎外枝子、柏木勇一、近岡礼、曽我貢誠、高橋冨美子、なべくらますみ、鈴村和成、高橋玖未子、樋口忠夫、新延拳、市川愛、中田紀子、太原千佳子、関中子、北畑光男、小山田弘子、石川厚志、田井淑江、宮﨑亨、今泉協子、鈴切幸子、池田瑛子、水谷有美、服部剛、小笠原茂介、川崎芳枝、中島悦子、大林美智子、井田三夫、小野ちとせ、吉田ゆき子、田村雅之、鈴木昌子、葉山美玖、岡本勝人、甲田四郎
「来賓等出席者」
川中子義勝、林浩平、清水須巳、北夙川不可止、中川俊郎、甲斐史子、松平敬、松尾祐孝、小川類、古川玄一郎、橋本信、工藤あかね、蒲池愛、戸崎可梨、小川理仁、細野幸一、八木信子、八木純子、大原進太郎、岡田洋一、桂星子、横山智教、萱原里砂、近藤譲、清水俊、清水翔、前川雪子、高島鯉水子、高橋啓介、大日向英樹
                 
 ・会員出席者 149名
 ・来賓・報道  30名
 ・一般参加者  50名
 ・懇親会出席 132名

●西日本ゼミナールin滋賀2018

●東日本ゼミナール・新年会開催
 「夫・車谷長吉」 高橋順子氏講演


写真左から講演する高橋順子氏、あいさつをする一色真理氏

 寒波到来の一月十三日、底冷えの午後にも関わらず、早稲田奉仕園において現代詩ゼミナール(東日本)は、六十六名の会員と一般参加者を迎えての開催となりました。司会進行は塚本敏雄さん・中本道代さんです。
 新藤凉子会長の開会のことばは、講演者との深い交誼もあり、温かい紹介でした。詩・小説やエッセーで活躍中の高橋順子さんが、上梓した『夫・車谷長吉』を基に「詩と小説の間」という副題での講演です。暖房装置の故障により室温が上がらず、急きょカイロが配られるなど、参加者には厳しい二時間となりました。が、文学と夫婦の修羅という興味深さによってか、寒さをしのぐ熱気が満ちていたようです。
 高橋さんはまず詩とは〈疑うこと〉と示し、散文とは次元が違うという端的な導入でした。そして『夫・車谷長吉』を三回忌後に纏めた契機を、〈書いてしまえ〉という彼の声に後押しされたと明かします。小説家としての夫の在り方と、妻の緊張感に満ちた位置を伝え、十一年余の激動の日々が彼の小説と高橋さんの詩を生み出した様子が浮かびます。ときにユーモアを塗して伝えられたことは、高橋さんの詩を理解するうえにも手掛かりとなります。
 さらに車谷氏の小説『漂流物』『武蔵丸』『変』などに触れ、私小説家としての日常と、妻となった自分も〈同罪〉〈共犯者〉だとの覚悟にいたった顛末が、迫力をもって語られました。彼にとり小説が自分の存在を問う〈生への祈り〉であるのに対し、高橋さんは詩が〈祈りに触れる〉ものだと通底するものを確信したそうです。車谷氏が書き終えると混迷が深まる様を見守った高橋さんが、人間の業を描く小説に対し詩は喜びをもたらすものだと逆説的に到達したという経緯は、多くの示唆を与えます。基本的に彼は〈耳の人〉で、土俗的な語りの文学として成立していったようですが、高橋順子さんには響きを確かめる詩が必然になったのでした。これらは参加者の質問への答えとしても、丁寧に説かれました。

