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研究会の紹介

各地のイベントから(2014.9受)

各地のイベントから(2014.9受)

関西詩人協会20周年記念詩誌交流詩祭


「詩はどこへ」森田進氏が講演
詩的履歴書をふり返り謙虚に読むこと
 関西詩人協会設立20周年記念の詩誌交流詩祭「詩はどこへ」が7月5日、大阪リバーサイドホテルで開催された。中部から沖縄まで広く呼びかけ、参加104名、展示詩誌83の活況を得た。
森田進氏の講演は、八木重吉、ハンセン病詩人桜井哲夫の命への想い、五月に逝去した実行委員長下村和子の詩や自作二題を朗読して、詩の成立を明かし、広がりと未来を示唆した。各人が詩的履歴書を振り返り他者の詩を謙虚に読み込むことが必要、それは自己の原郷を訪ねることにもなると説いた。詩の見方、味わい方、詩を書く意義を考える元になったと参加者から声があった。
朗読は草倉哲夫、上田由美子、宮田小夜子、山本衞、根来眞知子、松原さおり、おしだとしこ。A3二つ折り作品集を用意しそれに従った。アンケートには作者の読み方に個性を感じて良かったという声があった。
 パネルディスカッションは田島安江、高田千尋、北川朱実、川上明日夫、佐古祐二、それと森田進、司会の原圭治。ディスカッションは予め四項目の提案をし、それに基づいて行なった。詩誌発行の動向、地方詩誌の利点弱点、詩誌のネットワーク、今後の現代詩の行方である。
書き手の高齢化。他分野やネットへ移動すること。理念は様々でいい。書く場があることや励まし合えることが利点。甘えや仲間意識で批評しにくいが弱点。ネットワークは個人誌で既にあるのではないか。進んだ形はフリーペーパー。言葉の力を信じていいのでは。若者の詩離れがあり、ふと足を止める電光広告の様な形で若人に詩を読んでもらえないか。自分をほどく為に書く人は書くので絶望もしていない。詩は新鮮なうそだがこのところ間が少なくなっている。誰に向って書くか誰に聞かせたいか最大の読者は誰か考える。
面白い討論で視点を広げてもらった、未来について深い話に触れ良かったとの声があり、充実した会になった。(記・近藤摩耶) 
 

 

第54回中日詩祭「金子光晴の人と詩」鈴村和成氏講演


 中日詩人会・中日新聞社共催の第54回中日詩祭は、「言葉からの旅。日常への旅。」をテーマに、7月13日(日)午後1時より名古屋市の名古屋電気文化会館で開催された。
中日詩人会・若山紀子副会長、中日新聞・長坂誠文化部長の挨拶に続いて、中日詩賞及び新人賞の授賞式が行われた。今回の中日詩賞は、北条裕子詩集「花眼」、同新人賞には、林美佐子詩集「鹿ヶ谷かぼちゃ」が選ばれた。
 「木立ち」同人の増永迪男氏が北条裕子氏を、「詩遊」主宰の冨上芳秀氏が林美佐子氏を紹介の後、受賞者のあいさつと本人による詩の朗読があった。
 第2部は、講演「金子光晴の詩と旅をめぐって」と題して、名古屋市出身の鈴村和成氏が、金子光晴の「人と詩」をエピソードとともに独自の視点や鋭い分析を踏まえて話された。
 第3部では、シャンソン歌手・葵 游香さんの、詩を意識してのトーク、ピアノの弾き語りを交えてのシャンソンをゆったりと堪能した。
 講師、受賞者を囲んでの懇親会では、日本現代詩人会理事の麻生直子氏、思潮社の遠藤みどり氏のおはなしもあり、ナゴヤかな時間が過ぎていった。
 詩祭57名、懇親会33名の参加だった。(文責・岩井 昭) 

 

岩手県詩人クラブ創立60周年記念「掘り起こせ!詩(ことば)の原石」詩祭開催


 7月26日(日)、北上市の日本現代詩歌文学館で「岩手県詩人クラブ創立六十周年記念行事」が開催されました。今年は「詩祭」・「いわての詩」刊行・「現代詩研究会」の3行事を統合し、当日は時折雨が降る梅雨空でしたが、一般客も合わせ約四十数名の参加がありました。
 展示室には10‥00~16‥00まで、主に過去十年間の機関誌「皿」・総会資料・同人誌・会員の詩集等・東日本大震災関連詩とパネル・故人の生原稿・結成時の集合写真等が展示され、13‥00~15‥30まで、同会場ホールに於いて「2014岩手詩祭」が左記により行われました。
◆表彰式=クラブ会長の功績に対し第五代会長渡邊眞吾氏、第六代会長故吉野重雄氏、第七代会長故八重樫哲氏の3名を表彰
◆第一部=フリートーク「結成時の思い出話」語り手‥大村孝子さん・北川れいさん・齋藤彰吾氏、渡邊眞吾氏 ホスト‥東野正会長
◆第二部=朗読 「いわての詩2014」掲載詩より出席者大村孝子さんをはじめとする21名による自作詩と故吉野重雄氏の作品を朗読
 「結成当時の詩の表現は全国的に朗読や詩劇が中心で、当クラブも盛んであった」「紙面上だけでなく顔を突き合わせた交流が多かった」との話には、生活環境が多様化し、人間の関わりが希薄になった現代こそそのことが必要ではないかと感じました。朗読では、「優れた作品群で今までで一番聴き応えがあった」との感想も頂戴し無事終了しました。  (かしわばらくみこ) 
 

