研究活動・親睦

各地の声・各地のイベント

各地のイベントから(会報157号掲載)

各地のイベントから(会報157号掲載)

板橋詩人連盟による「詩のつどい」

講演する 中村不二夫氏

 2019年10月27日(日)、日本現代詩人会の後援を頂き、板橋詩人連盟による「詩のつどい」が開催された。板橋区民文化祭の行事の一つであり、行政が応援する詩の催しは他にないと注目されている。
 中原道夫会長の開会の言葉に続き、主催者の板橋区長及び川中子義勝氏、中井ひさ子氏からご挨拶を頂いた。
 中村不二夫氏の講演のテーマは「民衆を愛した詩人・白鳥省吾」。氏は省吾の作品「世界にひとり」が最初の口語自由詩であり、それを確立したと述べた。詩が一般読者から離れていく現状を思った時、民衆詩派といわれた省吾の存在は大事である。普及させて、ドリルで穴をあけて、風通しを良くしていきたいと語られた。講演の中で、花潜幸氏、竹内美智代氏が省吾の作品を朗読した。
 二胡の演奏を披露したのは詩人の宋美津子氏らによるサークル「小華」の皆さんで、9名による息の合った音色が参加者を魅了した。
 その後、下川敬明氏、沢聖子氏、鈴木昌子氏ら9名が自作詩を朗読した。ギタリストが詩の内容に沿った即興演奏を添えるのも毎年恒例になっている。 文化祭のもう一つの柱は、区民からの応募作品を掲載した区民詩集『樹林』の発行で、今回で34集を数える。その中の優れた作品は区長賞、区議会議長賞として「詩のつどい」の会場で表彰され、作者による受賞作品の朗読も行われた。
 また区内の小・中学校の児童・生徒にも参加を呼びかけ、その作品も収録されている。今回は応募者が多く、57作品が寄せられ、詩の未来への展望が開けた。
 教育長賞の受賞者は小学4年生、区長賞の受賞者は96歳の区民で、参加年齢層の厚さが来場者に印象づけられた。
 この催しが定着し、発展する事を目指している。区民詩集の参加者111名、当日参加者96名。計207名の参加で賑わった会となった。(河野昌子)


第19回中四国詩人会
         広島大会 開催

中四国詩人会

 第19回中四国詩人会・広島大会は、2019年9月28日(土)午後2時から広島市内のホテル「ニューヒロデン」で開催された。
 総合司会は、広島県詩人協会事務局長の豊田和司。中四国詩人会会長、岡隆夫の開会挨拶。実行委員長、北村均の歓迎の言葉に続き、第19回中四国詩人賞の表彰式となった。今回は島根県の詩人、州浜昌三氏の詩集『春の残像』が受賞した。選考委員長、陶山祐二の選考経過報告があり、表彰状と賞金が、岡会長から手渡され、州浜氏の挨拶と自作詩「岩見銀山 五百羅漢」「空いたままの指定席」の二編が朗読された。
 小休憩をはさみ、総会に移る。
 まず最初に、会報「ニューズレター」編集長の秋吉康を議長に選出、中四国詩人会理事長の川辺真の司会で、第18回総会以降の事業報告、2018年度決算報告、監査報告を承認。2019年度予算案も了承された。
 続いて第10期役員案も認められ、新会長、長津功三良、副会長、蒼わたる、川野圭子、その他の役員を決定。次回大会の開催県は高知県となった。長津功三良の就任挨拶をもって総会は終了。
 小休憩の後、北村均の講師紹介で記念講演へと移る。講師は、福谷昭二氏。演題は、『同人詩誌「火皿」とともに』「火皿」は昭和32年に創刊。平成30年に137号をもって終刊。60年以上の歴史を知る同人は、創刊同人の福谷氏一人となった今、話を聞いておくことは大切なことであると、この講演会は企画された。
 最初短歌を書いていた福谷氏を、現代詩の世界に導いた広島大学時代の先輩、赤池芳彦氏とのいきさつから話は始まった。「火皿詩話会」代表として創刊号から59号まで担当した助信保氏。彼は、専門の英語力を駆使して、英詩の日本語訳詩を「火皿」に掲載。福谷氏はそのことに触れ当時としてその持つ意義を解説するなど内容は多岐にわたり、充実した時間を過ごした。
 その後、各県代表の詩人の朗読会があり、会は終了。
 懇親会は同ホテルで持たれ、和やかなうちに閉会を迎えた。