写真左から司会の塚本敏雄・中本道代両氏、会場の様子

 詩の朗読は暖房が復旧しないため、別会場でとなりました。移動にも時間が必要でしたが、小会議室でかえって肉声が届く、顔が見えるという利点もあったようです。草野理恵子さん「夜/公園」「対岸の床屋」、黒岩隆さん「海鳴り」「青蚊帳」、清水博司さん「海峡」「杜黙」、竹内美智代さん「テゲテゲ」「汽車」、中井ひさ子さん「置いてきたもの」「死んだふり」、岩切正一郎さん「書物・砂・呼吸」「眠り・骨・血」などが表情豊かに朗読されました。閉会のことばは、一色真理さんでした。
 五時から再び会場を移し、五十三名の参加で新年会となりました。司会進行は、光冨郁埜さん・山本聖子さんです。開会のことばは以倉紘平さん、乾杯は菊田守さんで歓談・会食が始まりました。秋亜綺羅理事長の挨拶が手違いにより抜け、後に文書の形でとなりました。続いて遠方から参加された長崎や北海道の会員・新入会員の紹介で盛りあがりました。来賓挨拶は、五月の詩祭に参加される現代音楽家協会理事・松尾祐孝さん。ゼミナール担当理事麻生直子さんからの挨拶などがありました。山本博道さんの閉会のことばで盛会のうちに終了しました。

◆東日本ゼミナール出席者
(2018年1月13日・敬称略)
会員―菊田守・新藤凉子・浜江順子・山田隆昭・渡辺めぐみ・光冨郁埜・宮崎亨・鈴木昌子・草野理恵子・中井ひさ子・秋亜綺羅・春木節子・中本道代・塚本敏雄・鈴木豊志夫・以倉紘平・一色真理・若山紀子・原詩夏至・佐々有爾・菅原みえ子・清水博司・橘田活子・宮城ま咲・竹内美智代・福島純子・天野英・林田悠来・麻生直子・八木幹夫・北畑光男・真崎節・伊藤悠子・細田傳造・大掛史子・秋元炯・瀬崎祐・黒岩隆・曽我貢誠・鈴切幸子・藤本敦子・熊沢加代子・常木みや子・植村秋江・谷合吉重・藤井優子・広瀬弓・結城文・小野ちとせ・小山田弘子・関中子・春木文子・鈴木正樹・鈴木東海子・岡島弘子・中田紀子・新延拳・塩野とみ子・岩切正一郎・波平幸有・田村雅之・山本博道・田井淑江・大木潤子・小勝雅夫 

一般―岡安惠子・浅野幸子・真崎美奈子・松井康之

吉野弘と黒田喜夫の山形「現代詩ゼミナール〈東日本〉in酒田」

「西日本ゼミナール・滋賀」のご案内(再告知)

テーマ:「近江で 詩を刻む 詩を映す」
主 催:日本現代詩人会西日本ゼミナール・滋賀実行委員会
共 催:近江詩人会
開催日:2018年2月18日㈰ 受付13:00~ 開会13:30~
会 場:ホテルニューオウミ 2F「おうみの間」
TEL0748-36-6666
滋賀県近江八幡市鷹飼町1481(JR近江八幡駅前)
会費1000人(会費無料)

プログラム
第1部:ゼミナール13:30~17:00
開会挨拶:日本現代詩人会会長 新藤凉子
近江詩人会会長 竹内正企
講演1:苗村吉昭氏(日本現代詩人会会員)「失われた現代詩への信頼を求めて――大正期の民衆詩派からの投射」
講演2:山本竜門氏(集仏庵庵主仏師・近江詩人会会員)「詩、木を彫るごとく――NHKこころの時代から」
ライアー演奏:浅山泰美氏

第2部:懇親会17:30~19:30
会費6000円
司会:近江詩人会 森哲弥・北原千代
開会挨拶:日本現代詩人会 理事長 秋亜綺羅
閉会挨拶:日本現代詩人会イベント総括担当理事 以倉紘平

現代詩ゼミナール(東日本)と新年会のご案内

◇「西日本ゼミナール・滋賀」のご案内

◇テーマ 「近江で 詩を刻む 詩を映す」
◇主 催 日本現代詩人会西日本ゼミナール・滋賀実行委員会
◇共 催 近江詩人会
◇開催日 2018年2月18日(日)
      受付13:00~ 開会13:30~
◇会 場 ホテルニューオウミ 亀の間
      TEL 0748・36・6666
      住 所 滋賀県近江八幡市鷹飼町1481(JR近江八幡駅前)
◇会 費 一〇〇〇円(会員・一般共)

〈プログラム〉
第一部 ゼミナール 13:30~17:00
 開会挨拶:日本現代詩人会会長 新藤凉子
      近江詩人会会長 竹内正企
 講  演:1苗村吉昭氏(日本現代詩人会会員)
       「失われた現代詩への信頼を求めて
        ――大正期の民衆詩派からの投射」

