【速報】◆第75回H氏賞・第43回現代詩人賞決定のお知らせ

2025年3月1日(土)午後1時から、東京都・早稲田奉仕園セミナーハウスにおいて、第2次選考委員会が開かれました。詩壇の芥川賞とも呼ばれるH氏賞と、中堅以上の詩人に贈られる現代詩人賞が決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。なお、授賞式は6月1日(日)私学会館アルカディア市ヶ谷にて開催される「日本の詩祭2025」にて挙行される予定となっております。何卒よろしくお願い申し上げます。
◆2025年度 第75回H氏賞(賞金50万円及び記念品)
●受賞詩集『ハルシネーション』(七月堂)
●受賞者 草間 小鳥子(くさま ことりこ)
●受賞者プロフィール 
1987年神奈川県生まれ、神奈川県在住。日本女子大学文学部英文学科卒。第27回詩と思想新人賞を受賞し。2020年に詩集『あの日、水の森で』(土曜美術社出版販売)を刊行。映画主題歌の作詞、プロダンスリーグ「Dリーグ」への詩の提供、音楽家と俳優と結成したユニット「Poetic Mica Drops」としてポエトリーショートドラマの制作ほか、多様な媒体で詩作にかかわっている。小詩集『ビオオープ』(資生堂花椿文庫)、詩集『あの日、水の森で』(土曜美術社出版販売)、詩集『源流のある町』(七月堂)、詩集『ハルシネーション』(七月堂)。
<第75回H氏賞選考委員> ◎根本明(選考委員長)、相沢正一郎、小笠原眞、篠﨑勝己、
田中裕子、山中真知子、野村喜和夫(理事)
 ◆2025年度 第43回現代詩人賞(賞金50万円及び記念品)
●受賞詩集 『花下一睡』(七月堂)
●受賞者  秋山 基夫(あきやま もとお)
●受賞者プロフィール
1932年神戸市生まれ、岡山県在住。岡山大学卒。1960年代から自覚的に詩作。1970年代、片桐ユズルらと<オーラル派>として自作詩朗読を積極的に行う。1990年代より集中的に詩集を刊行。
主な著書:『旅のオーオー』(1965年思潮社)、『十三人』(第1回中四国詩人賞)、『家庭生活』(第16回富田砕花賞)、『夢ふたたび』(長編詩)、及び二十余冊の詩集刊行。他に、評論集『詩行論』など数冊。
<第43回現代詩人賞選考委員> ◎瀬崎祐(選考委員長)、海埜今日子、加藤廣行、
浜江順子、北條裕子、北川朱実、浜田優(理事)
【速報】第75回H氏賞候補詩集が決定

 2025年2月1日午前11時より、開票
のための理事会が開かれた。投票管理委員
の柊月めぐみ氏、生駒正朗氏の立会いのも
と、会員からの投票が開封され、集計され
た。その結果、第75回H氏賞候補投票は次
の結果となった。投票率は、30・0%だっ
た。 (第43回現代詩⼈賞は下段)

①林美佐子『ピコピコハンマー』  11票
②草間小鳥子『ハルシネーション』 10票
③雪柳あうこ『骨を撒く海にて、草々』
                 8票
④宮田直哉『ある風景』(書肆子午線) 
                 7票
④角 朋美『透明な遠くへ』    7票
④市川恵子『世界にあるもの』   7票
⑦佐野亜利亜『女子の掟、もしくは』6票
⑦橘しのぶ『水栽培の猫』     6票
⑦丸田麻保子『カフカを読みながら』6票
               (敬称略)

 以上の9詩集を理事会として決定。同日
午後4時より開かれた第75回H氏賞選考委
員会に申し送りされた。
 H氏賞第1次選考委員会ではこれらに加
えて、次の3詩集を推薦詩集とした。

 漆原正雄『風を訪うまで』
 山内優花『きせつきせつ』
 寺道亮信『乳既』
               (敬称略)

 結果、12冊の詩集が第75回H氏賞候補詩
集として決定した。3月1日の第2次選考
委員会で受賞詩集が選出される。


■第75回H詩賞選考委員(敬称略)
 相沢正一郎、小笠原眞、篠崎勝己、
 田中裕子、根本明(委員長)、
 山中真知子、野村喜和夫(理事)

【速報】第43回現代詩人賞候補詩集が決定

 2025年2月1日午前11時より、開票
のための理事会が開かれた。投票管理委員
の柊月めぐみ氏、生駒正朗氏の立会いのも
と、会員からの投票が開封され、集計され
た。その結果、第43回現代詩人賞候補投票
は次の結果となった。投票率は、30・0%
だった。(第75回H氏賞は上段)

①佐川亜紀『その言葉はゴーヤのように』
                 23票
②田村雅之『魂匣』        11票
②春木節子『行方しらず』     11票
④たかとう匡子『ねじれた空を背負って』
                 10票
⑤河野俊一『ストーマの朝』    9票
⑥吉田義昭『海と重力』      8票
⑦岩木誠一郎『声の影』      7票
⑦冨岡悦子『斐伊川相聞』     7票
⑦瀬野とし『まわれまわれ』    7票
               (敬称略)

 以上の9詩集を理事会として決定。同日
午後4時より開かれた第43回現代詩人賞選
考委員会に申し送りされた。
 現代詩人賞第1次選考委員会ではこれら
に加えて、次の3詩集を推薦詩集とした。

 秋山基夫『花下一睡』
 篠﨑勝己『死ねない魂のための音楽』
 眞神 博『精神の配達』
               (敬称略)

