詩投稿結果発表

投稿数172作品。投稿者106人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿第1期(4-6月)の選評および入選作をご紹介いたします。

詩投稿

H氏賞受賞者や日本現代詩人会の会員たちが詩編のアドバイスをいたします。

1期一人3篇までの投稿で、3ヶ月毎に選考し、入選作を選評とともに公開します。

第2期選者(7月〜9月)
・野村喜和夫氏

野村喜和夫氏
・高貝弘也氏
高貝弘也氏
・峯澤典子氏
峯澤典子氏

詳しくは投稿規定をご参照ください。皆様のご投稿をお待ちします。

日本現代詩人会とは

この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。

「詩投稿 第1期」入選作品紹介
*Topページに週に3篇ずつ公開します。

浅海 芽森
真空パック

 
つぶれたままの階段を一歩一歩のぼっている
いつもガランドウだった、窓枠の中は、
閉じこもっていたから湿気が多くて、白く濁っていた。
 
いい加減な冷凍を施したあと、わたしはそれを絞って
また遠いところへ追いやってしまう。
それなら結局、いくつあっても足りないじゃないか。
 
ただちに報いなさい。そう命令されたあと
どうしても置いていくわけにいかない荷物だけ持とうと思った。
急に到着したので、まだ名前はない。
 
はぐらかされたまま、行列に並んだ。
たちまち、煙のふいている方向に、皆が向いた。
これなら、猫より、相手するのが楽だと思う。
 
保温されているまま、さっきから右足が、穴に邪魔されて、
うまく進めない。でもすべて計算通り、
時計も合っている。彼女の言っていたように、
 
やっぱり前から、教えてもらった通りだ。
たたまれた衣類は、分厚過ぎて、
届くこともない。このまま、名前のないまま歩きつづける。
横山黒鍵 
いぶき

 
眠るように呼吸をして。ちっていくのですか。わたしは右手に包まれた風の子を放ちます。
たかく、飛んで、いけ
屋根の上を歩くのです。沢山の小さな足たちが、瓦屋根の出っ張りに足を取られながらも、懸命な足取りで、いっていのリズムで
わたしは放ちます、たかくたかく、庭石の影や、ちいさな池のほとりから、いっせいに
滑らかで、とても危険に素直に伸びていくみどりはうるおっていくようにふるえて
小さなきいろをつけたままで
通り雨が音を残していきます、どんなにつよくても、吹き飛ばすほうがつよいのですから
胞子のようにまるまった風がいっせいに芽吹くように
そう
めずらしく花がさいたのでした、それをわすれていたのでした
わすれて、わすれて、めずらしくひらいたままになった呼吸は、大きな口のなかでわだかまるのです。
声を絞るように、ゆっくりと開いていくのでした、朝、まだ寝ている間に
あまい、といわれるもので押し流す、のどにはきっと寂しさが棲みついて、ほそやかな緑色のあしを水平に凪ます
みずのなかにも、風のこたちはちいさなあわとなって立ち昇り、ゼラチン状の息吹をまつのです、
くろい脚がはえ、ぐるぐるとちょうがまき、
ふえてゆくかなしみを、足並みをそろえることでしかわたれなかった、屋根屋根にそびえたつ古い背骨にふるい落とされて、華奢な夢物語ではありますが、たわませ、それから
あなたの、背骨は、とびたつための道具でしたか、血に近づくほどに実った頭をたれて、
杖つきながら自分の影に潜り込もうとする、ゲンゴロウや、タガメのように、ちうちうと吸っていくのですか、鳴き声が遠く近く迫ってくる風の
動くように呼吸して、随分と高くなった空はまだ夏の始まり、雲が形を変えていきものそのものの白さで、
それをわたしは見ている
ちっていくのです。偏在するリンゴを剥くように、あるいは干したシーツの影で、パジャマの裏で、枕カバーには夢のよだれ痕が染み付いて、添い寝する乳房が不自然な岩のようによじれて、弾み
憐れむように呼吸する、あなたは苔むした岩でした。こどものころからみなれた、よつあしのかけ出す前の姿勢で、おなじく、空を包み込むようにてのひらをわたしにむけて、髪を撫ぜ
こぼさぬように蓄えられた朝露です、ツユクサの花弁のあまりにも弱い青に、膝小僧を染めて、
建物の暗がりに咲いた鷺草が羽ばたくように、いっせいに
はなつのです、そらへ、
眠るように、呼吸して。
頬月玲
紐のある夜

 
天井から
紐が
ぶら下がっている
半分固まった
水のりみたいな光が
僕の目を
優しく撫でている
薄っぺらな布団が
懸命に
背中を温めている反対側で
臍は寒い
 
僕が背負っている
布団の向こうには
もうひとつの天井があって
紐がぶら下がっている
もしかすると
むかし
ケータイにぶら下げていたストラップも
ぶら下がっているのかもしれない
そうではない僕の
天井の
水のりの根っこの向こうには
もうひとつの床があって
僕と同じように
誰かが横たえられていて
隣には
僕とは違う
誰かが横たえられているのかもしれない
彼女は女子大生かもしれないし
女医かもしれないし
ひょっとすると女優かもしれない
彼かもしれない
 
僕のつむじの上には
壁一面の窓があって
よくサイレンが鳴る
僕の足裏には本棚があって
バラードや
ハクスリーや
スタージョンがはみ出ている
斜めにある冷蔵庫には
角を窪ませた缶ビールが一本だけ生温い
天井の紐がぶら下がって
揺らめいている
もう
じゅうぶんな夜なのに
明るいなんていたずらだ
 
僕は逆立って
寒い臍いっぱいに力を込め
おおきな欠伸をして
紐をつまみスイッチを切る
接着されている
光の
根元で
優しい
蚊が一匹死んでいる

研究活動

詩界ニュース
詩界ニュース(2016.6.30受まで)最終更新日 2016/8/21
催し・イベント
現代詩ゼミナール〈東日本〉in宮城のお知らせ(2016.11.27)最終更新日 2016/9/17

日本現代詩人会刊行本


  • 資料・現代の詩2010

  • 国際交流ゼミナール

  • 2015現代詩

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