      2山本竜門氏(集仏庵庵主仏師・近江詩人会会員)
       「詩、木を彫るごとく――NHKこころの時代から」
 ライア演奏:浅山泰美氏(詩人)
 閉会挨拶:日本現代詩人会イベント総括担当理事 一色真理
第二部 懇親会 17:30~19:30
    会費 六〇〇〇円
 司  会:近江詩人会 森 哲弥・北原千代
 開会挨拶:日本現代詩人会理事長 秋 亜綺羅
 閉会挨拶:日本現代詩人会西日本ゼミナール担当理事 以倉紘平

 

*一部と二部の閉会の挨拶をする理事を事情により交代しています。

2017年度通常総会を開催

●東日本ゼミナール・新年会開催2017

昨年2月の西日本ゼミナールin沖縄のレジュメについて、以下の通り訂正させていただきます。関係者の皆さまに深くお詫び申し上げます。(元沖縄実行委員長・宮城隆尋)

平成28年、沖縄で開催された「西日本ゼミナールin沖縄」の資料編の平敷武蕉氏の講演「時代と向き合う文学」のレジメの中に、『歌壇』2015年11月号からの引用文がありますが、執筆者の名前が抜けていました。執筆者「屋良健一郎」をご記入ください。訂正しお詫びいたします。

現代詩ゼミナール(東日本)と新年会のお知らせ

 

日本現代詩人会 西日本ゼミナール・高知

 

全体テーマ「詩のみなもとへ」

主催:日本現代詩人会 西日本ゼミナール・高知実行委員会

協賛:高知詩の会 高知ペンクラブ 高知文学学校

後援:高知県立文学館 高知県文化財団 高知市文化振興事業団

   高知新聞社 中四国詩人会

日時 2017年(平成29年)2月25日(土) 受付13時より

会場 高知会館(高知市本町5丁目 TEL 088-823-7123)3F飛鳥の間

参加費 500円

お問い合わせ・お申し込み先

781-0011 高知市薊野北町3-10-11 林嗣夫 (TEL 088-845-0259)

プログラム

第一部 ゼミナール 13:30~17:00

1.開会挨拶 日本現代詩人会会長:以倉紘平

       高知実行委員会代表:長尾 軫                          

2.講演1 「詩作への動機をめぐって」武藤整司(高知大学教授)  

3.朗読  森原直子(愛媛) 水野ひかる(香川) 清水恵子(徳島)

      べつのしかたで(高知) 高瀬草ノ介(高知)              

4.ティーターム(休憩 交流 詩と版画のコラボ展)

5.講演2 「詩を生きる、ということ」林 嗣夫(日本現代詩人会会員) 

6.閉会挨拶 日本現代詩人会西日本ゼミナール担当理事:瀬崎 祐                                                  

第二部 懇親会 会費 5000円 17:30~19:30 

1.開会挨拶 日本現代詩人会理事長:新延 拳

2.乾杯  高知文学学校運営委員長:猪野 睦

3.閉会挨拶 日本現代詩人会西日本ゼミナール担当理事:北川朱実

2016年度通常総会

現代詩ゼミナール〈東日本〉in宮城のお知らせです。(2016.11.27)

東日本ゼミ宮城2016.11.27

主催=日本現代詩人会・宮城県詩人会 共催=仙台文学館
ポエジーの光耀の中で
2016.11.27㈰午後1時半~ 仙台文学館
入場料=日本現代詩人会会員・宮城県詩人会会員=無料 一般=資料代1000円

講演とトーク:
第34回現代詩人賞受賞記念講演=尾花仙朔
「漫画家、詩にさわる」=いがらしみきお(聞き手=クマガイコウキ)
詩の朗読:
布川鴇(埼玉) 橋浦洋志(茨城) 二階堂晃子(福島)
千田基嗣(宮城) 藤川みちる(宮城) 日野修+かとれあproject(宮城)

お問い合わせ先=宮城県詩人会事務局 022-205-8510

こちらをクリックするとA4チラシがご参照できます。

東日本ゼミナール・新年会開催2016

「現在、沖縄で文学すること」平敷武蕉氏、八重洋一郎氏講演

 