 結果、12冊の詩集が第43回現代詩人賞候
補詩集として決定した。3月1日の第2次
選考委員会で受賞詩集が選出される。


■第43回現代詩人賞選考委員(敬称略)
 海埜今日子、加藤廣行、北川朱実、
 瀬崎祐(委員長)、浜江順子、
 北條裕子、浜田優(理事)


日本の詩祭2024第Ⅰ部 贈呈式・先達詩人の顕彰・詩朗読

「詩投稿 第36期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。

早川啓「街灯」

憂鬱な夜に咲いた花が
静かに悲しみを拭っていく
いつかの景色に
街の中で仕事をしていると
暗闇が次第に通過していく
思い出したことは喧噪の中に
いつかの思いが消えていった
今でも蘇る歳月に
その中でも感情は残っていると
静かに告げたあの人が
願いを遠くへと繋いでいく
街灯の明かりの下に
消えていたシャツが風になびき
空想の途中で終わる旋律が
次第に姿を現す
何処かへ向かおうと
思っていた日から時間が経ち
祈りを時間に変えて
そんな日々を過ごしている
いつかは終わってしまう物語が
段々と熱を帯びて
届かない思いに
霞んでいった記憶が移ろう
電柱の下のごみ捨て置き場に
散らばった破片を眺めながら
今日も通過していく感覚が
夢の中を通り過ぎていく
いつものように風に揺れて
ただ平穏な風景を描いた
その途中にあったはずの
不安は薄れていって
遠くにいた人々に対して
終わりを予感させる

 

ぱれっと「ぼくのみた夢」

誰かを殺す夢をみた
おもちゃのようなホンモノを両手でかかえて
わけも分からず撃った
撃つ気などなかったが
撃たねばならなかった
ぼくが目を閉じた瞬間に
人が一人死んでしまった
思わず持ち手をこすろうとする
あれ、そうか、許されるのか
倒れたのがどこの誰かなどぼくは知らない
知りたくもないが
ああ、夢でよかった

家族が死んだ夢をみた
その時ぼくはどこにいたか知らないが
風のうわさでようやく知った
死に方までは誰も知らなかった
どこに手を合わせていいかも分からず
空に目をやる暇さえもなかった
怒りすらわかず
むしろ同情した
悲しみはやはり諦めに打ち勝ったが
ああ、夢でよかった

誰かに撃たれる夢をみた
相手の顔も見えないまま
激痛ともつれ合いながら地面にぶつかった
まわりには多くの人がいたが
みなぼくを足蹴にして進むか同じように転がるばかりで
誰もぼくの死に様を見てはいなかった
もう考えることなどできなかったが
ああ、夢でよかった

人が殺し合う夢をみた
激しい銃撃戦とか
最新鋭の殺人マシーンとか
子どものころ心を踊らせた画面に
今となっては希望も絶望も感じる隙はなかった
あのころとは違い
ただなにもかもが現実だった
ぼくは目を覚ましたかったが
いや、そうじゃない
これは夢なんかじゃないんだ
人が死んでいる
人の手で死んでいる
正義に見せかけた抑圧でおおわれた大義名分を信じて
あるいは襲いかかるそれらに対抗して
失った手足も命も人の心も
濁流に飲み込まれてもう掬うことは叶わない
足を踏み入れれば飲み込まれてしまう
橋が壊れたのはなぜか
橋を壊したのは誰か
みんなが知っている
それでも
対岸にうまれた火種は
嫌というほど大きく燃え上がり
もうそこまで、目の前に迫っている
ああ、これは現実なんだ
これが
これが
ああ、本当に
夢であればよかった

 

加藤水玉「ナナミの場合」

いつもナナミは午後の三時に起きた
心の病いを患っているわけでも
夜の接客業をしているわけでもなかった
郵便局の配送センターで夜間仕分けをしている
どちらかと言うと話しをするのは苦手
誰にも会わないとひと言も発さない日もあった。

空を眺めるのは好きだったが
雲ひとつない青空はきらい
あまりにも無垢な青ばかりだと不安になる
空も雲も判別できない真夜中が好き
でも星座を覚えるほど
ロマンチストではなかった

郵便の仕分けはダイレクトメールばかり
ラブレターもエアメールが届くことはない
封を開くことなく捨てられる手紙を思うと
自分はこの世界にいなくても良い存在
そんな風に考えたときもあった
けれどもそれでは命を絶つ理由にはならない

器量は悪くはなかったけれども
恋人がいたときはなかった
それが悲しいとも淋しいとも思わない
一日中だれかと一緒にいるのは耐えられない
自分のことを一番知っているのは
ナナミ自身なのだから

今朝方に実家から電話があり
父親が倒れたという
有給休暇を申請すれば済むのだが
上司に家族の話しをするのが面倒だった
それに突然の出費は頭を悩ませる
今月はゲームの課金がいつもより多い

結局夜行バスに乗って故郷に向かっていた
父がナナミに会いたがっていると母は言う

父と母だけしかいない実家は
ナナミの暮らしより寂しいのだろうか
車内は静寂に満ちている
それがナナミを安心させる

カーテンの隙間から夜空を眺めると
天使の弓のような三日月が見えた
三日月は夜行バスと並んで走っている
お月様にも帰らなければならない
我が家があるのだろうか

そろそろ眠らないといけない
閉塞に満ちた世界は休息を必要としている
瞼を閉じるとタイヤの音だけが
規則正しく聞こえてきた

研究活動

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詩と美術を通底するポエジー最終更新日 2024/7/5
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