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各地の声 — 鳥取県現代詩人協会の現況  事務局・手皮 小四郎

各地の声

鳥取県現代詩人協会の現況
 事務局・手皮 小四郎

 年鑑二〇二〇(『現代詩手帖』)が登載する都道府県の詩人団体を数えると、偶然にも丁度四七だった。この四七の団体はどんな背景、経緯のもとに生まれてきたのだろうか。本県の場合は、オカミノキモイリによって誕生している。オカミノというのは、国文祭のことである。国文祭は今年三六回わかやま大会の由。和歌山がどうであるかは知らないが、鳥取のように設立動機が国文祭にあるケースは、他にいくつあるのだろうか。
 鳥取県現代詩人協会は創立二三年になるが、現在深刻な存立危機の状況にある。会員の高齢化と減少である。
 鳥取県は全国で一番人口の少ない県であるが、ちょっとナンセンスな試算をしてみた。
 本欄執筆に際して、参考に送られてきた埼玉詩人会、香川県詩人協会の欄を見たが、埼玉の会員は一四五人とある。ならばこれを埼玉県の人口七三四万なにがしで割って、それを鳥取県人口の五五万にかけると一〇・八六と出た。本県詩人協会の創立時会員は三二名、現在二四名。人口比率なら鳥取の詩人は埼玉の二倍を超える。喜ぶべきか⁉
 二倍であろうが三倍であろうが、役員選挙が実施できない事態が続いている。もちろんやってできないことはないが、それは明らかに暴挙であり、実施するには分別を欠いた蛮勇が要る。暴挙、蛮勇などと面妖だろうが、推察していただくほかない。
 いづれにしても当協会理事会はこの度、会員に向けて次の提案を行った。曰く「今期も役員選挙は行わない。現理事が更に一期二年、会の運営を担う。この間に新しく事務局担当者が現れない場合、本会は令和四年度をもって休会ないし閉会する。」
♦歩みと現在
・設立―平成一一年八月。会員三二。
・役員―(会長)井上嘉明(副会長)渡部兼直・山根史郎 (事務局長)小寺
雄造 (会計)池澤眞一
・主な活動
〈定期総会〉原則五月実施。会場は東中西部の鳥取・倉吉・米子と巡回したが、近年は鳥取市が中心。令和二・三年度はコロナ禍のため書面による総会となった。
〈交流会〉総会の後実施。講演と自作詩朗読の二本立て。
・講演は会員による場合が多いが、外部講師の場合も。平成三〇年度の講演は倉吉市在住の仏師・山本竜門氏の「詩、木を彫るごとく」だった。これは前年二月、近江八幡市で開催された日本現代詩人会、西日本ゼミナール滋賀での講演と同題。山本氏は令和三年四月二〇日他界。行年八〇。詩集に大野新が編んだ『上丹生』がある。
・自作詩朗読は総会当日持ち寄った自作詩を綴じて詩集を作成、それをもとに朗読する。書面総会により令和二・三年度は朗読会はないが、三年度は詩集は作成した。『とっとり詩華集2021』。通算第一八集である。
〈文学散歩〉県内が主だが、第一回は兵庫県龍野市の霞城館を訪ねた。三木露風の童謡「赤とんぼ」の母の碧川かたは鳥取藩家老和田家の娘。
〈会報〉六月・一二月の年二回発行だが、印刷費の高騰により令和元年度から年一回に変更。会報担当理事・矢部公章会員は「会員を訪ねてー詩人とその風土」「鳥取の詩空間」など新企画を立ち上げ、意欲的に紙面づくりに取り組んだが、平成三〇年八月一日急逝した。行年六二。(矢部理事の欠落は以後の当協会の運営に歪を生む)
〈とっとり詩集〉会員のアンソロジー『とっとり詩集』は隔年発行。現在第九集(書影参照)会員数は少ないが九割近い会員が作品を寄せるなど参加率抜群のアンソロジー。令和四年、第一〇集を発行予定。

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