 日本現代詩人会西日本ゼミナールin沖縄(日本現代詩人会、沖縄実行委員会主催)は二月二十日、「現在、沖縄で文学するということ」をテーマに、ロワジールホテル那覇で開かれた。参加者は百六十人余。以倉絋平日本現代詩人会会長、宮城隆尋沖縄実行委員長があいさつし、平敷武蕉氏(俳人、文芸評論家)と八重洋一郎氏(詩人)が講演した。
 平敷氏は沖縄現代詩の現状について「『基地と戦争ばかり描いている』との指摘があるが、意外と基地や戦争を題材とした作品は少なく、特に若手にその傾向が強い」と指摘。「その中で琉球語や民謡、古謡を詩に導入することで詩のリズムとイメージ、言葉の広がりを取り戻そうとしている詩人がいる」と強調した。「日本の現代文学で社会派が衰えて久しい中、豊かな可能性を見せているのが沖縄の詩だ。矛盾に目を据えて表現を営むことは、人間はいかに生きるかという叫びだ」と述べた。一方で「思想や批評性に比して詩の技法や修辞が軽視されてきた」などの指摘があることも紹介した。
 八重氏は地球温暖化問題、核兵器に囲まれている現状などを挙げて「戦争は必ずエスカレートし、世界戦争に拡大する。現代は人類の滅亡を常に感じさせる」と述べた。「詩はいかに対応するか。歴史、自然へのやわらかい感受性、他者への想像力、存在への深い共感が必要だ」と指摘。詩「詩表現自戒十戒」などを朗読し「全感覚、全言語能力を挙げて詩を書き、問題の多様さと深刻さによって明晰な発狂状態にいたることだ」と結論づけた。
 朗読には三十代から七十代の詩人が登壇。独自の風土を醸す島々の言葉を交えた。作品は高良勉氏が「老樹騒乱」、トーマ・ヒロコ氏が「パスタを巻く」「わたしたちの10年」、伊良波盛男氏が「何もない島の話」、中里友豪氏が「カラス」。幕間に沖縄工業高専の学生たちがエイサーを演舞した。日本現代詩人会理事の北川朱実氏が閉会のことばを述べた。
 交流懇親会は新延理事長のあいさつに続き、田村雅之副理事長が乾杯の音頭を取った。第十五代琉球王府おもろ伝承者の安仁屋眞昭氏らによるおもろ詠唱があり、県立芸術大学の高嶺久枝教授や学生たちによる琉球芸能が披露された。終了後は慰労会も催された。
 沖縄実行委員会は事前に沖縄の五十人余が参加したアンソロジー「潮境」を発行。詩人たちの交流会を催し、記者会見や地元紙への寄稿で来場を呼び掛けた。(報告者・宮城隆尋)