秋田県現代詩人協会
     「秋田の詩祭2019」

高橋玖未子氏による講演

 十月十九日(土)、秋田県現代詩人協会(会長吉田慶子)主催の「秋田の詩祭2019」が、秋田市内で開催された。従来、この詩祭は「詩の講座」と「詩表現を楽しむ集い」の二つを柱として別々の日に開催されてきたが、数年前から二つの要素を取り入れて同じ日に開催するようになった。
 午前の部は朗読グループ「KOE」や高校生、参加者による朗読が行われた他、同人誌「北の詩手紙」が主体となって「超入門!一行からはじめるやさしい現代詩」というミニ講座が行われた。このミニ講座では小グループに分かれ、一枚の写真を見て思い浮かんだことばを一行、ひとり一人が短冊へ書き出し、それを順に並べて題をつけるという作業を行った。それを通しで読んでみると一人が作った詩のようで、参加者はその意外性に驚いていた。
 午後の部は青森県鶴田町在住の詩人、高橋玖未子氏による「詩風土を求めて」と題する講演が行われた。氏が所属する『飾画』や『青い花』を紹介しながら、風土は自分が育ち生活している地域性は勿論だが、それにこだわることなく、それぞれの詩人が詩を生み出したいと思う希求がその人にとっての詩風土であること。また、自分の住む土地の特徴を知るには比較できる他の土地を知って初めて論じることが出来ること。どこから見るか、どこに視点を置くかで物事は違って見えることなどについて述べられた。また、所属誌へ発表し出版もされている『詩を問い続けて―私的詩論集』に至る経緯や詩評についての考え方にも触れ、「私にはない視点、自分ではできない発想・表現、それらをなんとかして探ってみたい、それが私の詩論の立ち位置」との能動的な詩姿勢を披歴された。
 参加者五十余名。終了後のアンケートには、詩に浸ることが出来た愉しい一日であったと高揚した声が多く届いた。(文責・前田 勉)


三重県詩人クラブ
      第二十五回現代詩大会

講演会風景と講演する中西弘貴氏

 令和元年十月十四日(月・祝)、三重県総合文化センターにて、みえ県民文化祭現代詩大会を開催した。
 第一部は、公募作品から選ばれた優秀賞、佳作の表彰式。第二部では、大会参加者の応募作品の朗読と、選考委員の評を交じえての合評会を行った。第三部として、京都府城陽市在住の詩人、中西弘貴氏をお招きし、「花街・祇園の景色―詩の原郷として―」の演題で講演をしていただいた。
 講演は、十八歳まで過ごした花街・祇園という原郷を、異次元の世界として、八坂神社、四条河原界隈の祇園について語り、現在も鴨川を挟んで四つの花街が残っていることを語った。また、明治維新以後栄えた祇園が、与謝野晶子、吉野勇など歌人、文人に詠まれたことにも触れ、花街は、置屋、お茶屋、仕出し屋が、互いに協力しあって客をもてなす場所であることを細かに語られた。
 次に、花街を内側から見つめて書いた詩集『花街』の中から作品が紹介された。
 男の仕事も居場所もない花街では、お燗のころあいをみるのが唯一の仕事だと、ユーモラスに色っぽく書いた 「お燗」。「顔施」は七歳から花街の厳しい仕来を学ぶ舞妓のこと。「言辞施」は、美意識として、女将が、「ゆうたらあかん、したらあかん」ことを舞妓に教える七つの施について書いています。さらに、桜の開花までと、舞妓さんの接客の成長を書いた「花信」等等、祇園という未知の興味深い世界を語られ、学ぶことの多い話が続いた。
 最後に、詩を書くエネルギーで、他人の詩を読んでいるだろうかと自問し、この十二年間で、百十四冊の詩集について、作者に手紙を書き、その感動を伝えたとし、面識のなかった人と詩友になれたことも、詩を書く歓びの一つとなっていると語られた。
 口の堅さ、花代への心配り等等、花街の日常の美意識を原郷として、中西氏は詩に向かっているのではないかと思える、背すじの伸びる講演でした。(事務局 村井一朗)


今年も充実!
    「岩手詩祭2019」報告

岩手詩祭2019

 「言葉で世界を広げよう!」をテーマに「いわて詩祭2019」を花巻市市民交流センターで10月20日に開催した。参加者は23名である。
 詩祭の第一部では、糠塚玲さんが「火山弾創刊の頃」と題したミニ講演(聞き手 東野正会長)が行われた。
 「火山弾」は1974年に内川吉男を編集発行人として創刊された同人誌で、以後30年以上に渡って岩手詩壇の中心的な存在であり続けた詩誌である。糠塚さんからは、創刊号から参加した経緯をはじめ、創刊に向けて詩人達が集結した頃の熱気やエネルギー、喧噪の中で各同人が持っていた詩作への旺盛な意欲などについて、当時の状況の回顧を中心として講演がなされた。
 特に、合評会では自作品以外は認めないという激しいバトルが繰り広げられたことなど、その当時の雰囲気がよく伝わった内容となった。
 第二部では、2006年から毎年刊行している年刊アンソロジー詩集「いわての詩 2019」に収録されている自作品の朗読会を行った。会員数が減少している現状の中で、今年は36篇の詩が掲載されているが、リラックスした雰囲気の中で、意識の集中状態が継続したままの充実した朗読会となった。
 第三部では、参加者を4グループに分けて、各自の作品について合評会を行った。一作品に充分に時間をかけて、じっくりと感想や意見を述べあい、また作者からの作品の意図などの説明があって理解が深まるなど、楽しく充実した時間となった。合評会の最後の全体会では、グループ別の討議内容の報告を行い、それぞれの討議結果の全体が共有された有意義な時間となった。
 終了後は別会場で懇親会を開催し、さらに詩を巡っての話を続け、充実した「詩と言葉」に満ちた日となった。(岩手県詩人クラブ会長 東野 正)


