詩投稿結果発表

投稿数237作品。投稿者135人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿第2期(7-9月)の選評および入選作をご紹介いたします。

詩投稿

H氏賞受賞者や日本現代詩人会の会員たちが詩編のアドバイスをいたします。

1期一人3篇までの投稿で、3ヶ月毎に選考し、入選作を選評とともに公開します。

第3期選者(10月〜12月)
・野村喜和夫氏

野村喜和夫氏
・高貝弘也氏
高貝弘也氏
・峯澤典子氏
峯澤典子氏

詳しくは投稿規定をご参照ください。皆様のご投稿をお待ちします。

日本現代詩人会とは

この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。

「詩投稿 第2期」入選作品紹介
Topページに入選作の中から2篇ずつ公開します。

鎌田伸弘

分水界

 

その公園の ほぼ真んなかに 

水が出なくなって久しい 噴水があった

水は 当然涸れ 乾あがっていて

一滴も 残っていなかった

まわりには ぐるりと

大理石が 段々に めぐらせてあり

おおくの 老人が

まいにち やってきては 坐って 休んでいた

噴水と 老人たちの あいだには

境い目は ない といってよかった なぜなら

老人たちの からだのなかの水分は

一秒ごとに 急速ないきおいで うしなわれていったから

限りなく 0.00000・・・%に

 

こわれた噴水 老木 蟬のこえ

若者の姿はみえない・・・

 

ひと組の 老夫婦が その公園に やってきた

かれらもまい朝 散歩のとちゅうで 立ち寄るのだった

妻のほうが いくらか若くみえる

彼女は 惜しまれつつ引退した 往年の名女優

なぜ 引退したのかは 誰にもわからなかった

いまは 映画監督の夫と 散歩をして 公園に寄り

まいにちを 過ごしている

夫ももう 映画は 撮らない 妻が銀幕に 戻らぬかぎり

ただ カメラのかわりか 胸ポケットに 万年筆が一本 ささっている のみだ

 

毀れた噴水 切り株に渦巻く年輪 空蝉

妻がそっと手を伸ばす・・・

 

その瞬間

夫の胸ポケットの万年筆がひとりでに

インクを噴射して

ワイシャツを蒼く染めた

よーい、スタート!

弾かれたように映画監督が叫ぶと

にわかに女優の背後で噴水が

水を噴出しはじめた

いきおいよく

とめどもなく

針尾早世里

ぱらいそ

 

万物は汝より産まれし

産ま・産も/海/産む/産む/産め/海よ!

その五段にも渡る密接の関わり合いの苦々しき表情に

私は死ぬか海から離れた街へ越すことを強要された。

あるいは新宿あるいはぱらいそ、河原で石を積むことと並列の

ぱらいそというリキュールを知ったのは、

アルコール中毒の女の子の、池袋にある狭いアパートで

午後二時から二人、ベッドの中でチョコレートを齧りながら

舌ででろでろに溶けながら

山手線の丸の中に呼吸を見出だした

それは排気ガスと不味い煙草の副流煙にすぎないと

きっと 言う

海は清廉だと

きっと きっっと きっっっと

私の産まれた街は海とほぼ同一の青灰色

足裏には朽ちかけた貝の破片の腐りかけた苔

潮のにおいが 強く 強く つよぉく

特に雨の日は、空からあなたの身体の一部たる

水 が降って、それはまるで血みたいに

におって におって に おって

誰の血か、という愚鈍な問いを発するのは

いつでも出産未経験の、子どもおとな、あるいはどちらでもない人

だと 母は

全ての母たちに報いることの出来なさを

海も 産みの母も 産んだことのある母たちも知らないで!

そうして、愚鈍な私たちのことを未熟と

あなたたちは、そう海は

海のない都会の、夏に落ちる影のべたつきを、

そう 意識していなかった

意識することを未熟だと、熟せば忘れてしまうと

そう 言ったと信じてはいる

そう でないと本当は知っているのですが

そう でなければ

私は母たちの前ですぐさま死ぬか、彼女たちに報いるか

そう でなければ なければ ければ ば ば

報ゆることの出来なさを愛すことでしか息の出来ない私は

産まれたときからあなたの身体は

あなたの子のものだと 言われて きて

ぱらいそは真っ青な

スペインの海の色で、幼児用の風邪薬の味に似て

アルコール中毒の女の子は泣いた。

瀬戸内の海に面した町の出身で、

やっぱね、においがね、

血のにおいがね、月の満ち欠けの度にね して

雨が降ると、ぜんぜんぜんぜん

スペインなんて行ったことないんだけど、

手首を切ったときとおんなじだ、って

私に剃刀を渡したから ぱらいそ

私はアスファルトのべたつきになりたかったから ぱらいそ

そんなのって そんな そっか

私のさみしさと あなたのさみしさの 形状の違いが

ぱらいそ

いつか素敵なアスファルトを繋ぐコールタールになりたいと

ぱらいそ

には行きたくないと 私はぱらい、その壜を、道路に叩き割って

青色がね、海の色が降って、彼女の血のにおいが渦巻いて、

で、も全部アスファルトが吸って、べたついて、

産まれません死にません海にもぱらいそにもなりません

研究活動

詩界ニュース
詩界ニュース(2016.9.30受付)最終更新日 2016/11/6
催し・イベント
2016年度通常総会最終更新日 2016/11/5

日本現代詩人会刊行本


  • 資料・現代の詩2010

  • 国際交流ゼミナール

  • 2015現代詩

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