東日本ゼミ2015-2013

東日本ゼミナール・新年会開催2015

「巷の詩人 山之口獏」狩野敏也氏講演

  1月17日(土)、早稲田奉仕園キリスト教会館にて、東日本ゼミナール、および新年会が開催された。当日は好天に恵まれたこともあり、盛会となった。遠方からお見えになっていた方も多かったようだ。ゼミナールの進行役は、亜久津歩、木島章、両氏が担当された。
  まず、財部鳥子会長より新年の挨拶をいただいた。新年にふさわしく、祝い歌を題材にしたお話をしてくださった。「よい言葉を発すればよいことが起こり、不吉な言葉を口にすればその年は凶事が起こる。言霊は、言葉に魂がこもるということ。そしてその魂が歌になってあらわれる。よい歌を歌っていける世の中にしたい」。
 今年のゼミナールのメイン講演は、狩野敏也氏。まず岡島弘子理事より狩野氏の略歴紹介があった。
 氏の講演は、「巷の詩人 山之口獏」。山之口獏は、2004年に生誕百年を迎え、地元沖縄を中心に再評価が広まっているという。狩野氏は、主に彼の日常や生活の「顔」にスポットを当て、所々、山之口獏(以後、獏さん)のテレビ映像や朗読CDを入れつつ、ユーモアを込め詩人像を浮き彫りにされていった。獏さんの詩の朗読は、林哲也氏が担当。
 巷の詩人、という講演タイトルにもあるように、獏さんという人は、自然、花鳥風月といったものより、ごみごみした街の陋巷や人間そのものを好んで詩作の題材にしていた。とくに東京の池袋の街をこよなく愛した。彼にとって、池袋は、街全体が、事務所であり、書斎であり、食堂であり、社交界であった。事実、池袋に、馴染みの呑み屋さんや喫茶店をたくさん持っていて、そうした店で過ごす時間のほうが圧倒的に長かったそうだ。狩野氏と獏さんとの出会いは、狩野氏がラジオ局のプロデューサーをされていた時分に制作したドキュメンタリー番組だったという。池袋をテーマにしたその番組で、狩野氏は獏さんの魅力を堪能する。印象的だったのは、フォーク歌手高田渡氏のライブ映像だ。彼は、獏さんの詩に曲を付け、自らのライブでよく歌っていた。高田氏の飄々とした歌声と獏さんの詩作品は、絶妙に溶け合い、ゼミナール会場の聴衆の方たちを魅了していた。
 最後に、狩野氏がいちばん好きだという獏さんの「ねずみ」という作品を林氏に朗読いただき、講演を締めくくられた。ゆったりとした一時間半のお話であった。
 途中休憩を挟み、後半は、会員による詩の朗読とスピーチ。中山直子、沢村俊輔、新井高子、渡辺めぐみ、田中武、長嶋南子、根本明、渡辺みえこ、各氏にご披露いただいた。詩の朗読はもちろんのこと、合間に語られる各自のスピーチにもその人となりが出ていた。ただ、後半、時間が押してしまい、一部の朗読者の方のお話を十分にお聴きできなかったことが悔やまれる。
 杉本真維子理事の閉会挨拶でゼミナールは無事終了した。
 新年会は、会場を同じ敷地内にあるリバティホールに移し、浜江順子氏の進行役により賑やかに始まった。北畑光男理事長による開会の言葉、日本現代詩人会元会長・八木忠栄氏、日本詩人クラブ理事長・川中子義勝氏、お二方による祝辞。乾杯の音頭は甲田四郎氏。今年も、遠方より多数の会員の方々が参加されており、浜江氏からの紹介でそれぞれスピーチをいただいた。またゼミナールで講演された狩野敏也氏より、今年も越乃寒梅の差し入れを頂戴した。新年会閉会の挨拶は、金井雄二副理事長。和やかな宴となった。
 
(報告・長谷川忍)
 
 

西日本ゼミ2015

2015年度 通常総会を開催

 日本現代詩人会の2015年度通常総会が8月22日(土)午後1時30分から、早稲田奉仕園スコットホールで開催された。会員の出席は68名。北畑光男理事長が、委任状を含め485人で、会員数1066人(6月30日現在)の3分の1を超え、会則28条により総会は成立したことを報告。総合司会は岡島弘子、葵生川玲理事。議長団は望月苑己氏と岡野絵里子さんが選出された。冒頭、北畑理事長によって前年度総会以降、今年7月までに逝去された20名の会員の名前が読み上げられ、財部鳥子会長の「黙祷」の発声により物故者に黙祷を捧げた。
 
 総会は北畑理事長の開会の言葉のあと、財部鳥子会長が挨拶。詩集賞、詩祭、東西のゼミナールなど、日本現代詩人会の様々なイベントが滞りなく実施され、会の発展と運営を支えてくれた会員に感謝の言葉を述べた。
 
 議事に先立って、菊田守氏が「詩を書くということ」と題して、自作詩の資料を会場に配って講演(詳細は後述)。理事長、会長を歴任した菊田氏については山田隆昭理事が紹介した。
 
 さらに、2014年度第4回理事会(14年11月20日)で名誉会員に推挙された平林敏彦、藤富保男、平澤照雄3氏についても満場一致で承認された。また、2015年度から任期2年間の新理事も登壇し自己紹介した。
 
 議事は、会員に送られた総会次第にのっとり、それぞれの担当理事が報告して進められた。この中では、ホームページ刷新について、とくに投稿欄を設けるという企画案に対して複数の会員から賛否の意見が出て、活発な議論が展開された。このため議題のすべてが終了するまで予定の時間をオーバー。懇親会も遅れて開催されたが、ここでは和やかに交流の場が広がり、最後は威勢の良い歌も出て盛況のうちに総会日程を終えた。
 
(報告・柏木勇一)
 

 

2014年度総会開く

会員数1067人(前期比21人増)