いばらき詩祭

講演する網谷厚子氏

 茨城県詩人協会は十一月十七日(日)に「いばらき詩祭2019in水戸」をバイロンベイコーヒー 水戸店にて開催した。
 この日は、第1部として網谷厚子氏の講演「日本語の魅力」、第2部として詩の朗読会を行った。
 網谷氏は、今まさに、「外国の詩」に対して、日本語の特質を生かした「日本詩」を外国に発信していくことが求められているのではないかと論じた。
 その上で、外国語にはない日本語の特質は、「宙に浮かせることができる構造」であり、主語と述語の間を限りなく膨らませられる(文末決定性が顕著)点が、文学作品を書く上では他の言語にはない魅力であると述べた。
 他にも、空白、飛躍、一字空けを用いた、緩やかなつながりが作れること、平仮名、漢字、片仮名、アルファベットを用いた多様な表記で複雑な感性が表現できること、助詞、助動詞などの付属語に心を込められることにも言及した。
 最後に、日本語の特質を生かした日本詩人の作品が、翻訳され、外国で研究の対象となり、きちんと評価されるという国際交流を願っていると結んだ。
 第2部としてオープンマイク朗読会を開いた。昨年秋につくばで開かれた「いばらき詩祭2018inつくば」で導入したオープンマイク朗読会も、総会時の朗読会を経て、これで三度目。参加者は、受付でエントリーシートを出す。順番は、司会がエントリーシートをくじ引きして決める。持ち時間は一人最大5分。時間内なら何編でも。詩は自作に限る。登場した読み手は総勢二十六名。今回も楽しい時間となった。
 本会は十月に開催予定だったが、台風十九号の被害により一か月延期しての開催となった。茨城県でも堤防決壊による床上浸水が多数発生し、JR水郡線は県北部の大子町で現在も不通。復興にはまだまだ時間がかかるという状況である。茨城県詩人協会は募金を行って茨城新聞社に届け、復興支援に役立てていただくことにした。(文責 塚本敏雄)


福島県現代詩人会
 第42回「詩祭 講演と朗読のつどい」

講演する 新藤凉子氏

 十月六日(日)に、福島県現代詩人会主催の「第42回 詩祭 講演と朗読のつどい」がいわき市生涯学習プラザで開かれた。本行事は今年で42回目を数える。福島県芸術祭の行事も兼ね、県文化振興基金の助成を受けている。
 詩祭は、講演と朗読の二部構成で行われており、今年度の講演は、日本現代詩人会前会長を務められた新藤凉子氏。演題は「心平さんと私の周辺」。
 草野心平の出身地であるいわき市での開催であり、「歴程」に参加した頃の懐かしい思い出を振り返りながら、最初の詩集『薔薇歌』に心平さんから序文を書いてもらった経緯や、心平さんの人となりをはじめ、歴程の詩人、会田綱雄氏、山本太郎氏、入沢康夫氏や宋左近氏、粟津則雄氏などの貴重なエピソードを交えて話された。また満州での幼い頃の話、特に満鉄に勤めていた父親が蒙古で亡くなって遺骨を引き取りにいく時の切ない思い出や、故郷の宮崎についても興味深い逸話をたくさん聞くことができた。ちょうど、前日の五日に、いわき市立草野心平記念文学館での秋の企画展「草野心平と粟津則雄」(2020年2月24日まで)が始まったところであり、市民も多数来場し、会場は約七十名余の聴衆でいっぱいになった。
 昼食休憩を挟んで、午後には、福島県内七地区の会員十九名による詩の朗読会を行った。朗読する詩のテーマは「新しい時代」としたが、福島県には、震災や原発事故の被災地としての苦しみがまだたくさん残されたままだ。会員の詩の朗読には、様々な「3・11」、「あの日」への思いが込められていた。講演会講師の新藤凉子氏からも、この午後の朗読会について「とても高いレベルの詩と朗読であった」との講評をいただいた。福島県は広域であるため、現在県内七地区が持ち回りで「詩祭」開催や「県詩集」の発行を分担して行っている。今年度の詩祭はいわき地区。実行委員長は、常任理事であるいわき地区のわたなべえいこ氏が担当した。「県詩集」は、県南地区が担当して、これから発刊する予定である。(福島県現代詩人会理事長 齋藤貢)


