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各地の声―コロナ禍 苦心・工夫の活動 埼玉詩人会理事長・秋山公哉

各地の声

 コロナ禍 苦心・工夫の活動
  埼玉詩人会理事長・秋山公哉

 埼玉詩人会の設立は昭和三十一年。誕生から六十五年になります。令和三年四月一日現在の会員数は百四十五人です。設立には神保光太郎、蔵原伸二郎、秋谷豊、吉野弘など錚々たるメンバーが名を連ね、当初から様々な催しを展開しています。設立してすぐに、田山花袋の小説『田舎教師』の舞台で、初期新体詩の詩人・太田玉茗が住んだ羽生への文学散歩を挙行しています。バスが田圃に転落するというおまけまで付いたようです。他の団体と野球の試合もありました。
 今もその伝統を受け継いで、秋の文学散歩から始まり、講演会や朗読会などを行う現代詩サロン、埼玉詩人賞選定、その贈呈式も兼ねた詩祭など、いくつものイベントを開催しています。ただ、昨年から今年にかけては、新型コレラの影響でほとんどが自粛という事態になってしまいました。
 昨年度の文学散歩は新川和江氏の故郷である茨城県結城市を訪ね、地元の詩人の方々と交流しました。しかし今年度は中止。代わりに会報で紙上文学散歩を試みました。神保光太郎が住み立原道造が設計したヒヤシンスハウスの建つさいたま市、羽生市、吉野弘が住んだ狭山市を会員が紹介しています。羽生市は当地出身の詩人・宮澤章二の息子さんの宮澤新樹氏、さいたま市と狭山市は当地在住の山丘桂子氏、渡辺恵美子氏が担当し、史跡を見ながら歩いているようなレポートを載せてくれました。
 詩祭は昨年に続いての中止です。埼玉詩人賞の贈呈式もできません。これも紙上での紹介になりました。昨年の受賞は会員である葉山美玖氏の『約束』。今年は県内在住の佐藤克哉氏の『くりぷと』です。紙上で二年分、会長のお祝いの言葉、受賞者の挨拶、受賞者の人と作品についての紹介、受賞詩集掲載の作品と、少しでも実際の贈呈式に近い形になるよう工夫しました。
 そんな中でコロナ感染が少し落ち着いていた三月に、現代詩サロンを開けたのは幸運でした。第一部は大手新聞社文化部の現役記者による、「ジャーナリストの目から見た現代詩」と題した講演会。詩を読む側の視点や、新聞に載せる詩を選ぶ時の基準などを話してくれました。第二部はポエトリーリーディングと朗読。当会ではこれまでも多くの朗読会を開いて来ましたが、今回はパフォーマンスを交えた会員外の若手六人も参加、新鮮な会となりました。また、初めてネットライブ配信も試みました。
 四年ごとの会員の詩のアンソロジー、埼玉詩集第十八集を発行することもできました。会員の三分の二以上にあたる百三人が参加し、約二百五十ページの充実した詩集になったと思います。県内発行の詩誌のプロフィールも掲載しています。個人誌も含め三十三もあり、改めて埼玉の詩活動の盛んなことを認識しました。今回特に、若い人に詩の面白さを知ってもらおうと、配布先に県内にある大学図書館や高校の文芸部も加えました。送り先は百か所を超えます。
 若い詩人の開拓は長年の課題ですが、うれしい試みもありました。中高生・特別支援学校生を対象にした、詩のコンクールを共催することになったのです。元々は青少年のためのボランティア活動をしている団体、キワニスクラブが今年初めて企画したものです。クラブの方と一緒に、教育委員会や関係団体などへ協力依頼に回りました。いくつかある賞の一つとして、埼玉詩人会賞も設けました。応募作品の選考にも加わります。青少年の詩の賞は、これまで会でも何度か構想は浮かんでいます。それが、現実のものとなりました。初めてのことなので、どれだけ応募があるか分かりませんが、この試みが定着してたくさんの若い詩人が育ってくれることを期待しています。

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