新名誉会員に高良留美子氏・辻井喬氏

 日本現代詩人会の2014年度通常総会が8月23日(土)午後1時30分から、東京・西早稲田の早稲田奉仕園で開催された。会員の出席は64名、有効委任状439名、計503名で、会員数(6月30日現在)1067名の3分の1を超え、会則第28条により総会は成立した。

 会場受付は会員の沢村俊輔氏と小野ちとせさん。総会の司会は、山田隆昭、杉本真維子理事。北畑光男理事長が開会の言葉を述べ、財部鳥子会長が「詩人会は何のためにあるのか。詩人会が発展するだけでは意味がない」と問いかけ「宇宙的視野に立って良い詩を書いていきたい」と挨拶。2014年度事業計画などが承認された。議事に先立ち、以倉紘平氏による「平家物語―鎮魂の構造」の講演があった。

 議長団に森野満之氏と山本聖子氏が選出された後、昨年度総会以降今年6月末までに逝去された21名の物故会員の名前が北畑理事長によって読み上げられ、黙祷を捧げた。

 なお、2013年度第4回理事会(13年10月17日)で名誉会員に推挙された高良留美子氏、辻井喬氏(推挙後の11月25日逝去)についても、満場一致で承認された。財部会長から、高良留美子氏に推挙状と記念品が、故辻井喬氏の二男堤たか雄氏(セゾン現代美術館代表理事)に花束が贈呈された。

 高良留美子氏は、すでに2011年度先達詩人として顕彰を受けているが、この日の挨拶で、日本現代詩人会に入会した頃のエピソードと、この会をとても大事にしていることを語った。

 

◇総会承認事項(各理事報告)

 各担当理事が、会員に送付していた総会資料を基に要旨を報告した。

・会務一般について(北畑理事長)

・会報発行(柏木理事)

・H氏賞、現代詩人賞(斎藤理事)

・2014冊子(金井副理事長)

・詩祭2014(山本理事)

・東日本ゼミナール(岡島理事)

・西日本ゼミナール(北川理事)

・国際交流(鈴木理事)

・入会審議(麻生理事)

・後援賛助(新延理事)

・ホームページ運営(瀬崎・鈴木理事)

 

◇会計関係

 根本担当理事が、2013年度(2013年7月~2014年6月)の会計決算を読み上げて報告。会計監査を担当した鈴木正樹、中本道代氏が、会計が正当に執行されたことを確認した旨を報告した。

 

◇議案

・事業計画

 2014年度の事業計画案を北畑理事長が報告。これに伴う2014年度収支予算案が根本理事より説明され、承認された。

・名誉会員の件

 財部会長が高良留美子氏と辻井喬氏の推挙を提案。承認された。なお、辻井氏は理事会で推挙決定後に逝去されたが、ご自身の受諾を確認しているため総会推挙となった。

 この日出席した辻井氏の二男堤たか雄氏は、「名誉会員推挙の知らせを受けた時、父はとても喜んでいた」ことを語った。

・会費納入とそれに伴う議案

 宮崎理事が会費納入状況を説明。今回は残念ながら3年以上未納者一名がいるため、「3年以上の督促にもかかわらず会費納入しない場合は総会の承認を経て退会とみなす」という会費・入会金納入細則第5条を適用することを提案、了承された。

 

◇報告事項

・会員の入退会

 名簿担当の渡辺理事が入会63名、休会2名、希望退会23名、物故会員21名、会員総数1067名で昨年同期比21名増と報告。

・会員からの便り

 欠席会員の消息を中心に、会員から送られた葉書の内容を葵生川理事が披露した。自らの病気や家族の介護などで外出が難しいという声が多かったこと、従って、会報を隅々まで読んで、各地の詩人団体の動きや会員の詩集発行の情報を得ていることなどが伝えられた。会報への関心が高いことが改めて裏付けられた。

 金井副理事長の閉会の辞により総会は終了した。

 この後、会場を移して会員の花潜幸氏と鈴木有美子さんの司会で懇親会が、開かれた。菊田守氏の発声で乾杯。新入会員の戸台耕二氏、高崎市から出席した田口三舩氏らが挨拶。約2時間、和やかな懇親と交流、議論と談笑の輪がいくつも生まれた。

(文責・柏木勇一)

 