青森県詩人連盟
     「青森の詩祭2019」

講演する齋藤貢氏、渋谷聡さん、山内隆寛さん(左から)

 二〇一九年十一月二十四日(日)、「青森の詩祭2019」が青森市アラスカ会館で開催された。
 第一部は、「第四十一回青森県詩人連盟賞」の授賞式で、渋谷聡さんの『さとの村にも春来たりなば』(青森文芸社)が受賞した。『さとの村にも春来たりなば』は津軽の自然を織り込みながら、人生の哀歓をユーモアを交えて伝えている詩集。方言の扱い方が巧みで、従来の「方言詩集」と一線を画しているところも評価された。渋谷さんは五所川原市在住でこれが八冊目の詩集。当日は、自作詩をギターをつまびきながら歌い、会場から大きな拍手を受けた。
 第二部は、齋藤貢さんの講演「東日本大震災と詩~現代詩人賞受賞作『夕焼け売り』とフクシマ」。二〇一一年の災害があった時、南相馬市小高区にあって被災した齋藤さんは、「震災と津波と原発事故」による被害の大きさをデータをスクリーンに映し出しながら講演。特に、自らが高校教員であったことから、放射線被ばくに対する不安から地域住民が引き裂かれていった苦しみを説明し被災地が未だに困難な状況にある事を語った。私たちは、そうしたことが原子力関連施設を抱える青森県とも無縁ではないことを痛感、詩の朗読と合わせて感銘深い講演であった。
 第三部は、「若者たちと大人の詩の朗読」。今年は青森県内の四つの高校から高校生九人と文芸部顧問の教師三人が参加し、昨年スタートした企画が一気にふくらんだ形となった。高校生の詩は、木の実をモチーフに物語性豊かに生命の循環をうたった青森高校二年の二ツ森ひなたさん、スマホという地図をみつめながら歩く人々の行方を思う青森明けの星高校一年の山内隆寛さんの詩など、みずみずしい詩心にあふれているものばかりであった。詩を若い人に伝えると共に若い世代の詩心を大切にしたいと考えた「詩祭」であった。(青森県詩人連盟会長 藤田晴央)


関西詩人協会総会記念講演
 「現代詩と私―詩の原点について」

講演する 以倉紘平氏

 関西詩人協会第二十六回総会は、二〇一九年十一月十七日に大阪のキャッスルホテルにて開催された。会員外の方々も含めて、一〇一名の熱気溢れる会となった。
 恒例の総会を問題なく終了して、講演は以倉紘平氏の「現代詩と私・詩の原点について」というお話だった。
私の詩の原点―感動  以倉紘平
 商業詩誌を賑わしている詩作品の多くは、一人よがりで難解な修辞あるいは時代の通念だけがあって、生きた人間がいないという感じだ。
 故吉本隆明氏は、わが国の戦後詩は「生活の現実の場それ自体に<意味>を失ったところから発している。現実の場から修辞的な場へ〈意味〉を移しかえようとする無意識の願望がある。」と述べ、このような詩の中味は〈無〉だと痛烈に批判した。
 神戸の大震災後、新聞に掲載された言葉〈―土砂に埋まって/最後まで指と指しかふれられなくて/息子はありがとうと言いました/この春大学卒業だった〉私は虚飾の修辞より、作者不詳のあるがままの言葉に深い感動を覚える。読んだ当初は〈ありがとう〉という言葉の意味を思って涙したが、時が経った今、母親にとって我が子の最後の指の感触はどんなだったろうと思うと、リアルな文章の豊かさに驚く。
 正岡子規記念館の討論会で女優で俳人の真野響子さんの言葉が印象に残っている。病床の子規を慰めるため、虚子が、つがいの鶉を送ったが、片方が死んでしまっていかにも寂しそうな鶉を写生した子規の絵が残っている。なんとその絵にはもう片方が描かれていたというのだ。真野さんはこの絵を見て、子規の写生の本質がわかったと言われた。子規は残された鶉の心まで写し取ったのである。これが子規のリアリズムの本質だと喝破された。私たちは近代文学の始祖の文章から学び直すべきではないか。
 右はご自身で書かれた講演の要旨であるが、修辞が不足がちな自分を掬い、本当のリアルに近づく方法も込めて納得のいくお話を伺うことができて、大満足だった。(文責・永井ますみ)

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