研究活動・親睦

各地の声

各地のイベントから(会報155号)

各地のイベントから(会報155号)

兵庫県現代詩協会 ポエム&アートコレクション2019

講演する たかとう匡子氏
 今年度も一月十七日から二十二日まで、会員の詩人が綴った詩とその詩に寄せたアート作品(絵画、書、オブジェ等)とを組み合わせた展覧会(ポエム&アートコレクション)が神戸文学館で開催された。
 八回目になる展覧会には、会期中百五十八名の来館者があり、盛況だった。
 また特別イベントとして、十九日には兵庫県現代詩協会会長のたかとう匡子氏による講演会を行った。この講演は、「兵庫・神戸を生きた詩人を語る」シリーズの六回目にあたる。今回は「杉山平一、方法意識の強い抒情詩人~気骨ある「四季」派の最後の詩人」という演題で、杉山平一を取り上げた。
 以下講演の概要である。彼は、戦前雑誌「四季」を見て、詩を書きはじめ、三好達治、立原道造、中原中也らの詩からも影響を受けながら自らを鍛えあげていった。その点では「四季」派を作った詩人というより、「四季」派に育てられた最後の詩人と言っていい。また彼は松江高校時代に花森安治と知り合ったことで、若くして映画批評もするようになった。それ故、長谷川龍生の言葉で言えば「移動と転換」とか、小野十三郎のいうダブルイメージ、またショットからショットの転換など映画の手法を取り入れた得難い抒情詩人とも言える。
 彼は、多くの詩集を刊行。そのなかの「青をめざして」に収録されている「町」という作品を取り上げた。阪神・淡路大震災を歌ったものだが、内部をくぐらせて、見たことを見たというだけではなく、祈りもあって、鋭く優しい作品である。あの日の、そしてそのあとの神戸を水溜まりの水面に閉じ込めて、「風よ吹くな ひとよ、石を投げるな」と歌うとき、人間の手ではどうしようもない、神または天にまかせるしかない、作者の深い悲しみが伝わってくる。
 当協会でも長く顧問をされ、いつも謙虚で物静か、その一方で方法論的にはユニークで厳しい人だった。私たち後輩にも大きな遺産を残した人だった。
 九十分という短い時間ではあったが、杉山平一について深い検証がなされた意義深い講演であった。(丸田礼子)


「私たちは何をどう書くか」――講師に苗村吉昭氏
             石川詩人会総会記念文芸講演会


講演する 苗村吉昭氏

 第23回石川詩人会総会を3月23日金沢市香林坊アトリオにて開催した。今年度は、実質17回目になる現代詩コンクールの継続、新規事業に「合評広場―草稿から完成稿へ」、「東アジアにおける文学の社会的役割の比較研究」のシンポジウム(中央大学)への協力などを実施していく。役員改選では人事の刷新が難しく、全役員が再選される結果となった。
 これを記念して、日本現代詩人会の苗村吉昭氏を迎え「私たちは何をどう書くか―読者に届く現代詩を求めて」の講演会を開催した。いま、いかに書くか、なぜ読者離れしているのか、現代詩が抱える今日的問題を真正面から捉え、約40名の参加者は興味深く真剣に聞き入った。
 苗村氏はまず自身の〈考古学への関心〉と〈民俗学からのヒント〉として、遺跡から発掘された土器や土からその時代の人や技術の交流が読みとれ、想像力を喚起させられたこと。柳田國男の『山の人生』の一文を引きその文学性と、忘却の闇に埋もれる人間苦の記録を保存しえた例を紹介した。
 〈詩の要素分析のすすめ〉として、吉野弘「虹の足」の作品を修辞的に分析、詩の本質を明らかにして、表現と内容の関係を磨き、作品化を目指す作業工程が重要であることを実証してみせた。さらに丁寧に準備された資料に基づき、詩人がかってインタビューを試みた宮崎県の詩人杉谷昭人の詩作品から「日蔭」「農場」などを鑑賞。多くを語らず一番素朴な大切なものを書き残していること。その土地に住み土地の言語や生活、経験を踏まえたリアリティを基本としていることを学んだ。続いて苗村氏の詩作品「サクラ」を朗読と共に鑑賞。詩人のビジョンや核心に触れる至福の一時であった。
 現代詩が社会的な影響力を失ってきた背景には現代詩の表面的な難解さが一因としてある。これを伝える商業詩誌や詩の教室の役割は大きい。失われた現代詩の信頼回復を求めて私たち書き手が詩の技術を向上させ、内容は深く、表現法は易しい詩を読者に届ける必要があると説き、好評を博した。(砂川公子)


広島県詩人協会「総会」開催 記念講演 講師:高階杞一氏
    演題「詩とは何か 発見と飛躍を軸として」


講演する 高階杞一氏

 2019年度広島県詩人協会「総会」は、2019年6月2日午後1時30分より広島市内の「ホテル・ニューヒロデン」で開催された。
 豊田和司事務局長の司会のもと、野上悦生幹事を議長に選出。2018年度「事業報告」同年度「会計報告」と「監査報告」があり、続いて役員改選の「選挙結果」の発表となり、新役員が承認。再選された北村均会長による新役員の紹介と挨拶に続き、2019年度の「事業計画案」「予算案」の承認をうけて、総会は終了。
 1時間の予定が、30分余りで済み、豊田事務局長の発案で、会場は「朗読の会」に変身。コーヒータイムも繰り上げ、コーヒーを味わいながらのひとときを過ごしたが、おそらく広島県詩人協会にとって、初めてのことではと思われた次第である。
 定刻通り午後3時より、高階杞一講師の講演会がなされた。演題は「詩とは何か 発見と飛躍を軸にして」。「新しい発見だけではだめ、そこから飛躍して初めて詩といえる」と詩論を展開、杉山平一、松下育男、およびご自身の詩などを引用し、発見のカ所、飛躍のカ所、などを参加者に問いかけながら優しく解説。水平軸の飛躍、垂直軸の飛躍といった、独特の感性に参加者は魅了された90分であった。
        (総会参加者35名)
 その後サイン会を経て、午後5時より同ホテルの別室で懇親会の運びとなった。高階講師と一緒に写真に収まりたい参加者が多く、会場は写真撮影会の様相を呈していた。
       (懇親会参加者25名)
 その後、高階講師と有志数人がホテルの近くのカラオケボックスに繰り出し自慢の喉を披露した。文責 北村 均

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