以倉絋平氏講演「平家物語―鎮魂の構造」沙羅の木陰の奇蹟

 以倉紘平氏の講演「平家物語―鎮魂の構造」は、平家物語を単なる軍記物としてではなく、その重層的多面的側面を、仏教との関わりについて、資料を示して熱く語られた。要旨は次の通り。

 平家物語は文学史のジャンルとしては軍記物に属し、表層は男性原理で動いているが、物語の深層には、女性原理が働いている。一例として

平清盛の娘で安徳天皇の母であった建礼門院をあげたい。壇の浦の戦いで安徳天皇は入水、平家一門は滅亡したが、建礼門院は京に送られて出家。生涯を祈りに捧げた。いくさで亡くなった男たちの後世を祈ることは、当時の女性の役割であった。ここにも女性原理が働いている。

 平家物語は、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き有り。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を現す」で始まっている。この冒頭は単なる観念的な世界観の提示としてではなく、仏教説話の具体的なイメージを想起しつつ読まなければいけない。(ここで以倉氏はかすかで甘美な鐘の音が響くという無常堂の図を示す)諸行無常は、この世を貫く厳しい父性原理の提示であるが、無常偈(無常の教えを4行詩にしたもの)の4句目、甘美な〈寂滅為楽〉の世界と響きあっていて、深層に女性原理が働いている。同じく冒頭の〈盛者必衰の理〉も、厳しい父性原理であるが、沙羅双樹の物語は女性原理である。

 沙羅の物語を掘り下げたい。

 ブッダは、紀元前463年、ネパール・ルンビニ園の沙羅樹の下で、誕生した。(最近の調査でこのことは明らかになっている)。しかし母親のマーヤは、ブッダを産んで7日後に亡くなられた。ブッダは心にそういう欠損を抱えたひとであった。物心ついた頃から、ブッダにとって沙羅の木陰は、特別の空間であった。母なるものを感じる空間であったと思われる。80歳になって、故郷に帰る最後の旅をされたブッダは、旅の途中、様々な木陰で休息をとられた。お気に入りは、マンゴー樹であったけれども終焉を迎える木陰は、クシナーラという土地の沙羅の木陰であった。仏典『ブッダ最後の旅』によると、沙羅の白い花は、涅槃を迎えるブッダの上に〈降りかかり、降り注ぎ、散り注いだ〉とある。ブッダの涅槃は、母なるものに包まれたのである。平家物語は、平家も源氏も、沙羅に包まれて亡くなったことを物語るレクイエムであると思う。

 

「特定秘密保護法案」声明をめぐり議論

 日本現代詩人会は2013年11月24日の臨時理事会で「特定秘密保護法案」成立に反対する声明を「日本現代詩人会声明」として出し、1月24日発行の会報133号で声明文を掲載した。

 これに対して今回の総会で「声明には違和感があった。会員アンケートを取って会員の声を聞いてほしかった」という意見があり、重要な問題提起として、議題審議が一段落した後改めて質疑応答の形で議論した。

 最初の質問に対して北畑理事長は「法案上程が直前に迫り、会員のアンケートを取る時間的余裕がなかったので理事会声明を出した」と答弁した。これについて、「理事会が現代詩人会の名において声明を出したのではないか」という確認を求める指摘があり、理事長も是認した。

 声明に批判的な意見は「日本現代詩人会という組織に、政治と宗教の問題を持ち込まない方がいい。声明は出さない方が良かった」「そもそもこの法案に反対する姿勢に驚いた」「この法律で、表現の自由が侵されるとは思わない」「時間がなかったというが、理事会の合意が即会員の合意ではない」「理事会が会員の総意として出したことは遺憾」などが主な内容。

 声明を支持する立場から、「危機的状態にあるのに、声明に反対する会員に危機感がない」「詩を書く社会が脅かされている。この曲がり角に直面し、詩人がどういう動きをするかを示すことは重要。他の文学団体も声明を出している」などの意見が出た。

 「このように意見が対立しているのに、安直に声明を出したことに問題があったのではないか」という指摘もあり、最後は財部会長が拙速だったことを認めた上で「表現者に対して厳しくなる時代が予想されたので、法案上程前に反対しておくべきだと判断し声明を出した」と答えた。

 議長からも、「総会でこのような議論が交わされたことに意義があった」と、まとめ、この問題の応答を終えた。

 

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