 

現代詩と少年詩を考える茨城県詩人協会講演会


 茨城県詩人協会の講演会が7月27日(日)、茨城県立図書館との共催で、同図書館で開かれた。
 今年度の講演会は「現代詩と少年詩を考える」というテーマで、二人の講師にお話をうかがうこととした。
 高山利三郎氏は、長く教室で児童生徒に詩の授業を実践されてきた方で、現在も小、中学校、大学で詩の授業を展開している。
 木村信子氏は、茨城県猿島郡沓掛(現坂東市)の生まれで、現代詩だけでなく少年詩(子どもに向けて書かれた詩)も書かれている詩人である。
 高山氏は「詩の授業を考える」と題し、現在の教室で詩の教材がどのように教えられているかという現状を話された。そして先生方に敬遠されがちな詩の教材を分かり易く、楽しく、子ども達がよろこんで学んだ実践例を示された。また当日の講師でもある木村氏の作品「ひとり」の授業実践にも触れられ、作品を読み取ることから詩を作るという授業について話された。小学生が書いた詩や大学生が書かれた詩も示され、一人ひとりの思いや考えが個性的に表現されていることに感心した。
 次に、木村氏は「詩と私」という話を自分の子どもだった頃のエピソードを交えながら、詩との出会いについて興味深く話された。特に印象的だったのは、本で読んだ海はとても広く続いていると思ったが修学旅行で見た茨城の海は、想像していたのとは違っていた話、どんな時に詩が生まれるかという話、少年詩が現代詩よりも低くみられているが、決してそうではないこと等、詩の実作者として示唆に富む講演であった。(茨城県詩人協会・塚本敏雄) 

 

詩歌句フェスタ2014を開催「詩人の気持ち」中上哲夫氏講演

 NPO法人・日本詩歌句協会(会長豊長みのる)主催の「詩歌句フェスタ・2014・イン東京」が、7月27日、東京都北区の北トピアで開催され、中上哲夫氏が講演した。中上氏は高見順賞、日本詩歌文学館賞受賞詩人で、現在横浜詩人会会長でもある。
 中上氏は講演「詩人の気持ち」の中で「かねがね不思議に思っているのは、日本の詩には俳句、短歌、現代詩の三つがあること、外国の詩の歴史をみると、韻文から自由詩へという流れがあり、新しい詩が現れると前の詩型が滅びてしまう、つまり詩型は一つである。ところがわが国では、俳諧(俳句)が現れても和歌(短歌)が滅びることはなく、新体詩が現れても俳句が滅びることがなく、俳句、短歌、現代詩が仲良く(?)共存している」とした上で、それをマイナスに考えずにプラスに考え、多様性に富んでいる、とした。
 さらに俳句の省略の表現法、短歌の抒情性、感情を素直に表現することを、ユーモアをまじえて話された。また、作家、画家、音楽家など「家」が付く者は食えるけれど、詩人、歌人、俳人など「人」が付く者は食えない、としながら、世間のイメージや待遇、気持ちは大いに異なる、と語り会場には笑いが絶えなかった。
 この後、マブソン青眼氏の「江戸のエコロジスト一茶」の講演もあり、和やかな雰囲気の中にも、日本の伝統的な俳句、短歌、現代詩について学ぶことの多い有意義な講演であった。(実行委員長・菊田守)

 

地方で詩を書くということ中四国詩人会尾道大会・小松弘愛氏講演

 中四国詩人会第14回広島尾道大会が9月27日、グリーンヒルホテル尾道で開催された。
尾道は現会長高垣憲正氏の地元であり、細大漏らさぬプログラムの構成、入念な文学探訪の案内等に資するところ大であった。また同会実行委員長長津功三良氏の総会における運営、進行など、 その采配ぶりが遺憾なく発揮され、充実した大会となった。
 現代詩の地方での大会でもっとも刺激的で学ぶことの多い催しもののひとつに記念講演がある。今回は、高知および日本を代表する詩人のひとり小松弘愛氏の講演「地方で詩を書くということ―片岡文雄の詩を中心にして」を拝聴することができた。
 すでに土佐方言の語彙を主題とする三詩集ほか多くの詩集を持つ小松氏の講演は、高知の先達片岡文雄の「首都文化主導型の営為でなく、日本列島を貫く在地者による主体の位置確保」というモットーを引き継ぐものであり、多くの聴衆を魅了した。
 小松氏の詩歴は半世紀をこえ『狂泉物語』(混沌社・1981年度第31回H氏賞)、『どこか偽者めいた』(花神社・1995年度第29回日本詩人クラブ賞)など大きな受賞がある。小松氏の詩行は、一見さりげない平易な日常の会話から成り立っているかに見えて、実は自分自身の来し方と重なる構造が秘められており、このことはR・フロストの秀作「通らなかった道」を想起させる。
 当大会におけるもう一つの大きな行事として中四国詩人賞の授与がある。今年度は御庄博実氏(当会顧問)の『川岸の道』(思潮社)、および高田千尋氏(前岡山県詩人協会長)の『冬に』(本多企画)が受賞された。 (中四国詩人会事務局長・岡 隆夫)


 

 

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